12/27/2015

タラソフ氏のElody講座を受けてみた




リコーダーの音量や音色にちょっとばかり不満を持っているためかもしれない。
1、笛膜を使用して音にビビり音を加えたり。2、楽器に小型マイクを取り付けアンプで音量を拡大してみたり"ER"(Electric Recorder) 、3、EWIと呼ばれる木管楽器風なシンセサイザーを導入したりしているが、いまのところ決定打がない。そんな中ヤマハのリコーダーフェアにモーレンハウアー社のタラソフ(Nik Tarasov)氏が来日し、Elodyの講座を行うのだという。

Elody はモダンリコーダーにピックアップを仕込んであり、その電気出力をエフェクターで加工しアンプで出力する。
楽器自体にいろいろデザインされたペイントがほどこされているが、原理的に見れば、リコーダーに近接マイクを取り付けたと考えることができる。ここまでだと私の実験している"ER"(Electric Recorder)と同じことになるが、YouTube など見てみるとギター用のエフェクターを使いいろいろな音を出している。これは使えるかもしれない。
ヤマハに講座の聴講ができるのか問い合わせたら、聴講はやらないが、講座はまだ空きがあるとの事、この際とばかり思い切って申し込んだ。平日で仕事だけれど早めに切り上げて駆けつければ間に合いそうだ。

当日は思ったより早めにヤマハに到着、少し時間に余裕があったのでリコーダーフェアの会場に行ってみた、リコーダーがずらりと並ぶ中、モーレンハウアー社のモダンリコーダーを手に取ってみる。外観は装飾を取り去った簡素な感じ、足部管は円筒形で延長したような形。フルートにHまで出る足部管というものがあるが、それと同じ発想のような足部管だ。大口径の孔をふさぐためのキーが並んでいる。試しに全部の孔を塞いで息を入れると低音がバリバリ鳴ってびっくりしてしまった。
昔フルートを吹いていた頃最低音の"C"は鳴りにくい音で、弱々しい音しか出なかった、ところが上手い人が吹くとバリバリ鳴るのでいつかはそんな音を出してみたいと思ったが結局果たせないままフルートは断念したのだ。
憧れの音が簡単に出てしまうので嬉しくなって何度もバリバリを鳴らしてしまった。テレマンなどのオリジナルな曲の演奏にはそれ程有効とは思えないが、他の楽器のための曲をアレンジして演奏する場合は、絶大な力になるだろう。Elody はこの延長線上にあるのだ。

講座は小さな演奏室で行われた。片側の壁が鏡になっているのでちょっと恥ずかしい。
半袖のTシャツ姿のタラソフ氏は気さくに招き入れてくれた。とりあえず握手したが、挨拶まで通訳さんにお願いする始末。実に情けない。通訳の方は私の高校時代の先生に似ている方だったが、丁重で好感の持てる通訳で、私もビビる事なく質問できた。
エフェクターはiPadをドッキング式のインターフェイスにつなぎ、アプリはダウンロードしたとのこと。(多分 iTrack Dock , Ampkit +  )アンプは小型のスピーカー付きギターアンプを使用していたが、出力は十分出ていた。


タラソフ氏はどんどん演奏してくれる。出てくる音と曲種が合えばかなり面白い結果が得られる。オクターブ低くなるエフェクタもありこれも使えるかもしれない。備え付けのElodyであなたも演奏どうぞ。ということなので「ダニーボーイ」をニニロッソ風に演奏、音はトランペットでと注文すると、それは出来ないとのこと。「最初から音を合成するわけではなく、元の音に変化を付けるだけだから。」了解!
「そういうことならEWIがありますよ」とタラソフ氏 ありゃ!ここでEWIの話が出るとは思わなかった。

