12/21/2018

光るリコーダー



クリスマスの演奏でリコーダーを光らせて見ようと考えた。当然LEDを使用するが、ただ光ったり点滅するだけでは面白くない、演奏に合わせて変化することが必要だ。
1.音の高さを検出して青とか赤に発光する。
2.音量の変化に応じて明るさや点灯数が変化する
私自身で作るのは手に余るので、知人に制作をお願いした。
リコーダーは当然透明な楽器が良いわけで、ヤマハのアルトとソプラノがスケルトンタイプとして売り出された時ピンクのソプラノ バロック運指を一本購入したのだ。通常は木製の楽器を使用するが、曲の内容によってはピンクのスケルトンも効果的で時々使用して来た。今回アルトリコーダーが欲しかったので、楽器屋に寄ってみたらアルトが無いのだ。それにソプラノも色は3色ほどあるが、ドイツ運指のみでバロック運指は無いとのこと。
最初にスケルトンタイプが売り出されたのはもう10年以上前になるかもしれない。その時はソプラノ/アルト、運指もバロック/ドイツ、色も3色ほどあった。時代は変わりモデルチェンジしてソプラノのドイツ運指のみに縮小されてしまったのだろう。
慌ててあちこち探してみたが、痕跡も見つからず、中古市場もスケルトンタイプ自体が出てこない。とりあえずピンクのソプラノ1本でやってみるしかない。

先日電気回路部分のテストを行なったので簡単に紹介します。
シリコンマイクにより音声を感知し、周波数によりLEDが青、緑、黄、橙、赤に発光する。LEDはテープ状のフルカラーだ。
また音量の変化に応じて光量や点灯数が変化する。
電源は小さなリチュウムイオン電池を内蔵している。
最初の設定では、低音から高音になるにしたがって赤→青であったが、感覚的には高音が赤だと思うので、低音→高音 青→赤に変更してもらった。
私の世代の感覚からすると回路や乗数の変更など必要と思うが、パソコンによるプログラム変更だけで出来てしまう。またリコーダーの音域に合わて上手く色配置にしないと発光しない色ができてしまう。
動画ではLED光を直接撮影すると光が強すぎて露出オーバーになり色再現が難しいので紙に反射させて撮影している。
とりあえず再調整して23日のクリスマス演奏会で使ってみるつもりです。


12/17/2018

近江楽堂で演奏した



フラウト・カンタービレ・プレゼンツ
〜細岡ゆき門下生リコーダー発表会〜
2018/12/08(土)  近江楽堂  

近江楽堂でプロ奏者の通奏低音で演奏した。
チェンバロは矢野薫さん、ヴィオラ・ダ・ガンバ は なかやまはるみさん
今回はYさんと二重奏をやりたいと思い何曲か物色してコレッリの二重奏を選んだ。楽譜はRJPでチェンバロ伴奏付きの楽譜を利用させてもらった。
低価格で楽譜や伴奏音源など簡単にダウンロードできるので選曲するのも簡単。 曲は ソナタ Op.1-3 
原曲はヴァイオリンの二重奏だけれどもリコーダー用としてイ長調からハ長調に移調してある。当初は単純に通奏低音付きの二重奏ソナタと考えていたが、原曲をCDなどで聴いてみるとバロックチェロ?も十分に自己主張しているので、トリオソナタと考えてよいと思われる。

トリオソナタ3番 Op.1-3   A.コレッリ
1.Grave   2.Allegro   3.Adagio  4.Allegro 

ペトルッチ楽譜ライブラリーで調べてみると、2台のヴァイオリンとチェロそしてオルガンが指定されているようだ。チェロのパートを通奏低音とは別立てとして(かなりの部分は共通しているが)ヴィオラ・ダ・ガンバにお願いし、チェンバロにもビシビシ決めてもらうことにした。
楽譜はfinale Print Musicを使用して作り直した。チェンバロはレアリゼーションなし、ガンバも別立てのパート譜が必要となる。リコーダーもブレス位置や音符の大きさなど修正した。全曲入力するのは手間もかかったが、一度入力してしまえばスコアもパート譜も自在だし一段に収める小節数も調節できるので、曲の流れに合わせた楽譜がプリントできるのだ。

肝心のYさんとの練習は互いの日程が合わなくて2回しか出来なかった。

本番一週間ほど前の伴奏合わせでは、リコーダーの2人は緊張しているのか少しぎこちない部分もあるが、ガンバとチェンバロがビシリと寄り添ってくれるので、すごく気持ち良い。 Allegro の早い楽章に不安をもっていたが、細岡師匠に指摘されたのはむしろGrave Adagioなどのゆっくりした楽章での息のテンポが速すぎる、「会場の空気をしっかり鳴らしてください」とのこと。

当日のプログラムは私たちが1番目なのでコケるわけにはいかないのだ。
朝から狭い控え室にひしめき、超過密のリハーサル、あっという間の本番、残響が豊富でかつ柔らかいのは、全て曲面壁からの反射だからだろう。しかし冷静に全曲演奏できたわけではない、音をミスすれば「シマッタ」難しい箇所が近づくと「ヤバイ」などの思いが頭に走る。それを打ち消しつつ、流れる音楽に集中する。Yさんのリコーダーの音が聞こえる、ガンバが迫力でグオーと押し、チェンバロがザザーンと決めてくる。・・この流れに乗っかれば良いのだが腰砕けになってしまいそう。今までの練習の貯金がものを言う筈なのだが、貯金の額が不足気味、でも何とか終わりまで漕ぎつけた。

自分の演奏が終われば一気に解放されて、後続のプログラムを楽しむことが出来た。
かなり緊張された演奏者もいたけれど、それぞれ自分の壁を乗り越えているのだ。演奏終わった直後のホッとした表情がいいですね。ガッツポーズの方もいて思わず大拍手した。こちらまで嬉しくなってしまう。

私達の演奏は「思っていたより良かった」との感想をいただいたが、録音(ちょっと失敗)を聴いてみてもとりあえず最後まで繋がったけれど、あまり冴えない感じ。
しかしコレッリの古い楽譜を自分で調べたり、優秀な相棒が手伝ってくれたり、プロのチェンバロとガンバがしっかり支えてくれ、その上 近江楽堂、観客あり・・「贅沢の極み」なのだ。
コレッリはリコーダー奏者にとって宝の山かもしれない。まだしばらくお付き合いさせてもらいます。





9/25/2018

コレッリで上がって演奏止まる

本番前の練習



リコーダーでコレッリのソナタOp.5-9 を演奏していたのだが、めちゃくちゃに上がってしまい、演奏が途中でストップしてしまった。
演奏中に上がってしまう事などここ10年ほど無かったのに。

学生時代の部活のOGOB会で演奏できることになった。
当時指揮者をしていたO君が今はオーケストラでチェロを弾いているので、合奏をお願いした。演奏曲はコレッリのソナタOp.5-9 本来はヴァイオリンでト長調の曲なのだが、リコーダー用にハ長調とし6月にフレンドシップコンサートで演奏したことがある。その時はリコーダー四重奏の編曲だった。練習も比較的時間をかけたので、そこそこの仕上がりで、なんとなく自信があったのだろう。今回は変ホ長調として音が少し高くなりチェロの通奏低音付きだが、お互いに忙しかったので合わせる練習は本番当日の午前中だけだった。それが最大の問題だったと思う。
調が異なるとはいえ以前やった曲なので気楽に考えていたのだ。本番が近づいたので練習を始めたらヤバイ! なめらかに演奏できないのだ。知った曲とはいえフラットが3つもあると難度がかなり高くなる。時間がないので多摩川河川敷練習所でも数回練習したがそれでもモタつく場所が残った。
本番当日の練習場は残響が多く何となく上手くなったような気分、一部指がモタつく箇所があるが何とかなるだろうと本番に臨んだ。
ところがこの会場はやけに残響が少ないのだ、音楽演奏ではなく講演などを目的に作られているのだろう。だから練習会場に比べるとリコーダーの音がやけに貧相に聞こえる。
会場には昔怖かったOBや後輩たちがいる、更に現役の部員まで聴きに来ている。その上プログラムで我々の直前のギター演奏がやけに完璧だった。
演奏は第1楽章第2楽章のみ
第1楽章 Prelude はゆっくりなので余裕しゃくしゃくの筈なのだが、余裕のない演奏でとりあえず終わり。
第2楽章 Giga ではテンポが早くなりリコーダーとチェロで三連音符の掛け合いのように進行するのだが、チェロの三連音符が思っていたリズムと少し異なるような気がして気になってしょうがない、多分チェロの方も違和感があったのではないだろうか。双方の違和感がどんどん増幅し、自分の演奏に集中できない! リズムが乱れ指がもつれて音をいくつか出し損ねた・・・しかし楽譜だけはしっかり目で追っている・・繰り返し・・「よしリベンジだ!」と思ったが、呼吸まで乱れて来てもうメロメロ・・ついに楽譜まで見失い バンザイ!  一旦止めて途中からやり直させてもらってガタガタ状態のまま終了。穴があったら入りたい 
同期の友人が「難しそうな曲だね」などと声をかけてくれるのも、かえって心苦しい。
演奏終了後の立食パーティーではニコニコしながら声をかけてくれた先輩が多かったが、これは失敗が招いた「成果」だったのかもしれない。




