8/19/2018

ケーナ+リコーダー

中央がケーナ+リコーダー

写真 左から 全音ブレッサン、ケーナ+リコーダー、ケーナ(アハユ)

うろ覚えだし、作り話と思うが、今回妙に符合するような気がして思い出してしまった。

かのアインシュタインが肉体派の某女優に言い寄られた話
「あなたの頭脳で私の身体のような子供は素晴らしいじゃない」
「やめておきましょう、貴女の頭で私の身体だったらマズイでしょう」・・・

リコーダーはよくできた楽器で微妙なバランスの上に成立していると思うが、もう少し表現力を広げたいと思うことがある。音量にしても音程の変化にしても。

私はフォルクローレのグループにも参加していてケーナも少し演奏することが出来る。ケーナはボリビア式で指穴は内径に匹敵するほどの大口径、そのため音は明快でデカイが
クロスフィンガリングがほとんど不可能なのだ。そのため音程は多少ラフな点がある。
多分昔のケーナは指穴は小さかったと想像する。アルゼンチン式のケーナはクロスフィンガリングを前提としているようだし、「アンデスの家ボリビア」に在庫していたピンキージョのようなリコーダータイプの笛類も皆指穴は小さかった。
多分60年代ごろストリートミュージシャン達によってフォルクローレが作り上げられている頃ケーナも街頭でより存在感を出せるよう太くそして指穴は大きくなったのだろう。
(ベームフルートにおけるニコルソンの大指穴フルートの影響を思い出す)

そこで冒頭のアインシュタインではないが、ケーナの歌口を利用した発音の自在さとリコーダーの本体部分を使用した運指の確実さ、を併せ持った楽器を目指した。

以前このブログで紹介した時はガムテープによる仮止めであったが今回は ABS樹脂のパイプによる結合である。

この結合部分はガナッシタイプのリコーダーのように真鍮パイプを使用するつもりであった。
歌口部分に発生するエアリードの振動と管の中に発生する定在波との間で大きなエネルギーのやりとりが行われるので、やわな作りだとエネルギーをロスしてしまうから。

28φ,1mm 厚の真鍮パイプがカタログ上存在しているので、某製作所に見積もりをお願いして見たけれど相手にもされない。少量すぎるのだろう。まあ当然と思うけれど。仕方がないので新宿東急ハンズへ行ってみた。サイズ、材質共に選択肢が限られるが、① アルミパイプ30φ 1mm厚  ② 樹脂パイプ 30φ 2mm 厚 の2種類が使えそうだ。アルミのパイプでは変形の恐れがあるので、樹脂パイプに決定。
ケーナの歌口部分は マルセロ・ペーニャの竹製ケーナを使用
本体部分は全音ブレッサン旧 の中部管と足部管
結合パイプは 樹脂パイプ 30φ 2mm厚 50mm 長
結合部分の処理は樹脂パイプの内径が26mm ケーナ歌口部分の外径が約27mmなので全周を0.5mm程度削り、はめ込んだ。リコーダーの結合部は凧糸を巻いて樹脂パイプの内径に合わ
せた。

性能
音量  大口径大指穴のケーナのような大音量ではなく、リコーダーより少し大きい程度
音程  リコーダーの運指でほぼ全ての音が発音可能、ただしチューナーでドンピシャとなるわけではなく細部の見直しが必要と思われる。
発音の立ち上がり特性  ケーナのように少し遅れる、音量が小さくなったため余計目立ちやすいかもしれない。

楽器自体に習熟することで印象を改善することは期待できるが、使用できる場所が限定される。フォルクローレのグループに持ち込んでもチャランゴなどの個性に圧倒されるだけ。
さりとてリコーダー用のソナタなどではモタついてしまう。

ダニーボーイのような曲が向いているかもしれない、以前リコーダー合奏でナツメロメドレーを演奏したことがある。その中の一曲に美空ひばりの「りんご追分」がありケーナで演奏し尺八風な演奏を目指したが、周囲のリコーダーに音程を合わせるのに苦労した。このような場合かなり有効だろう。

中部管と足部管のリコーダー部分も簡単に交換可能なので、他のリコーダーを試してみるとより良い組み合わせがあるかもしれない。あるいはさらに進めて樹脂パイプで円筒内径のルネッサンスタイプを作るのも試す価値は十分ありそうだ。




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