ハウリングマージンはどれくらいかと聞くと通じない、和製英語かもしれない。通訳さんも解らなかったのかも、私の説明を翻訳してくれている。タラソフ氏がフィードバック フィードバックなどと言っている 通じたんだ。早速エフェクトを指定し音量を上げて行くと、ビビビと発振しはじめた。そうかElodyでもハウリングがあるんだ。妙に納得。
ピックアップは何を使っていますか? 答えマイクロホンではない、ピックアップであるとのこと。ここは詰め切れなかった。出力は一芯シールドのフォンプラグ。コンデンサーマイクではないし、電池は使っていないようだからエレクトレットマイクでもない。まさかダイナミックマイクではないだろう。ラビュームのちょっと下側、右側面にコネクタがあるのだが、ピックアップは内管部まで貫通していないらしいのだ。表面側から採音しているのだろうか?これ以上は自分で調べるしかないだろう。
ピックアップ位置について意見を交わした。私の実験しているERはラビユームのちょっと下側右と伝えると、タラソフ氏はウインドウェイの上側が良いと言う。多分Elody開発でいろいろ実験した結果だろう。私が持参したER用小型マイクを見せると、興味深そうに手に取ってモダンリコーダーに取り付け実験してくれた。
ちょっと心配したが、問題なく動作し、音質もなかなか良いとの評価をしてもらった。ただハウリングマージンはElodyより劣っている。
リコーダーの表面に取り付けられたマイクは周りの空気の音を拾いやすいのは当然の結果と納得できる。しかしまだ改善の余地は十分あると思う。

Elody への私の評価
リコーダーの音を電気を利用して拡大することは、だれでも考えそうなことであるが、一歩進めてピックアップを楽器に埋め込みハウリングマージンを稼ぎ、巷に数多く出回っているギター用のエフェクタを使用して若者にも好まれる音色と演奏しやすさを実現できていることは大いに評価してよいと思う。そのための奇抜なデザインもある程度は理解できるけれども少しやり過ぎのような気がするし、価格もちょっと高すぎないかな。

注、ハウリング
マイクで音を拾いアンプで拡大してスピーカーを鳴らすわけだが、スピーカーから出た音をまたマイクで拾ってしまうと信号がアンプ回路の中を駆け巡り、発振してしまう、スピーカーにマイクを近づけるとキーンと音が出ることがあるが、それがハウリング。
一般的にはスピーカーとマイクを離せば解決する。スピーカーの音がほとんどマイクに届かなければよいのだ。

ところがElody やERの場合かなり条件が異なる。演奏者にはリコーダーの音が聞える、しかしそれはただのリコーダーの音色、スピーカーから発せられるエフェクトの効いた音が同等あるいはそれ以上に聞こえてこそElody を演奏していることが実感できるのだ。だからより高度な耐ハウリング対策が必要になる。

12/13/2015

ブロックフレーテンコーア演奏会

ブロックフレーテンコーア演奏会
2015年11月23日 浜離宮朝日ホール
昨年も聴かせてもらったので今回は2回目
実は学生時代の友人が演奏に加わっているのだ。


1981年結成で年1回の演奏会が今年で34回目ということだから毎年欠かさずきっちりやってきたわけだ。
豪華な会場。年配の観客が多いような気がする。
これだけの会場でしかも有料なのに、開演時にはほぼ席は埋まっていた。
ずっとブレずに堅実な姿勢を貫いてきた結果だろう。
プログラムしっかりしている。曲目解説も的確で良いと思う。

わたし自身もRicco Suono というリコーダーオーケストラにも所属しているので大人数でのリコーダーの合奏の困難さは  理解しているつもり。これだけの演奏レベルにまとめるのは大変だと思う。歴史ある団体だからこそ可能なことなのだろう。演奏者は黒服でピシリときめて素晴らしかった。などと書いてもおもしろくないので、少しけなしてみる。

ガブリエル 音に確信が持てない。不安定。最初の曲目ということもあるだろう。
セルミジ  楽器紹介  残響のせいかイマイチ音の輪郭がハッキリしない。ここぞとばかりの自己主張があっても良かったとのおもうが、なぜか皆ショボい音だった。トゥッティでは弾けるような喜びがあっても良いのではないか。
サティ。ワルツ もたつく。楽しくない。演奏しているだけ。
組曲2番 序曲良くない。決まる場所がない。曲をなぞっているだけ。ポロネーズのソロさすが。バディネリは早すぎるため少し苦しい。でもハラハラさせるのは効果的。やはりソロを前提とした曲なのだ。
パストラーレ 小節ごとに分離しているように聴こえる。曲の流れで押してこない。
アンコール曲
モーッアルト 嬉遊曲 かなり良い。緊張が解けたのか音に躍動感が感じられる。
 ヘンデル オンブラマイフ   ソプラノ ソロの音通る。音程、音量、リズムにヴィヴラートをかけ
背後のリコーダーオーケストラから浮かび上がってくるのは聞き応え十分だった。