9/23/2018

ピンキージョ、モセーニョ

モセーニョ


今回はピンキージョ、モセーニョについて考察してみる。
このブログではスペイン、ポルトガルの統治時代 南米にリコーダーが持ち込まれたと主張してきた。(中南米におけるルネッサンスリコーダーの痕跡)それはワマン・ポマ 「新しい記録と良き統治」(2013/12/16)のイラストであったり、モトリニーア神父「ヌエバ・エスパーニャ布教史」(2013/11/29)あるいはガルシラーソ「皇統記」(2014/2/16)などであったりする。

ピンキージョ、モセーニョの発音構造から考えてリコーダーの模倣あるいはリコーダーそのものではないかとの推定は「南米の謎の笛タルカ」に書いたのでそちらも併せてお読みいただきたい。

ピンキージョは現在ケーナ代用品のみやげ物として多くつくられていると思われる。ケーナとほぼ同じサイズでリコーダーと同じ吹き口があり、楽器の表面には模様が描かれたり彫刻があったりする。ペルーなどに行った観光客がケーナの音に魅せられ1本欲しくなっても音を出すのは簡単ではないけれど、ピンキージョなら簡単に音が出せるし値段も手頃に作られている。
「アンデスの家ボリビア」には装飾がない質素なピンキージョがあったから現地では実際に使用されているのだろう。以前テレビで(NHKと思う) 南米の街の紹介で3人ほどの男性が大型のピンキージョと思われる楽器を構える画像があったが、音が聞こえる寸前で画像が切り替わり残念ながら音は聞けなかった。
ストリートミュージシャンなどによって近代に(多分1950年頃から)作り上げられたフォルクローレではケーナが使用されピンキージョの出番は無いように思われるが、いわゆるアウトクトナと呼ばれている伝統的な民謡には使われているらしい。

モセーニョ
楽器が大型になるので本体の管に細い管が添えられていて息を誘導する。通常はこのクルーク(吹き込み管)のある楽器を見ればファゴットを連想するだろう。だからファゴットの影響を指摘することが多いけれども、リコーダー奏者から見たら、バスリコーダーそのものである。これもいわゆるフォルクローレには使用されないが、伝統的なアウトクトナには使用されているらしい。

以下は私の想像です
タルカと同じく教化村崩壊後、関係者によって再度リコーダーが作られた。木材を円筒状に削る旋盤が無いので、最初から円筒状である竹とか葦を使って作った。
一般的にはこのように想像することができるが、更に一歩進めて教化村でリコーダーとして使われていた可能性も十分考えられる。
教化村でリコーダーの合奏をしていたが、数多くのリコーダーが必要になるので、このときすでに代用リコーダーとして竹などを使用したリコーダーが作られていた。それが後世のピンキージョやモセーニョになり民族音楽にも使用されるようになった。

代用の材料を使用することは笛類に限らずチャランゴなどの弦楽器でも行われている。
もともと南米には弦楽器が無かったと言われている。そこへヨーロッパからギターやマンドリンの先祖のような楽器が持ち込まれた時、もちろんちゃんと複製も作られたと思うが、アルマジロの甲羅を楽器の筐体に用いたのだ。それがフォルクローレには欠くことが出来ない楽器チャランゴとなった。教会ではオルガンは必要なためかなり早い時期に南米で作られている。パイプを鋳る材料の錫などが不足しているので竹筒や杉の薄板を巻いたパイプ(セップ神父)を使用したらしい。

このように機転を利かせて手に入る材料で楽器を作ることは日常的に行われていたらしいので、竹や葦でリコーダーを作ることはほとんど抵抗が無かったのではないか。

先に挙げた文献の著者  ワマン・ポマ、モトリニーア神父、ガルシラーソなどは観察者としての能力は卓越しているのだが、実際にリコーダーを作ったり演奏した当事者ではない。
 オーストリア出身のイエズス会士 セップ神父は正に当事者だろう。彼の著作にはまだ直接出会ってないのだが、少年時代ウイーン少年合唱団に所属し後にイエズス会士となって南米に渡り 現地の少年たちに音楽を教え、楽器も作った。
「彼の指導で竪琴、バイオリン、クラヴィコード、ファゴット、縦笛、横笛、そしてついにはオルガンまでもつくられるようになった」(注1)
と紹介されているから是非彼の著作を見たいと思う。

巻頭の写真はモセーニョ、吉祥寺時代のアンデスの家ボリビアで撮影させてもらった。サイズは2種類あるようだ。下側の短い楽器はピンキージョだと思う。
セップ神父については別項で解っていることだけでもまとめるつもりです。

(注1)「幻の帝国」南米イエズス会士の夢と挫折  伊藤滋子

8/19/2018

ケーナ+リコーダー

中央がケーナ+リコーダー

写真 左から 全音ブレッサン、ケーナ+リコーダー、ケーナ(アハユ)

うろ覚えだし、作り話と思うが、今回妙に符合するような気がして思い出してしまった。

かのアインシュタインが肉体派の某女優に言い寄られた話
「あなたの頭脳で私の身体のような子供は素晴らしいじゃない」
「やめておきましょう、貴女の頭で私の身体だったらマズイでしょう」・・・

リコーダーはよくできた楽器で微妙なバランスの上に成立していると思うが、もう少し表現力を広げたいと思うことがある。音量にしても音程の変化にしても。

私はフォルクローレのグループにも参加していてケーナも少し演奏することが出来る。ケーナはボリビア式で指穴は内径に匹敵するほどの大口径、そのため音は明快でデカイが
クロスフィンガリングがほとんど不可能なのだ。そのため音程は多少ラフな点がある。
多分昔のケーナは指穴は小さかったと想像する。アルゼンチン式のケーナはクロスフィンガリングを前提としているようだし、「アンデスの家ボリビア」に在庫していたピンキージョのようなリコーダータイプの笛類も皆指穴は小さかった。
多分60年代ごろストリートミュージシャン達によってフォルクローレが作り上げられている頃ケーナも街頭でより存在感を出せるよう太くそして指穴は大きくなったのだろう。
(ベームフルートにおけるニコルソンの大指穴フルートの影響を思い出す)

そこで冒頭のアインシュタインではないが、ケーナの歌口を利用した発音の自在さとリコーダーの本体部分を使用した運指の確実さ、を併せ持った楽器を目指した。

以前このブログで紹介した時はガムテープによる仮止めであったが今回は ABS樹脂のパイプによる結合である。

この結合部分はガナッシタイプのリコーダーのように真鍮パイプを使用するつもりであった。
歌口部分に発生するエアリードの振動と管の中に発生する定在波との間で大きなエネルギーのやりとりが行われるので、やわな作りだとエネルギーをロスしてしまうから。

28φ,1mm 厚の真鍮パイプがカタログ上存在しているので、某製作所に見積もりをお願いして見たけれど相手にもされない。少量すぎるのだろう。まあ当然と思うけれど。仕方がないので新宿東急ハンズへ行ってみた。サイズ、材質共に選択肢が限られるが、① アルミパイプ30φ 1mm厚  ② 樹脂パイプ 30φ 2mm 厚 の2種類が使えそうだ。アルミのパイプでは変形の恐れがあるので、樹脂パイプに決定。
ケーナの歌口部分は マルセロ・ペーニャの竹製ケーナを使用
本体部分は全音ブレッサン旧 の中部管と足部管
結合パイプは 樹脂パイプ 30φ 2mm厚 50mm 長
結合部分の処理は樹脂パイプの内径が26mm ケーナ歌口部分の外径が約27mmなので全周を0.5mm程度削り、はめ込んだ。リコーダーの結合部は凧糸を巻いて樹脂パイプの内径に合わ
せた。

性能
音量  大口径大指穴のケーナのような大音量ではなく、リコーダーより少し大きい程度
音程  リコーダーの運指でほぼ全ての音が発音可能、ただしチューナーでドンピシャとなるわけではなく細部の見直しが必要と思われる。
発音の立ち上がり特性  ケーナのように少し遅れる、音量が小さくなったため余計目立ちやすいかもしれない。

楽器自体に習熟することで印象を改善することは期待できるが、使用できる場所が限定される。フォルクローレのグループに持ち込んでもチャランゴなどの個性に圧倒されるだけ。
さりとてリコーダー用のソナタなどではモタついてしまう。

ダニーボーイのような曲が向いているかもしれない、以前リコーダー合奏でナツメロメドレーを演奏したことがある。その中の一曲に美空ひばりの「りんご追分」がありケーナで演奏し尺八風な演奏を目指したが、周囲のリコーダーに音程を合わせるのに苦労した。このような場合かなり有効だろう。

中部管と足部管のリコーダー部分も簡単に交換可能なので、他のリコーダーを試してみるとより良い組み合わせがあるかもしれない。あるいはさらに進めて樹脂パイプで円筒内径のルネッサンスタイプを作るのも試す価値は十分ありそうだ。




7/07/2018

第44回昼下がりのコンサート



6月24日 昼下がりのコンサート終了しました。

プログラム
・涙のパヴァーヌ  ・・・・J.P.Sweelinck
・今こそ別れ・・・・・・J.Dowland
・ソナタ Op.5 No.11  ・・・・A.Corelli
・今日の料理テーマ・・・・富田 勲
・翼を下さい・・・・・・・村井武彦
・琵琶湖周航の歌・・・・・吉田千秋
・メドレー・・・・編曲  高梨征治
  (富士山 さくら貝の歌  あざみの歌 水色のワルツ)
・雨のメドレー・・・・編曲  高梨征治
 (雨ふりお月さん 雨上がり 雨降りくまの子 雨ふり 夏は来ぬ)
・東京ラプソディー・・・・古賀政男

今回はフレンドシップコンサートで紹介されたYさんにコレッリのソナタ 通奏低音のバスリコーダーをお願いした。それぞれ個人的には練習したと思うが、一緒に合奏したのは一回だけちょっと心配だった。
お客さんは普段より少なめ、「他に行事があったのかねー」 などとお客さんのほうが気遣ってくれた。

「涙のパヴァーヌ」はスヴェーリンク編 いつものダウランド編とはだいぶ雰囲気が違う。ウエットではなくかなりドライな感じ、思うにパイプオルガンのための曲ではないだろうか。あまりベタベタの涙でないところが良い。

「今こそ別れ」 リコーダー四重奏の楽譜だったが、最初にリュートで全曲演奏した後、トップパートから順番に演奏に加わる演出を試みた。トップパートはソプラノリコーダーを想定していたようだが、あえてアルトリコーダーを使用した。

コレッリ  ソナタ Op.5 No.11  Yさんと二重奏。今回は練習時間も少ないので、1. Preludio  2.Allegro のみ ヴァイオリンの原曲はホ長調だがアルトリコーダー用としてへ長調に移調してある。第二楽章などは跳躍する部分が一部低い音なのでその部分全体を1オクターブ高くしてある。
第1楽章 Preludio は最低音がF、最高音がC 、もちろんアルトリコーダーを前提とした移調なのだが、最高音のCがきれいに出せるテナーリコーダーなら演奏可能。全体としても低い音が多いのでむしろテナーリコーダーが良いと思われる。 

第2楽章 Allegro へ長調への移調だけではなく、跳躍する部分が1オクターブ高くなっている。これはアルトリコーダーに適合させるためでもあるが、跳躍を伴い華やかな演奏とするにはこの処理は正解かもしれない。
実際ヴァイオリンでの演奏を聴いてみると、華やかに高音で演奏しているように聞こえるが、楽譜をみるとちょっとビックリする。音符がほとんど五線譜内に収まっている。
ヴァイオリンの場合はこれを華やかに弾くことができる。キラキラした高調波を多く含ませる演奏も可能なのだ。試みに音域がほぼ近いテナーリコーダーで演奏してみるとおとなしく響き、場合によっては1オクターブ低く聞こえるかもしれない。これはリコーダーの音が基本波がほとんどで高調波成分が非常に少ないという性質のためだ。
そのため1オクターブ高く移動してアルトリコーダーで演奏すると少しキンキン感はあるが、華やかさも出る。

そんな訳で今回第1楽章 Preludio はテナーリコーダーで演奏し、第2楽章 Allegro でアルトリコーダーに持ち替えた。 ちょと変則だったかもしれない。
第2楽章十六分音符の連続する場所は案の定ズッコケかかったが、Yさんが上手く合わせてくれた。

今日の料理テーマ  テレビの料理番組でおなじみの曲。リコーダーでマリンバ風の演奏は楽しい。メドレー2曲は高梨さんの編曲、よくこれだけ集めたと思う。 時々 唱和する声が聞こえたが、演奏用の編曲だから歌いにくかったと思う。
東京ラプソディー  作曲 古賀政男となっているが、原曲(確かイタリアの曲)をマンドリン演奏で聞いたことがある。前半はよく似ているが、後半の手放しの明るさは東京ラプソディーが断然勝る。
次回は9月30日(日)を予定

7月7日 太田光子/平井み帆「コレッリを夢見て〜出会い〜」近江楽堂 ではコレッリ ソナタ第11番を演奏する、変ロ長調 となっている。どんな演奏だろう。楽しみです。

6/17/2018

南米の謎の笛 タルカ

タルカ 2種類 アンデスの家ボリビア にて


南米のフォルクローレと言えばすぐにケーナが出てくる。
しかし現地にはまた別の笛 ピンキージョ、モセーニョ、タルカなどの不思議な笛類が存在する。南米の紹介などで民族衣装を着て、これらの笛を吹いている写真を見ると土着の民族楽器のように思われる。

一般的にはこの3種類の笛はリコーダーと類似であることは言われている、フォルクローレの関係者などでそのような意見が散見される。「アンデスの家」の福岡さんも、なんらかのリコーダーの影響を受けていると言っておられた。

私はさらに一歩進めてスペインポルトガル統治時代に持ち込まれたリコーダーの末裔ではないかと考えている。
このブログではスペイン、ポルトガルの統治時代にリコーダーが持ち込まれたと主張してきた。(中南米におけるルネッサンスリコーダーの痕跡)それはワマン・ポマ 「新しい記録と良き統治」(2013/12/16)のイラストであったり、モトリニーア神父「ヌエバ・エスパーニャ布教史」(2013/11/29)あるいはガルシラーソ「皇統記」(2014/2/16)などであったりするが、それらは間違いなくリコーダーを指し示している。そしてそれはある時期 特定の場所で起こったことではなく、相互の関連なく時期も場所もバラバラ、つまりかなり長期間 そして南米の広範囲にリコーダーが使用されていたことを示しているだろう。ここまでは当時の貴重な文献による推測で十分な根拠がある。

現地では当然研究が進められていると思われるが、
日本ではこれ以上の資料は入手できないと思われるのでここから先は私の独断で進むことをお許し願いたい。「ピンキージョ、モセーニョ、タルカ は昔持ち込まれたリコーダーの末裔である」
ケーナは竹の筒のようなパイプに息を吹き付けて音を出す(音が出しやすいように切り込みが付いているが)サンポーニャも同様で極めて原始的な発音方式だ、ところがピンキージョ、モセーニョ、タルカはリコーダーと同じウインドウエイ、ラビューム、を有し機能だけではなくその構造まで類似である。これは徐々に改良されたと考えるよりリコーダーの模倣あるいはリコーダーそのものと考えられる。
前述の資料ではフランシス会やイエズス会の修道士達が原住民の教化村を作り自立した生活を保証する、教育を受けた少年たちは見事にリコーダーを合奏し歌を歌う、作曲や指揮ができる少年まで現れる。当然リコーダーの名手も生まれていたはずだ。しかし強欲なスペインやポルトガルの移住者の圧力で最終的には修道士達は国外追放となり教化村は崩壊してしまう。

村から離れた少年は自分でリコーダーを作ってみることにした。リコーダー制作の手伝いもしたことがあるので構造は分かっている。筒状に木を加工するのだが、旋盤など無い、かまぼこ型に木を削り中を彫って溝を作り板を貼ればかまぼこ状の筒ができる。あとはラビュームとウインドウエイを作り、指穴をあければ出来上がり。竹などで代用すればもっと簡単だったと思われるが、少年はあくまで木にこだわったのは、かって使っていたリコーダーが木製だったから。 
現在も演奏されるタルカは大中小と3種類あり3種類同時に演奏するのだそうだ。それも同じ指使いで!リコーダーのソプラノ、アルト、テナーを同じ指使いで同時に演奏することを考えてみれば良い。とんでもない響きになるはずだがその音が人知の及ばぬ世界を表していると考えられているのかもしれない。
この不思議な合奏も以前 教化村で行われていたリコーダー合奏の名残りではないだろうか。ソプラノ、アルト、テナーのようにサイズの異なるリコーダーが大、中、小のタルカに置きかわり、楽譜は失われ忘れ去られてしまった。
・・・いかがでしょうか私の仮説です・・・