全体を通して真面目に堅く仕上げた感じ、リコーダーの音色はそれほど表情ゆたかではない。だから四角四面にまとめると、上手いとは思っても真面目人間の集団のようで楽しくない。だからガッチリまとめるのは良いとして、どこかに突破口がないといけないのではないか。

12/12/2015

第29回リザーブコンサート

パランポランの演奏

第29回リザーブコンサート
2015年11月8日(日) 12:45 開演
会場 座・高円寺2
今回の幹事団体はスプリング・ウインドとすずしろリコーダークラブ。
会場確保に苦労されたようで ご苦労様でした。


<参加団体> 演奏順
Ricco Suono
イル・ヴェント・カルド・スペチアーレ
パストラーレ
トレット
カプチーノ
こおろぎ
アンサンブル O
リコーダーアンサンブル☆ G クレフ
スプリング・ウインド
武蔵野リコーダーコンソート
すずしろリコーダークラブ
パランポラン
ウィンドベル
リコーダーコンソート青葉

私たちRicco Suono は一番で演奏したが、終ると帰ってしまった方が多かったように思う。
演奏しただけで帰ってしまうのは実にもったいない。他のグループの演奏も聴き、自分たちの演奏と異なる部分は当然あると思うが、それを打ち上げの会などで相手にぶつけてみれば、得るものも多いのではないだろうか。

出演団体の顔ぶれがだいぶ変わった。少し前ならリザーブの主の様な常連のような方達もかなり見かけたのだが、ここのところすっかり少なくなってしまった。以前のように決まった会場日付で開催出来なくなった事も影響しているのだろうが、それだけの理由ではなさそうだ。演奏グループも変化する。ずっと同じわけではない。
私の所属していたHRC(平尾リコーダークラブ)も過去何回か演奏したけれどもここ何回かはパワー不足のためか出場していない。
「昼下がりのコンサート」のような気軽な演奏の場は増えているのだが、リザーブとなるとちょっと格が上のような気がしてビビってしまう部分があるのかも知れない。


参加団体の持ち回りで運営され特定の団体と結びつかない演奏会は貴重だと思うし、ちょっと毛色の変わった演奏もやりやすいと思う。過去にはルネッサンスリコーダーのみとか、チェロとリコーダー、リコーダーと琴など意欲的な演奏もあった。今回も専門の打楽器奏者を加えたちょっと変わった演奏もあった。

会場確保が今後の課題となるが、いろいろな種類の団体も出場できるし、団体間の交流もおおいに意義のあることだと思う。

発表の場としての演奏会は当然定着しているが、もう少し交流の場としての意識と運営は考慮されても良いのではないだろうか。

35回昼下がりのコンサート


前回6月から3ヶ月ほど、今回はウインドベルが演奏に参加してくれた。
HRC以外の団体の演奏は観客にとっては多彩さが増えるし、演奏者もお互いを間近に見ることが出来ていろいろと参考になると思う。
かなりおそくなってしまったが、書いておきます。
演奏会などが連続していて、一つのブログに引っかかってしまうと、次々と渋滞を起こしてしまうのだ。

ウインドベルの3曲はバッハだったし、HRCも前回のリベンジであるプレリュードとカンタータ「主よ人の望み・・・」を演奏したのでクラッシック系はバッハがひしめくことになった。