巻頭の写真は吉祥寺時代のアンデスの家ボリビアで撮影させてもらったタルカ 2種類 他は在庫のケーナ。

ピンキージョ、モセーニョについては別稿で書く予定です。

参考資料
「幻の帝国」 南米イエズス会士の夢と挫折    
 伊藤滋子 同成社  2001年8月10日

6/05/2018

多摩川練習



コレッリ 作品5-11 のソナタ    バロックヴァイオリンのモニカ・ハジェットの演奏があまりに素敵なのでリコーダーで二重奏を約束したY氏に楽譜を送ったのだ。1楽章、2楽章だけだったので軽く考えていたのだが、ム!難しい。 モニカ・ハジェットは軽々と楽しそうに演奏しているのだが、それは確かなテクニックの裏付けあってのこと、16分音符がダダダダダダ・・と続くところなどは、途中から息は乱れ、舌は引きつり、指はもつれ、とても続けられない。
Y氏からは「カラオケ店で練習しましょう」など言ってきているのでモタモタしておれない。
仕事帰りに多摩川の河原で練習するしかないだろう。
久しぶりの多摩川だが快速急行が下車駅の登戸に止まるようになり、おまけに増発までされている。
これは小田急電鉄が私の練習のために便宜をはかってくれたようなものだ。
ケーナは時々持ち込むが、リコーダーは随分久しぶりのような気がする。少年サッカー場なども作られてだいぶ雰囲気が変わってきたが、川岸に岩が並べてあるのは以前と同じ、その一角に腰を下ろす。目の前に川面が広がり、カモ類はもういない。時々コイとおもわれる魚がジャンプしている。遠くでトランペットの練習をしているらしい。

全音の新ブレッサンを組み立てて音を出す。天井がなく音は拡散するだけだから、実にショボい音、でもこれが真の私の音なのだ。
ダメなところは相変わらずなのだが、同じ16分音符の連続でも分散和音になっているところはなんとかできる。そのフレーズを頭の中で歌うことが出来ていれば息も舌も指も連動して動くらしいのだ。ところが単純でも機械的に進行していく場所では歌うことが出来ず、音符を目で追っているので目の反応が少し遅れ、その上 息、舌、指も相互に連動せず途中で破綻してしまうのだ。
突然雲が切れたらしく沈む直前の太陽光が川面に広がる。ふと気がつくと目の前の岩にリコーダーを持った私の影があった。
帰りの電車の中でモニカ・ハジェットを聴く「単純で機械的な進行」ではなかった、実はながーいフレーズなのだ。暗譜して歌えるようになれば多分演奏できるのではないだろうか。

5/27/2018

フレンドシップコンサートを終わって「ウミネコ笛」

ソプラノの頭部管を利用したウミネコ笛


1、CONTRAPUNCTUS Ⅰ  J.S.Bach
2、SONATA Op.5-9  A.Corelli 
     Preludo, Giga,Adagio,Tenpo di Gavotta  
3、 瀬戸の花嫁  平尾昌晃

これが平尾(HRC)の演奏した曲です。演奏者4人
傾向がバラバラだけれどもこれもHRCの主張でもあります。

CONTRAPUNCTUS Ⅰ  J.S.Bach
何回も演奏している曲なのでかなり自信を持って臨んだ曲だったのですが、あるパートが途中で突然ずれて大混乱・・一瞬目の前が真っ白「アチャー!」・・すでに曲の中盤だったので止める事も出来ず、私は強引にソプラノパートを演奏し続けました。他のパートも徐々に正規の位置に戻ってくれて最後は一緒に終わることができた。「終わり良ければ全て・・・」よかったネ

SONATA Op.5-9  A.Corelli 
コレッリの美しいソナタは演奏していて楽しかったけれども原曲はソロヴァイオリンと通奏低音、リコーダー四重奏に編曲は少し無理があるかも。中間の2パートは欲求不満だったかもしれない。
原曲はイ長調だが今回はハ長調 に編曲してある。リコーダーで演奏するには少し低めだったかもしれない。ブリュッヘンなどは変ホ長調で演奏している。難度は少し上がるがいずれ挑戦して見たい。

瀬戸の花嫁  平尾昌晃
今は練習に参加できないTさんの編曲、アルトリコーダーの高音部を容赦なく使って歌わせる。雰囲気を出すため「ウミネコの鳴き声や汽笛の音」を使うことにした。当初は録音でやろうとしたが、「ウミネコ笛とバスリコーダーの汽笛」を使用した。写真はウミネコ笛 ソプラノリコーダーの頭部管を使用し、竹ひごに丸い厚紙を接着したスライダーを出し入れして音に変化をつけウミネコを模したつもり。録音を聴いてみるとそれなりの雰囲気は出ていたように思う。



フレンドシップコンサートを終わって (CD)

モニターを2個使用したので効率が良かった


すでに1ヶ月ほど経過しており、今さらの感じもあるが、何点か書いておきます。
録音のCD
多分最初の頃から録音してCDに焼き付けることは、私の専売特許のようにやってきたわけだが、ここ数年間は、果たしてCDで良いのだろうかとの思いはある。
私自身、現役時代はオーディオに関わっていたので、自宅にはオーディオ装置がある。しかしこの装置でCDを聴いたことなどここ何年間かなかったような気がする。CDは購入することはあってもiPodで聴くだけだから結局オーディオ装置は使わなくなってしまった。しかし携帯CDプレーヤの宣伝を時々見かけるから、まだそのような需要はあるのかもしれない。

演奏のデータを配るのであれば、CD以外にもDVD、 ブルーレイディスク、フラッシュメモリなどあり、サーバーにアップしておいてダウンロードやストリーミングのようなことも可能になったけれども、大部分の方がそれらを自在に使いこなしているわけでもなさそうなので、仕方なくCDに頼るしかない。今回容量の大きさからCD4枚組となってしまった。「DVDなら1枚で収まるのに!」などと思いながら、編集作業の後、さらにCDの焼き付けと盤面への印刷作業が延々と続くのだった。

機材
録音  Roland  R-05. 少し古い機種だが必要な性能は十分満たしている
 外部マイクなど下手に凝るより、内臓マイクだけで十分、会場の舞台に近い位置に立てたスタンドに取り付けただけでかなりリアルな録音が出来る。団体ごとにON/OFFを繰り返すと必ずどこかでミスをするので(何回も痛い目に遭っている)休息時間以外はOFFにしない。

サウンド編集ソフト Audacity 2.0.5  ライブ録音のように連続して録音しているので、演奏部分だけをコピーして取り出す。
連続した長い録音データの中からトラック部分を取り出して並べる作業は結構大変で、波形の目視とヘッドホンによる音のチェックで進めるが、知らない曲が連続している場合など悩んでしまうこともあり、今回もプログラムの項目別に1トラックとさせてもらった。(したがって楽章に分かれている曲や組曲なども分割したトラックにすべきところだが、まとめて1トラック)  今回PC入れ替えに伴い古いモニターが余っていたので、ノートPCに接続しWモニターとしてみた(写真は編集中の様子)全体の波形、グループ別、当該のトラックそれぞれの波形を切り替えることなく表示しておけるので作業はかなり改善された。
音の加工については各トラックの音量をそろえるノーマライズ(注1)がほとんどで、曲間のノイズ部分にフェードインやフェードアウトを使用した。
あと打楽器を使用している一部の曲ではコンプレッサー(注2)を使用した。これはリコーダーの演奏の場合打楽器を使用すると打楽器の音が強すぎて録音処理上問題となるのでそれを補正する目的である。

CDRへの書き込みソフト、Nero Burning ROM
USB による外部ドライブを使用したが 確実に動作し使いやすかった。私は使用しなかったが、外部ドライブを複数使う機能もあり大量に焼く場合は有効な機能と思う。

(注1)ノーマライズは「標準化」とも訳され、CD全体の音量を揃える目的で使用される。もう少し詳しく説明すると、当然のことながら各グループごとに録音された音量は異なる。音量の低いトラックは必要なだけ増幅すれば良いのだが、デジタル録音は限度(0dB)を超えた音量になると派手なノイズを発生してしまう。そのためトラックの中の最大音量ポイントを見つけ、そこが限度(0dB)を越えないレベルまで全体を増幅する。これを自動的に行ってくれるのがノーマライズだ。便利な機能だが、注意点も有る、抜き出したトラックの中に拍手、大きな場内ノイズ、打楽器の音などがが含まれてそれがすでに(0dB)に達しているとそれが最大音量のポイントと見なされてそれ以上の増幅ができなくなる、拍手や突発的なノイズは編集作業で除去することが可能で有るが、曲全体に打楽器が使用されているとお手上げとなる。
同じ団体が打楽器 有り/無しでリコーダーの音量が変わってしまうのは不自然なのでコンプレッサーで処理し対処している。
打楽器が入った演奏、紫色の部分はリコーダー、魚の骨のようにとがっているのが打楽器