多数とは言えないが、演奏会の度に足を運んでくださる方たちがいるのは実に有難いことなのだ。


プレリュード
この曲は前回のコンサートで途中で合わなくなって止めてしまったため今回はリベンジということで演奏した。
しかし途中で私の楽器のサムホールが水分で詰まってしまい、止めざるを得なかった。
本来なら一人で演奏する(オルガン)ので演奏者の中にある曲の流れあるいはリズムに基づいて右手、左手、足の声部が動く、ところがこれを4人のリコーダー奏者で演奏すると、4人が別々にリズムをとりだしたらえらいことになる。たとえクオーツの正確さでもダメなのだ。
4人が一つのリズムを共有し、それに自分の演奏を乗せなければ意味がない。長い休符などは見失わないために数えることはあるけれども、演奏が始まったらすぐに流れに乗るべきだ。いつまでも足で拍子をとっているのを見かけることがあるが、実に見苦しい。
とりあえず最後までまで演奏することは出来たが、各パート間で、呼応したり、かけあったり、そのうえ声部の主張も込める、ことに対しては、不十分であったと思う。これは自分のパートの演奏に精一杯で、他のパートを聴く余裕のがないためで、これは単に合奏練習の回数を増やせば解決するほど単純ではないだろう。

主よ人の望み・・・はEWI の演奏会デビューと言ってもよい。
あまりにも有名な曲だけれど全てのパートをリコーダーに振り当ててしまうと、3連音符の旋律と、かぶさってくる歌が混濁してしまう。だから器楽だけの演奏では、この歌のパートはオーボエとかトランペットのような特徴ある音質の楽器に受け持たせている。
そのため今回はEWIのオーボエ風な音を使用して練習を始めた。何回か演奏するうち、この音源でトランペット風な音にすることも可能なことを発見した。アンプのVRを少し下げておいてタンギングを伴った強い息を吹き込むと、トランペット風な音になる。そもそも両者の音質構造は似ているのだろう。だから音の立ち上がり部分を変更すれば全体の印象も変わり全く異なる楽器のように聞こえるのだ。
本番の演奏でもトランペット風な音を使用した。演奏していて気がついたのだが、古楽器のコルネット(注1)にそっくりだと思った。サイズも木管楽器風な運指も然り。右に傾けて演奏すれば気分はまさにコルネット。演奏後にトランペット風な音は良かったとの感想をいただいたので、とりあえず成功だったのではないか。

バッハのドッペルコンチェルトはウインドベルの方達と一緒に演奏した。まだ完全に習熟したわけではなかったが、急遽演奏することになったのだ。そのための後半を省いて演奏したが、まあ仕方がないか。1stと2ndの絡みだけではなく、bassも同等に口を出してくる。やはりバッハだ。余裕の演奏ではなかったがとりあえず演奏出来たことでほんの少しだけれども自信を得たような気がする。バッハのフルートソナタなどにも挑戦してみたくなった。

次回の「昼下がり・・」は1月の31日(日)を予定している。


注1 ブラスバンドで使用するコルネットとは違う。ルネッサンス以前から使用されていた古楽器でマウスピースはホルンやトランペットのような金管楽器系、楽器本体は筒状で指穴を開閉し木管楽器風。

10/25/2015

横断歩道


以前 仕事帰りに、ぼんやりと赤信号の横断歩道の前で立っていた。片側一車線の道路で短い距離なのだが、広い道に合流するので交通量は比較的多い。道の向こう側にも3人ほど信号待ちしている人の姿が見えた。その内の1人がサングラスの女性だった。ア! 白い杖を持っている。・・・
私は信号が青に変わったので慌てて横断歩道を渡り、目的の方向に歩き始めた。そこで先ほどの女性のことをチラリと思い出し、振り向いたのだ。彼女はまだそこにいた。白杖で歩道をカンカンカンと突いている。左折のタクシーが通ったりしているので歩道が渡れないのだ。私は近づき声をかけた「何かお手伝いしましょうか?」女性は「渡りたいんです」 肩に手を触れてもらって誘導するらしいことは思い出したが、どのような体勢で肩に手を触れてもらうか分からない。とりあえず彼女の手が私の腕に触れるようにして歩道を渡りきった。「渡りました」 「ありがとう」・・・

昨日また同じ信号で待っていたら、前方に例の彼女が立っているのが見えた。雰囲気はちょっと変わったようだが、サングラスの形で判る。失礼かとも思ったが、信号のこちら側で観察させてもらった。歩道を杖で軽く突いている。中年の女性が一人また一人と横を通って行くが、気がつかないようだ。 3人目の女性は気がついたらしく1〜2歩近づいたのだが、結局声もかけず信号を渡ってしまった。ダメだ信号が変わってしまう。私は急いで横断歩道を渡り、声をかけた「渡りますか?」 ・・「お願いします」
正しい方法はまだわからなかったけれど、前回よりは落ち着いて誘導することができた。

改めてその横断歩道に一人で立ってみた。近くの大きな信号と同期しているらしく、なかなか青にならない、一旦青になるとかなり長いのだ。そして青に変わる時、合図の音など全くない、だから目の不自由な方にとっては雰囲気で感じるしかないのだ。それなのに左折車などがどんどん進入してくるからさらに判りにくいと思われる。私たちにとって何の変哲もない横断歩道でも多くの問題があるのだ。

先日は盲導犬と一緒に歩いていた方がトラックにはねられ亡くなられた。犬は逃げる事はできたろうに、職務を全うするため主人と運命を共にしたと伝えられている。また目の不自由な姉妹が事故に遭ったとの報道もあった。

社会のこのような問題は多くあるはずなのだが、目につきにくい。関係者も声を上げにくいこともあるかもしれない。車椅子や手話しかり。もっと注意深くこれらの問題に向き合わなければならないと思った。

エレクトーン奏者でもある 平瀬徹さんのホームページ「街で視覚障害者と出会ったら」 は参考になりました。ぜひ目を通していただきたいと思います。


米軍の空母に乗り込み、戦闘機のコックピットに座ってはしゃいでいる「エライ人」がいたけれど情けない。戦争ごっこの好きな子供みたい。こういう方に社会の底辺にあるいろいろな問題に気づくことを期待するのは、そもそも無理なことなのだ。

ネックストラップの自作


自作したストラップ

EWIを始めたらネックストラップが気になりだした。
EWIはかなりの重量があるので、ストラップは必需品だが、リコーダーとEWIを素早く持ち替えたりするため、ずっと首に付けておかなければならない。首が圧迫されたり、調整がぎこちなかったり大いに不満を感じていたのだ。
EWIを演奏しているプロたちが使用しているストラップで気になる形を見つけた。翼を広げたような形で、首が圧迫されず安定感がありそう。BIRD STRAPの名称で販売されていることがわかった、主としてサックスに使用されているらしいがサイズも何種類かあり、結構よい値段だ、各部のパーツだけでも購入できるので、新大久保のクロサワ楽器で中心部のV型プレートだけ入手した。
首に掛ける皮パッドの部分は使用していないストラップの物を流用。他の部品、紐とかナスカンは新宿のハンズで入手出来た。
・紐  3φテトロン黒 90cm
・ナスカン  樹脂製のフックという手もあったが、EWIの重量を考えると突然折れることも考えられるので金属のナスカンを使用した。ハンズでは皮の加工コーナーに小型のナスカンが何種類も置いてある。デザイン的には小さな物にしたかったが、取り外しの簡便さや強度の点でテッポウナスカンのこのサイズを採用した。
紐の通し方はV型 プレートに説明が付いているし、この写真でも解ると思います。
紐の端末はカットしたらライターの炎などで軽くあぶることにより先端が溶着してほどけなくなる。皮パッドのハトメ穴に通して一回結んだら、針と糸で端末と紐を何回か貫通させ、最後はぐるぐる巻いて縛れば完成(下手なイラストあり)。メーカーではここを固定する金具(ブレードクリンチ)も出しているが、私は糸を使った方が確実のような気がする。


結果的にメーカーの完成品と同じような構成になってしまったが、メンテナンスは自由にできるし、何よりも価格が安い。
使ってみると長さの微調整も簡単だし首への圧迫感もない。満足出来る仕上がりとなった。