(注2)コンプレッサー
本来ならより充実した音作りのため使用されるが、ここではリコーダーの音と打楽器の音のバランスを補正する目的で使用している。参考までに打楽器ありの演奏の波形を示す。中心部に帯状に見える波形がリコーダーの音、魚の骨のように最大値まで伸びているのが打楽器の波形。このままノーマライズ処理をしてもすでに打楽器の音が最大値(0dB)に達しているので増幅できない。そのため打楽器の音を圧縮する。リコーダーの音より高いレベル 例(-12dB)をスレッショルド値として定め、それを超える打楽器の音量を圧縮する。それにより最大値(0dB)までに余裕ができ、その分さらに増幅できるからリコーダーの音は大きくなる。この処理で打楽器に比較したリコーダーの音量はある程度改善されることになる。

余談だが、プログラムの最後に「ゲスト演奏」としてプロ奏者の演奏がある。もちろん演奏はさすがプロと言わせるだけの音色と音量なのだが、編集作業をしていると音を聴かなくても波形を見ただけでプロの演奏と判ってしまう。プロの場合だと粒ぞろいの音を次々と繰り出して音量も安定していて波形もビシリと色濃く安定しているが、アマチュアの場合は音の出だしや音量が安定せず、モニター上の波形はデコボコかつスカスカに見える。ここでコンプレッサーを使用して音量のバラツキを揃え音量も押し上げればプロの演奏にグッと近くなるはずだが、今回の目的が「記録」なのでそのような処理はご法度です。

今回のCD-R はすでに生産を終了した太陽誘電”That’s”ブランドの在庫品を使用したが、次回もCD-Rで頒布するなら別のブランドを探さなければならない。CD時代はすでに終わりなのかなとも思うが、他に決定打がないのでまだ続くのかもしれない。

4/25/2018

演奏会「リコーダーでコレッリ」



「リコーダーでコレッリ」  リコーダー:本村睦幸 チェンバロ:三和睦子 4月20日
フレンドシップコンサートの前日だったが、聴き逃すわけにはいかないので、時間を工面して出かけた。会場のSpace415 は初めての会場なので時間に余裕を持って出かけたが、中野駅北口を出て地図にしたがって歩き、住宅街に入るとすぐに「Space415」の看板が見えた。開演1時間前、ちょっと早すぎたかもしれない。階段を上がり会場に入ると「昼の部」の観客の方たちがまだ残っていて談笑されていた。そう今日は同一のプログラムが昼、夕、夜 と3回公演なのだ。

プログラム
アルカンジェロ・コレッリ 
・ソナタ第2番ト長調(作品5の10ヘ長調による)
    編曲者不詳  1702 ロンドン、J.ウォルシュ出版

・ソナタ作品5の5 ト短調
    編曲者不詳  1754 パリ、ル・クレール出版

フェルディナンド・デ・メディチ
・プレリュード  (チェンバロソロ)

ドメニコ・スカルラッティ
・ソナタニ長調 k492   (チェンバロソロ)

アルカンジェロ・コレッリ
・ソナタ作品5の4 ヘ長調
    J.C.ペツ編曲 1707 ロンドン、J.ウォルシュ出版

「夕方の部」の予約者は10名程度らしく椅子もそれに合わせて並び替えられた。私はチェンバロの鍵盤が見え、かつリコーダーからの距離が最適と思われる位置を選んだ。トークコンサートとのことで楽曲の説明も楽しめたし、何よりもリコーダー演奏の細かいニュアンスが直接伝わってくる快感。実に贅沢な演奏会! この広さ、この残響が心地よい。例えば近江楽堂では残響が長すぎて、曲名のアナウンスですら聞きづらく、演奏の細かいニュアンスなどはピンボケで曖昧になってしまう。もっともその曖昧さに助けられることも身に沁みて承知していますが。

コレッリが作品5をイタリアで出版したのが1700年とのことで早くもその2年後にロンドンでリコーダー用の編曲譜が出版されたのは時代を考えると破格の速さとの説明があったが、ラジオもテレビもなかった時代ロンドンにコレッリの曲を演奏したいと願うアマチュア演奏家が多数いたことになる。そしてそれが一時のブームで終わることなく、約50年後今度はパリで編曲譜が出版されている。もっともこれはトラベルソ用の編曲らしいのだが、コレッリ人気の根強さも感じられる。

アンコール曲名が告げられた “Tenpo di Gavotta” 
えー!これって作品5の9 の第4楽章  あすフレンドシップで演奏する曲だ。
トップパートがほとんど四分音符だけで構成されているので、装飾をたっぷり使わなければならないとこの後に及んでも悩んでいたのだが、本村氏は「気楽に流しましょう」とばかりに最小の装飾でどんどん進む。その流れが快感を呼ぶ。目から鱗、装飾の少なさだけでも真似しましょう。
私への個人的なプレゼントのようにも思えた。

4/18/2018

SONATA Op.5-9 A.Corelli


今度のフレンドシップコンサートでこの曲をリコーダー四重奏で演奏する予定です。
この曲との出会いは10年以上昔にさかのぼる。(「悪魔のトリル」イタリア・バロック・ヴァイオリン名曲集   メルクス) の中の一曲だった。悪魔のトリルやオルガン付きのシャコンヌが印象が強烈だったのでコレッリのソナタ9番はあまり印象には残っていない。しかしジーグの楽譜が配られて演奏してみた時コレッリとすぐわかった。
この件、以前のブログにも書いたが、エンリコ・オノフリのCD(ヴァイオリンとヴィオローネ又はチェンバロのためのソナタ作品5 )の中で曲名を確認できた。また同じくモニカ・ハジェットの(作品5)でも聴くことができる。ハジェットのソナタ9番は端正な演奏で好感が持てる。一方のオノフリはイタリア人らしく遊び心十分と言って良いのかどうかわからないが装飾も自在で楽しませてくれる。メルクスも久し振りに聴いてみるとしっとりとした演奏で悪くない。
多分素材が良いから煮ても焼いても場合によっては生でも食べられるのだ。
有名な曲だから多くの演奏家が取り上げている。

ヴァイオリンの曲だがリコーダー用の編曲が2年後には出版されたそうだから、その様な需要も多かったのだろう。ソナタ9番では原曲はイ長調だが、リコーダーではハ長調に移調してある。

リコーダーでも多くの演奏を聴くことができる。ブリュッヘン、ペトリ、ラウリン など
ブリュッヘンの演奏は変ホ長調、フラットが3つあり一般的なハ長調より2音高くて高音には苦労する場所もあると思うが、全体にハリのある音域、リコーダーで勝負している感じがする。 ラウリンは原調にこだわりイ長調、しかし低すぎるので1オクターブ高く演奏しているのではないだろうか。キラキラ輝く演奏でリコーダーの技巧としては申し分ないが、原曲の田園的な大らかさからは距離ができてしまった気がする。
ペトリは新旧2回の録音ともハ長調で演奏している。(2015の録音で表記はA Major となっているが、原曲の調性であり、実際の演奏はハ長調)3人の中で一番低い音域で田園的な雰囲気は残しながら、装飾も見事に決めている。低音部の早い動きも「もたつく」ことがなく、高いテクニックは当然として、Mollenhauer社のModern Alt Recorder の使用もそれに寄与しているのではないかと思った。
テレマンのリコーダーオリジナル曲をモダンリコーダーで演奏するのは「ずるい」事かもしれないが、コレッリのヴァイオリン曲の演奏にモダンリコーダーを使用するのは、十分に意味のあることだと思う。

自分たちの演奏
この時代の曲は演奏家が装飾を施すことを前提として作られている、演奏のプロフェッショナル達には当然のことながら、私たちアマチュアには困難なこともある。楽譜通りの演奏だけでも足元がふらついているのに、さらに装飾などを加えたら惨めな結果になることは自明なことだ。第1楽章 Prelude ,2楽章 Giga は基本的に楽譜通り、3楽章 Adagio ,4楽章 Tempo di Gavotta. は必要最小限の装飾をつける予定です。

演奏会
「リコーダーでコレッリ」  リコーダー:本村睦幸 チェンバロ:三和睦子 4月20日
リコーダーの広場の (演奏会・イベント情報)にフレンドシップコンサートの情報を書き込んだとき、この演奏会を見つけた。
なんとコレッリの作品5のソナタを3曲も演奏する。フレンドシップの前日だけれどぜひ聴きたい。

参考CD
・「悪魔のトリル」イタリア・バロック・ヴァイオリン名曲集 メルクス 1972
・「ヴァイオリンとヴィオローネ又はチェンバロのためのソナタ作品5」 エンリコ・オノフリ 2013
・「コレッリ ヴァイオリンソナタ集 Op.5」  モニカ・ハジェット 2005
・ 「Corelli la Follia」 フランス・ブリュッヘン、グスタフ・レオンハルト、アンナー・ビルスマー 1980
・「Italian Recorder Sonatas」 ミカラ・ペトリ & ジョージ・マルコム 1985
・「CORELLI」   ミカラ・ペトリ & マハン・エスファハニ 2015
・「ARCANGELO CORELLI SONATAS From Op5」 ラウリン 2013