バスリコーダーのストラップへの拡張
バスリコーダーの音色は好きだし表現力もあると思う。運指が少しぎこちないのは、楽器の保持に問題があるからだろう。ストラップなしで足で挟んで演奏しているので、安定せず、低音に問題が出たり運指にしわ寄せが来たりするのだ。
以前は楽器に脚を付けたりしたが、管の下側の穴に差し込むタイプだったので、安定は良かったが、最低音に影響が出たり楽器ケースに収まらなかったりしたので、結局使わなくなってしまった。今回はストラップでやってみよう。

ただバスリコーダーの場合、取り付けフックの位置が腰の近くになり、ストラップの長さがかなり長くなる。写真で言えばAの部分がかなり長くなるわけだが、この部分は紐が4本あり、絡みやすい場所なのだ。調整範囲は広くなるがあまり意味がない。
今回はEWIのストラップを流用し、不足分は延長リードを使用することにした。安定感と強度を求めこの部分は平テープを使用してみた。上側には小型のDリング、楽器取り付け側は楽器に合わせて小さなナスカンを使用した。
もしバスリコーダー専用のストラップを作る場合でも、延長リード使用は十分意味のあることなので、お勧めする。

取り外す必要はないから、テッポウナスカンとDリングの使用はやめてOリング一個で一体型として作れば良いと思う。

9/21/2015

ケナーチョ入手

ケナーチョとケーナ リコーダーと比較している

月一回 堀之内のワープに集まってフォルクローレの練習だ。
ケーナで参加しているが、リコーダーとはまた異なる世界で楽しんでいる。

I さんが練習の合間にケーナ?をとりだして吹き始めた。ちょっと大きめ、ケナーチョだ!
ケナーチョは一時挑戦しようと思ったことがある。南米製の楽器を何本か手にとってみたが、ケーナと比べて大きく扱いにくく、音も出しにくく断念したことがあるのだ。
ケーナでもアハユとかマルセロペーニャ製はかなり強い息とそれを支える強力な腹筋で低めな音程をピューと吹き上げると正しい音程と美しい音色が得られるのだが、貧弱な肉体で練習時間も少なければ吹きこなすのは難しい。ましてケナーチョはそれ以上のパワーと安定性が必要なのだ。

I さんは楽器を2本並べて「大福から送ってきた」「10年物の竹を使っている」などと言いながらニコニコしている。悪魔のささやきだ。
手にとって音を出してみた。とりあえずスカスカだけれど音は出た。何とかなるかもしれない。値段も破格と言っていいほどだ。
思わず「一本下さい」と言ってしまった。ケナーチョを入れる袋も付属して丁寧にミシン掛けしてあり、紐の両端には飾りが付いている。この楽器への製作者としての思いが込められているような気がする。

<ケナーチョの説明>
ケーナよりも大型で低音を出すことができる。
ケーナは通常G管で全部の孔をふさぐと(右手の薬指まで)Gの音が出る
ケナーチョは通常D管で全部の孔をふさぐと(右手の 薬指まで)Dの音が出る。
リコーダーを基準に考えればそれぞれ足部管のないアルトリコーダー、テナーリコーダーと長さ、運指とも近いと言える。
ケーナは高音で技巧的なフレーズがかっこいいが、ケナーチョは中低音でじっくり聴かせる例えばダニーボーイのような曲が向いているような気がする。

写真はリコーダーと比較している。小型のケーナはアルトリコーダーと、ケナーチョはテナーリコーダーと並べてある。

大福印のケーナ入手については過去のブログでどうぞ。製作者竹田さんの演奏「コンドルは飛んでゆく」も紹介してある。

9/12/2015

リコーダーでドッペルコンチェルト

J.S.Bach

最近練習にお邪魔させてもらっているウインド・ベルのTさんから連絡があり、バッハの二つのヴァイオリンの為のコンチェルトをやりませんか? アーッ あの曲だ!