3/26/2018

フレンドシップコンサート演奏曲(HRC)


フレンドシップコンサート演奏曲
4月21日の演奏会まで1ヶ月を切った、出演するグループは曲目の仕上げ練習にかかっていると思います。HRCも遅れがちではありますが、やっと曲目と順番が決まりました。
1、CONTRAPUNCTUS Ⅰ    J.S.Bach
2、SONATA Op.5ー9    A.Corelli 
     Preludo, Giga,Adagio,Tenpo di Gavotta  
3、  日本の曲 (ヒミツ)

コントラプンクトゥスⅠ   J.S.Bach
この曲をHRCで練習始めてからもう10年ぐらい経つでしょうか。初歩的な合奏曲を練習し、そろそろ大きな曲もやってみたいね。などと考えていた時 細岡師匠が持ちこんだ曲です。とにかく譜面が難しかった。自分の譜面どうり演奏するのもおぼつかない部分もあり、他のパートを聴いている余裕なんかない。最後が一緒に終わればヨカッタよかったで、しかしそんな状態でリザーブコンサートにデビューしたなんて度胸だけは評価できるかもしれない。

今回奏者が4名揃ったので演奏してみます。以前よりはお互いに聴きながら演奏できますが、やはり難しい曲です。途中でコケたら復帰が難しかもしれない。コレッリのソナタ集作品5より40年も後に作曲されたのが不思議な気もします。

バッハの最晩年に作曲が開始され対位法の技術を駆使し究極の構築性を目指したと言われています。曲集「フーガの技法」は死後未完成のまま出版された。

ソナタ作品5ー9  A.corelli
最初はコレッリの曲が2曲 サラバンドとジーグ の楽譜があり、「昼下がりのコンサート」でも演奏しました。調べてみるとどちらも作品5として出版された12曲の一部で、サラバンドは7番目 ジーグは9番目のソナタに含まれる楽章だとわかりました。他の楽章も調べてみると皆楽しめそうな曲なので、それなら「ソナタ全曲通して演奏してみよう」という事になり、作品5ー9の他の楽章の楽譜もあわてて揃えました。原曲はイ長調ですが、ハ長調に移調し4本のリコーダーで演奏します。
コレッリは晩年、出版されたヴァイオリンの曲以外は廃棄したと伝えられるほどで、残された曲は佳曲揃いと言われているそうですが、納得できるような気がします。ヴァイオリンの曲らしく運弓が見えてくる様な部分も多いのですが、リコーダーらしい演奏もあっても良いと思っています。
作品5の曲集が出版されたのが1700年とのことですが、人気が高く再販を重ね、リコーダー用の編曲も2年後には出版されていたそうですから、(コレッリの思いは別として)リコーダーでじゃんじゃん楽しんで良いはずです。

日本の曲  
とりあえず秘密とします。







3/11/2018

コレッリのカラオケ





「次回の練習は休みにしませんか」。 現役の部員は4人しかいないし、四重奏を基本的なレパートリーとしているから、都合で参加できない部員があるとその様な声がかかることがある。昼下がりのコンサートも終わり次のフレンドシップコンサートまで少しの間があることも影響があるだろう。・・「私一人で使わせてもらいます」思わず顔がにやけてしまう。せっかく予約を取ってある視聴覚室、予約の返上などもったいない。 
何をやろうか? コレッリのソナタ全楽章をやりたい。実は今HRCでコレッリのソナタ作品5-9 第2楽章アレグロを四重奏に編曲した曲を練習しているが、他の楽章もやってみたい。リコーダーJPでダウンロード版がある。
もちろんヴァイオリンのための曲だが作品5が1700年初版が出版された2年ぐらい後にリコーダー用編曲譜も出版されたらしい。
こんな時ダウンロード版は便利だ。思い立ったら前の晩でもOK。原曲はイ長調だがリコーダー用にハ長調に書き換えた曲がアップされている。基本セットでPDFのスコアとパート譜、MP3の推奨テンポ チェンバロによる通奏低音と演奏例 それが格安な価格でダウンロードできてしまうのだ。PDFの楽譜はiPad Air2のpiaScore に収め1部プリントもしておく。
MP3のチェンバロによる通奏低音は音源再生用に使っているiPad miniのミュージックに入れておく。
巻頭の写真は当日設置した機材、小型のアクティブスピーカーだと簡単だけれども、せっかくだから少し本格的に揃えてみた。iPad miniから音を取り出すのにイアホーンジャックではなく、KORG plugKEYを使用してLightning接続で信号を取り出し、標準ジャックで出力、そのままマッキーの小型ミキサーに入力、 パワー・アンプとスピーカーは高級品ではないが本格的なPA用機材。これだと迫力十分でチェンバロの横に立って演奏している様な感じがする。
4時間ほどたっぷり練習させてもらいました。 大満足  コレッリは素晴らしい、別な曲もやってみたいですね。

3/07/2018

第14回フレンドシップコンサート



フレンドシップコンサートのチラシを掲載します。
演奏団体は決まっていますが、演奏順番や細目は調整中です
演奏順番が決まりましたので、掲載します。(4月4日)

第14回フレンドシップコンサート
4月21日 稲城中央文化センターホール
開場12時30分 開演13時  入場無料

第14回 フレンドシップコンサート プログラム
 (演奏順番、団体名、演奏開始、終了)
1 HRC     13:00-13:20
2 チエルアルコ  13:20-13:40
3 フェリーチェ  13:40-14:00
4 ウインドベル  14:00-14:20
5 ねころびと   14:20-14:40
————休憩———14:40-14-50
6 Ricco Suono. 14:50-15:10
7 TRET.          15:10-15:30
8 Quatre Saisons  15:30-15:50
9 Gクレフ        15:50-16:10
10 全体合奏.    16:10-16:30
11 厚木リコーダーオーケストラ  16:40-17:00
12 ぴぽ      17:00-17:20
13 ジャスミー   17:20-17:40
14 ゲスト演奏   17:40-18:00

全体合奏は Abendlied. Op.69. No.3
     Josef Rheinberger (1839-1901) 
 (夕べの歌  ヨーゼフ・ラインベルガー  )です。
細かい音符などなく、数回の練習で仕上げることができると思います。
ソプラノやアルトリコーダーでも参加できます、ぜひリコーダーをご持参ください。

楽譜は当日受付にて配られるはずです。


ゲスト演奏家
大塚昭道(リコーダー)
細岡ゆき(リコーダー)

企画構成 平尾リコーダークラブ
問合せ  rec04.fsc(a)gmail.com  
              (mail用に文字を訂正願います)

3/05/2018

第42回昼下がりコンサート




2月25日は昼下がりコンサートでした。42回目との事で改めて時間の長さを感じます。お客さんがたった二人の時もありましたが、今回は多くの方に来ていただき、ぎゅう詰め状態でした。何とか続けてこれたのも毎回来てくださるお客さんたちに支えられてのことだとの思いです。

プログラム
サラバンド ・・・・F.F. ヘンデル  HWV437より K.Sone 編曲
コントラプンクス 1  ・・・・J.S. ハッハ
カノン・・・・・・J.パッヘルベル  河西保郎 編曲
サラバンド・・・・・・A. コレッリ Op-5-7 より
ジーグ ・・・・・     A. コレッリ Op.5-9 より
ムーン・リバー・・・・H.マンシーニ   Felix Vela 編曲
日本の四季・春編・・・・・金子健治 編曲
花の街・・・・・・・団伊玖磨
瀬戸の花嫁・・・・・・・平尾昌晃  T.S.編曲 
青い山脈・・・・・服部良一  T.S.編曲

昨年は3名だけの演奏が続いたのですが、少し遠方から練習に参加してくれるMさんが加わり、レパートリーもぐっと広がりました。お客さんから「音の厚みが増しましたね」とのお言葉をいただき嬉しくなります。
今回は時間が少なかったり、直前に曲を追加したりして、未消化のままプログラムに載せた曲もあったけれども、当日の勢いで大きな破綻なく演奏できてしまった。しかし例えば同じ旋律がくりかえされる「カノン」とかメドレーの「日本の四季」のような曲は山や谷がハッキリしないまま延々と続くことになってしまい、演奏への工夫を考える時間の余裕が不足だったと思う。
バッハ、ヘンデル、コレッリ、についてはもう少し背景の説明が聞きたかったとの意見もあったが、演奏と説明のバランスは難しい、今回はバッハ(ヘンデル)を基準としてコレッリは32歳年上のイタリアの作曲家であるとの説明は今回のプログラムとも少し関わりを持ち悪くはなかったと思っている。今回は話さなかったが、ヘンデルが若き日イタリアに留学した時、コレッリと交流があり、まだ若いヘンデルの作曲したカンタータ(だと思う)をコレッリの指揮で演奏し好評だったので再演されたとの話がある。
パッヘルベルについてもバッハとの関係で話した方が良かったかもしれない。