今から半世紀ほど昔、私が小学生だった頃、ヴァイオリン教室に通っていたことがある。
熱心に練習と言いたいところだが、劣等生に近い存在だったようだ。発表会などでは上級の人達がバッハのこの曲を弾いていた。
確か鈴木メソッドに取り入れられていたはずだ。当時は届くはずのない曲であったが、半世紀を経て挑戦の機会が回ってきたのだ。

参考の為YouTubeで検索してみると有名な曲だけに多数のヒットがある、いかにも練習曲といった演奏もあるが、プロ達によってキッチリ演奏された素晴らしい動画が幾つかある。私のお気に入りはこれ Concerto for Tow Violins
ヴァイオリンならではの小気味よさで、これをリコーダーでそのまま再現は無理、少しテンポを落としてリコーダーらしい味のある演奏に仕上げたい。
リコーダーでは積志リコーダーカルテットの編曲がある。原曲のニ短調はそのままだが、リコーダーの音域の関係でオクターブ高く演奏する箇所が多いので第一ヴァイオリンのパートはソプラノリコーダーを使用している。第二ヴァイオリンのパートだってアルトリコーダーだがやはり高音が多いので場合によっては足まで動員しなければならない。ヴァイオリンの華やかな音に肉薄するには納得できる編曲だと思うが、、演奏はかなり困難だろう。 YouTubeで 積志リコーダーカルテット は見事に演奏している さすが! 

もう一つ別な編曲で”らぶしゅーべると”さんの編曲がある。二つのヴァイオリンは二本のアルトリコーダーに置き換えられ、オクターブの移動もあまり無理な移動は避けているらしい。アルトリコーダーのパートはこの編曲を使うとのこと。

早速プリントして見る。
やっぱり!思った通り16分音符の連続そして五線譜だけでは足りないので加線を何本か追加しての高音がずらり。無理な移動は避けているとは言え これだって大変だ。

少し時間を捻出し練習した。また通勤時にiPodでプロのヴァイオリン演奏を聴くように心がけた。しばらく練習しているうち、全体の流れがどうも日本のリズムで構成されているような気がしてきた。太鼓が ダッ ダッ  ダダーン  ダッ ダッ  ダダーン 続いて鉦がチャンカ チャンカ チャンカ チャンカ そしてワッショイ ワッショイのかけ声も聞こえてくる。バッハ正統派が聞けば一蹴されそうだが、とりあえずこの感じで行くことにする。

原曲のヴァイオリンパートもダウンロードできたので比較してみてかなりびっくりした。音域が低いのだ。五線を越える音はほとんどない。
テナーリコーダーの楽譜のようだ。そして五線の下側の音がかなりある。D線、G線の存在が物を言っているのだ。それでいて華やかな音が響くのは、倍音を圧倒的に多く含み、さらに見事な演奏テクニックがそれを倍増してるのだろう。

リコーダーで協奏曲の華やかさを少しでも出したいとなれば、アルトリコーダーで加線の多い高音を必死で演奏するしかないのだ。

それともう一つ協奏曲なので後方に弦楽合奏がある。トゥッティの時はソロ奏者は少しリラックスできるがリコーダー4人で演奏するとそうは出来ない。全体がソロと同じになってしまうので緊張の連続となる。

曲の仕上げはもう少し先のことと考えていたが、急遽”昼下がりのコンサート”で演奏することになった。先日練習時の録音が送られてきた。各パートともかなり演奏出来ている、ただ楽譜を追うのが精いっぱいな感じもするので、もう少し習熟すると共に、全体のバランスを考慮しながら演奏できるとかなり面白くなりそう。各パート間の絡みの部分、単独での演奏だがトゥッティ とソロ の部分を意識する等。

さすがバッハ。曲がしっかりしているから煮ても焼いても大丈夫、時に下手に料理してもそれなりに食える。


この曲を公民館で練習していた時 隣の部屋に稲城フィルの弦楽器パートが集まって練習を開始したようだった。彼ら弦楽器奏者たちにとっておなじみの曲だろう。我々の練習は聞こえましたか?今度一緒に演奏しませんか?(実は我々の楽譜はニ短調でヴァイオリンの楽譜と全く同じなのだ)。でもそこまで実行するだけの勇気はありませんけれど。