コレッリ
今回コレッリの曲を2曲演奏した。彼の曲はほとんどヴァイオリンの曲しか残されていないが、リコーダーでも十分楽しめると思った。リコーダー奏者にとって宝の山かもしれない。同じイタリアでも少し後輩のヴィヴァルディでは難しい曲が多い。ピエタの合奏団の技術レベルが高く、それを利用してベネツィア市民の喝采を得なければならなかったヴィヴァルディの立場が反映しているのだろう。

お客さんと一緒に歌える曲も大切だと思う。花の街、瀬戸の花嫁、青い山脈、アンコールのふるさとについては歌詞をプリントした紙が置いてあり皆さん大きな声で歌ってくれた。一方的にリコーダーの曲を聞くだけではなく一緒に声を出して歌うことは一体感も生まれる。大きな会場では無理でも、狭い喫茶店だからこそ出来ることもあるのだ。
リコーダー用の編曲を強引に歌ってもらったのだが、歌いにくい高さもあったようなので、歌うための編曲も考慮する必要があると思った。

iPad による楽譜
練習では便利なのでよく使っているのだが、本番となると話は少し違ってくる。練習回数も多くほとんど暗譜状態であれば、問題ないが、少しでも不安があれば慣れ親しんだ紙の楽譜に頼ってしまうのは仕方がないと思う。今回も紙の楽譜できっちり全曲揃えたが、話題性も考慮して「コントラプンクス」で使用してみた。途中演奏しながらめくる場所が一ヶ所あり、その場所は楽譜にも集中していなければならず、かなり緊張した。足の位置はペダルに触れさせておくわけにはいかないので、曲の少し前の部分で位置を決めかかとを床に触れさせておき、足の先の方を浮かせておき、その場所でエイと踏み込み切り替えた。もちろん楽譜そのものはタイミングよく切り替わったけれども気合が入りすぎたのかパシッと音が出てあまりスマートな切り替えではなかった。これは切り替えのスイッチがキーボードのバネだけに依存する構造のためで、普段は切り替えスイッチに足を載せても動作せず、強く踏み込んだ時だけスイッチが動作する仕組みが工夫できれば解決できるだろう。

次回の第43回昼下がりのコンサートは6月最後の日曜日を予定しているが、その前に4月21日 第14回フレンドシップコンサートがある。次のブログで紹介します。


2/11/2018

フットペダルを作る

iPad airとフットペダル


譜めくり用フットペダルを作る
iPadのpiaScoreに楽譜が貯まってきた。紙の楽譜のように(A4) 2ページの見開き(A3)ではなくA4より小さい縦一枚だから、譜めくりの回数が多くなる。やはり専用の譜めくり用フットペダルが欲しくなる。この際キーボードを改造してフットペダルを作ってみた。

材料
Bluetooth キーボード  薄板、蝶番用塩ビシート  両面テープ
キーボードの矢印キー「→」「←」で譜めくり可能だが右下に配置されていてバランスが悪い。ほぼ中央に配置されている「7」「8」でも矢印キーのように左右にページを送ることができるので、それを利用する。但しこの場合は入力モードを(English)にしておく必要がある。

概要
キーボード全体を木製の薄板でカバーして各キーが押せない状態にしておき、「7」「8」キーだけはそれぞれカバーに孔を開けペダルで押せるようにする。
部品一式
薄板のカバーは手持ちの3mm厚のヒノキ板を使用、周囲を3x6のヒノキ角材で囲ってずれ止めとした。ペダル部分は同じく3mm厚のヒノキ板、蝶番部分は金属製だと動作が重くなるので、クリアファイルの塩ビシートを使用、
キーを押す部分は「消しゴム」を5mmの高さとしてペダルの裏側に両面テープで張り付けてある。
全体として足で操作するには少し「やわ」な感じだが、しばらく使ってみて改造するつもりです。

譜めくり動作そのものは快適にできるペダルに仕上がったと思っている。
カバーを外せば当然キーボードとして使用できる。





2/01/2018

iPadで楽譜-2

矢印キーで譜めくりが出来る

iPadに入れた楽譜が徐々に増えてきた。まとめてある程度の量を入れるときは、スキャナーを併用した方がミスなく品質の良い楽譜を入れることができる。
譜めくりに関しては、休符があったり右手が空いたりすれば良いのだが、都合が悪い場合も結構あり、譜めくり箇所が近づくと緊張してしまい、肝心の演奏が疎かにになったりするので、安心してめくれるフットペダルは必須と思うようになった。

譜めくり専用のペダル。“Air Turn PED pro ”あるいは”IK Multimedia iRig Blue Turn”は足で操作し、Bluetoothでワイヤレス接続する。まだ入手してないので、同じくBluetooth で接続する外付けキーボードを試してみた。何とバッチリ動作するのだ。写真にある右向き矢印キーを押すと次のページへ進むことができる。左向き矢印で戻ることもできる。   何だ!ちょっと拍子抜け。 同様に数字キーの(1と4)(7と8)でも矢印キーと同じ動作をすることが分かったが、これは少し調べて見る必要がありそうだ。特に(7と8)はキーボードのほぼ中央に位置するのでバランス上具合が良さそうだ。
動作上から考えれば、譜めくり専用ペダルはミスなく確実な動作が期待できるが、機能上から考えればキーボード機能のほんの一部しか使っていないことになり、だったらもう少し安くならないのかと考えてしまう。
足で操作できるペダルを工夫しキーボードに取り付ければ使えるかもしれない。試作してみましょう。

最近練習を始めた曲で、Giga  A.Corelli と記された楽譜がある。6/8 の軽快な曲で、聞き覚えのある曲だ、コレッリの曲であることはわかるのだが、それ以上の記載がないため曲名が特定できない。曲の調だって編曲の過程で変えてあるだろう。iPod nanoに入れてある コレッリ 合奏協奏曲  作品6 イタリア合奏団 全部で12曲 CD2枚分 多分この中の一曲だろう。通勤電車を利用して聴き始めた。3日ほどで全曲聴いたけれども出てこない。聴きもらしかなあ、そんなはずは無い。最近リコーダーで演奏したコレッリは、ほとんどこの中の一曲だった。しばらく悩み 他のアルバム :コレッリ、ヴァイオリンとヴィオローネ又はチェンバロのためのソナタ作品5 エンリコ・オノフリ  ...しばらく聴き進むと、オーこれだ! ザックからiPad Airを取り出しpiaScoreでリコーダーの楽譜を開いて見る。間違いない
コレッリ 作品5 ソナタ第9番イ長調 第2楽章 Giga Allegro 繰り返しなどの細部は少し異なる部分があるが基本的にほぼ同じ、装飾音などは演奏者が加えているのだろう。

電子楽譜(PDF)だから電車の 中でも開くことが出来る。これが紙の楽譜束だったらたとえ持っていたとしても開く余裕はないだろう。


1/26/2018

iPad で楽譜

A4の楽譜と9.7インチiPadの画面

平尾リコーダークラブも発足して10年以上になるが、演奏技術は別として、楽譜がたまってくるのだ。大部分は演奏のためコピーした楽譜なのだが、きちんと整理してあるわけではなく、再度演奏してみたくなって、楽譜を探しても、簡単には見つからない。結局コピーする羽目になる。そして益々楽譜の束が厚くなるのだ。スキャンしてPDFに変換HDDに整理——など構想は何回も立てるのだが結局実行されないのだ。
最近はiPadなども性能が向上し、紙にプリントしなくとも画面から読み取ることが可能になり、スキャナーも内蔵カメラとアプリで十分実用になるらしい。
検索してみるとこの分野でも先行している方々が多くいるらしい。特に下記は参考にさせてもらいました。

ひろせめぐみさんは
歌声喫茶のピアニストで、お客の要求に対応するため、常に数百枚の楽譜を持ち歩かなければならず、電子化してiPadに入れておき、必要な時は即座に検索できて非常に便利なのだそうだ。また紙の楽譜からデータを読み取るのに、内蔵カメラを使用してアプリで処理、楽譜を見るのも専用のアプリがある。実際に活用した上での意見なので非常に参考になる。

彼女の推薦は
iPad Pro 12.9インチ  Scannable(スキャナーアプリ) piaScore(楽譜閲覧) 
Scannableを使用しての楽譜の取り込みなども具体的で丁寧に説明している。

リコーダー演奏にiPadの楽譜が必要だろうか? 
歌声喫茶のピアノと違って、常に数百曲持ち歩く必要は多分ない。紙の楽譜の方が見やすい。
しかし「昼下がりのコンサート」のような演奏を続けていると、繰り返し演奏する曲や季節の曲などiPadに収まっていれば便利ではないだろうか。また楽譜の束も解決出来るかもしれない。通勤の途中でも簡単に楽譜を見ることができる。問題は12.9インチのiPad pro、現在発売されているiPadで最大の画面で価格もかなりする。iPadの画面の大きさは対角線の長さをインチで示してある。これで見るとiPad Pro 12.9インチはほぼA4と同サイズであることがわかる。

試しに手持ちのiPad miniで試してみると初期型のためScannabl や piaScore のアプリがうまく動作しない。しかしEvernoteを使ってPDFの楽譜を表示してみると、画面は小さいが楽譜として使うことが出来そうだ。

よしそれなら
とりあえず標準サイズの9.7インチで我慢しよう。
iPadの各モデルと画面のサイズ
iPad Pro 12.9インチ(32.8cm)
iPad Pro 10.5インチ  (26.7cm)
iPad         9.7インチ (24.6cm)
iPad mini 7.9インチ (20.0cm)
A4.         (参考)          (36.5cm)

とりあえず中古のiPad air2 Wi-Fi(9.7)を入手。楽譜を入れてみる。J.S.Bach “CONTRAPUNCTUS Ⅰ ” 4パートの総譜だと2ページとなる。ちょっと小さいかな、とも思うが、充分実用になるはずだ。譜めくりは、パートがソプラノで左側の譜面の最期の小節が(Cis D E)なのでCisとDは左手だけで演奏出来るからその瞬間に右手で画面をスワイプすれば一瞬で次ページへ切り替わる。紙の楽譜のように引っかかったりしないから慣れれば問題はないが、E音の出だしがちょっと不安定になるかもしれない。譜めくり専用のペダルもある。“Air Turn PED pro ”あるいは”IK Multimedia iRig Blue Turn”足で操作しBluetoothでワイヤレス接続する。必要なら購入するしかないが、今回はスワイプとタップだけで対応し様子を見ることにする。
「セットリスト」という便利な機能もある、その日のプログラムに合わせて必要な曲のリストを作っておくとスワイプしていくだけで、必要な楽譜が順番に出てくる。

紙の楽譜からPDF に変換するのにScannableは簡単で便利ではあるが、ページ数の多い楽譜などはスキャナーでパソコンに取り込みDropbox経由でiPadに取り込むのも手間は少しかかるが、品質の良い楽譜が得られる。
私の場合はWindows XのPCにUSB接続でCanonのプリンター(MG6930)があり、これをスキャナーとして使う。保存場所としてDropboxの中に「楽譜」のホルダを作っておく。Wi-FiでつながっているiPadのDropboxの「楽譜」を開くと目的の楽譜のPDFがあるから選択し
(エクスポート) 、 (別のアプリで開く)をタップ、(piaScore にコピー)をタップ 、完了

反射防止シート
iPadを譜面台においてみる場合、天井の照明が反射して見ずらい場合がある。画面保護シートで反射防止(アンチグレア)タイプがあるので有効かもしれない。私はまだ使ってないですけれど。

老眼鏡
この年齢になればiPad使用の有無に関わらず、使用は必須だが出来合いのメガネはレンズがデザイン重視の横長だったりして楽譜全体が見えずらい、また遠近両用の様な小細工がしてあると楽譜の端が歪んで見えたりする。本を読む時より楽譜を見るときはもっと離れているはずだ。この際、楽譜用のメガネを作れないかとメガネ屋さんに相談すると、可能です「近々仕様ですね」とのこと。サンプルとしてA4にプリントされた楽譜を出してきたのにはちょっと感激。測定してもらうと+2.25、通常は+2.5なので納得、上下の視野も確保するためほぼ円形に近いレンズのデザインを選んだ。私のオヤジの風貌に似てきたかな?
譜面までの距離も適正に確保でき上下の視野も広がった。なかなか具合が良いですよ。

1/10/2018

全音ブレッサンの特徴

新ブレッサンのウエルドライン(手書き)

全音新ブレッサンは発売以来なかなか評判が良いようだ。従来のABS樹脂の旧ブレッサンも楽器としての性能は十分あった訳で、それを上回っていると納得させるには、それなりの手段が必要となる。
細部に至る見直しが行われたと思うが、実際演奏してみてその効果を実感できた 1.指孔のアンダーカット、 2.ウインドウエイの個別パーツ化について私流に分析してみた。

  1. 指孔のアンダーカット
指を持ち上げ孔を開いた時、一定の振動モードにある内管の空気に外気が影響を及ぼす。トンネル状の指孔よりアンダーカットされた指孔の方が反応が早いのは当然のような気がする。
特に音がひっくり返りやすい高域のトリルでかなりの改善があるし、指孔の間隔が少し狭くなったのは運指のやり易さにつながる。
 
写真は新ブレッサンの左手で押さえる指孔。左側から人差し指、中指、薬指だ。この内中指と薬指の孔にアンダーカットが施されている。
ここで射出成型におけるウエルドラインから考えてみる。
一番左側の人差し指の孔に着目すると写真では青色の細い線が見える。実はこの青色の線は、わかりやすい様に私が写真に書き加えた。実際の線は角度を変えながらよく見ると(青色の線と同じ位置)指孔から右方向に線を確認することができると思う。
中部管を射出成型で作る時,この写真で言えば左側のジョイント部分に金型の吹き込み口がある。そこからドロドロに溶けたABS樹脂が圧入される。樹脂は金型の中を走るわけだが、孔の位置に来ると金型が円筒状の柱になっている為溶けた樹脂が一旦左右に分かれる。柱を過ぎればまた合流するのだが、その時左右の樹脂の接合面にわずかに筋が入るのだ。(ウエルドライン)これは射出成型には付き物の現象だそうだ。ちなみに全音旧ブレッサンを調べてみると全ての孔にこのウエルドラインが見られる。では新ブレッサンではどうかと確認すると、左側の人差し指の孔は同様にラインが見える(梨子地仕上げで見えずらいが)ところが中指、薬指の孔は少し状況が異なっている。孔の外側に同心円状の筋が入っており、リコーダーの外壁より少し低くなっている。この部分を(オーバーカット)と呼ぶらしいのだが、このドーナツ状の部分にはウエルドラインが無いのが確認いただけただろうか。ウエルドラインは外側の同心円から始まっている。つまり中部管の射出成型時は外側の大口径の孔で成型され、その後ドーナツ状の部品を取り付けているのだ。やはり中側が広がった孔は一回の射出では成型できず、後で別部品を取り付けると言う二重の手間をかけているのだ。さらにメーカーによれば、4カ所のアンダーカットされた孔はそれぞれエグリの傾きや孔のサイズが微妙に異なる為、全部別部品だそうだ、それを接着剤ではなく高周波加熱により溶着しているとのこと。 手間がかかっているのだ。

  1. ウインドウエイの個別パーツ化
従来の樹脂製リコーダーのウインドウエイはちょっと極端に表現すれば、歌口を覆うクリーム色(象牙色)の部分、ブロック(茶色)の部分、  その他リコーダー構成部分などの部品によって囲まれた空間(すきま)がウインドウエイと呼ばれていた。ウインドウエイを発音上重要な部分と考えるなら、これでは十分な精度が得られにくいだろう。新ブレッサンではこのことを考慮したのだろう個別部品化してウインドウエイの形状の精度を上げている。8月に行われた「お披露目演奏会」では全音の説明員の方が、ポケットから頭部管のサンプルを取り出して、ウインドウエイの部品を取り外して見せてくれた。小さなチョコレート色だった。これにより吹いた時の感覚が理想的になり、水分による(詰まり)も回避しやすい。との説明だったが私はもう1つ重要な事があると思っている。樹脂製リコーダーは水分による「詰まり」に弱いが、この新ブレッサンはむしろ強いのだ、ウインドウエイの形状が正確に出来ているので水分を吹き出しやすいとの説明だが、私はウインドウエイの熱容量も関係していると考えている。
従来の楽器だとウインドウエイの天井、床、左右の壁とも他の部位例えばブロックなどの表面、であるわけだから、冷えた状態に息を吹き込んでも、冷えたままですぐに温度が上がりにくい、ところが新ブレッサンの場合小さな個別部品なので簡単に温度が上がってしまう。そして一旦温度が上がれば息を吹き付けても、もはや水分は発生しないことになる。
これは大変有効な性質ではないだろうか。もちろん水分の発生が抑えられるのはウインドウエイ部分だけで、高温で湿った空気はそのまま内管へ突入するわけでそこで水分を発生するのは従来の樹脂製楽器と同じだけれども。

関西での「お披露目演奏会」では、バロックピッチの替え管の話は出なかったようで、ちょっと気になるところだ。売り上げの伸びがイマイチなのかもしれない。