8/30/2015

リコーダーから見たEWI


まだ不慣れな部分も多く試行錯誤を重ねているが、今の時点で気がついたことを書いておきます。


写真はいつもの  MACKIE SRM150 アクティブスピーカーではなくミキサーを通してパワーアンプにつないである。アンプには簡単なプリアンプがついているから、直接EWIをつなぐことも可能だ。次はコネクタを工夫したケーブルを試してみよう。


EWIの基本の運指はリコーダーの運指に似せてある運指のほか、フルート、オーボエ、サックス、類似の運指モードがあり、さらに3本のピストンで演奏する金管楽器風の運指まである。
ただ標準のリコーダー風の運指にしても。ドイツ式運指の1オクターブ目に似せて、それを繰り返すわけだから実際のリコーダーとは異なる運指と言える。楽器の重量もあり、ストラップは必需品、リコーダーから気軽に持ち替えという訳には行かず、全く別な楽器と言える。運指の一部に似ている部分が有ったにしてもそれは全く些細なことでしか無い。


設計の詳細はわからないが、音と運指の関係はこんな感じではないだろうか。

ドから始まる1オクターブは半音を含めて12あり、最後にドを付け足せば13となる。
一方EWIのトーンホールはタッチセンサーで位置に関係なく自由にオンオフ出来る。
さらに上から順番に穴を塞ぐなどという制約も全く無い、理論上の組み合わせを数えてみると

左手の親指はオクターブキーに、右手親指はアースとピッチベンドに使用するから除外して残りは小指も含めて8本。
左手の小指はキーが2個あり、どのキーも押さない選択もあるから、3種の動作が可能、
右手の小指はキーが3個あるから4種の選択が可能
右手人差し指はトーンホールの横にキーが1個あるから3種の動作が可能。
その他の指は 押す/押さない の2動作l
この組み合わせパターンの数は順列組み合わせで

2X2X2X3X3X2X2X4=1152 
木管楽器の常識から外れるパターンはどんどん捨て去ってもまだ十分すぎる余裕がある。このパターンと上記13音を関係付ければ、運指表は完成する。しかし全く突飛な運指を作っても、意味のないことだから、木管楽器の原則を踏まえた類似の運指が並ぶことになる。
しかしクラリネットの運指表がないのにお気づきでしょうか?クラリネットは閉管でオーバーブローした場合オクターブ上ではなく12度上の音になるので、オクターブの運指を確定してオクターブキーで切り替えるEWI方式が馴染まなかったのだろう。

私はリコーダー運指に似せてあるEWI運指を使用しているが、全体のイメージとしてはテナーリコーダー(ドイツ運指)、ソプラノリコーダー、ガークライン、・・・・・・とC管が並んでいて、オクターブローラーで切り替えて次々と持ち替えていく感じ。低いほうも同様に、テナーリコーダー、グレートバス、コントラグレートバス、・・・・・となる。C管のリコーダーをズラリと並べた配列で8オクターブの音域をカバー出来る。写真はEWIの裏側、テナーリコーダーと全長はほぼ同じ、左手親指で操作するオクターブローラーが並んでいるのがわかる。

EWIとテナーリコーダーの裏側


トランスポーズ(移調)の機能があり、シャープやフラットが沢山付いた調でも、ハ長調の指使いで演奏できてしまう。これなんか便利といえばその通りなのかも知れないが、実感がわかない。
ただこの機能でリコーダー奏者にとって便利と思われる使用方法を見つけた。トランスポーズのプリセットでinFを指定しておく。これに切り替えると、

アルトリコーダー、ソプラニーノ、・・・・低い方はアルト、バス、コントラバス・・・をオクターブローラーで切り替えてゆくことになる。ズラリとF管のリコーダーを並べた感じ
アルト運指(アルト指)注※は大部分のリコーダー奏者がこれとソプラノ運指の2種類の運指を使い分けることができるので、曲によっては便利かも知れない。

フォルクローレの演奏でプルルーナスをやることになった。ケーナ、チャランゴ、などの演奏は大丈夫なレベルと思うが、サンポーニャはちょっと弱いかな。プロたちの演奏はここでトヨと呼ばれる大型のサンポーニャを二人で交互に鳴らして超低音を轟かせるのだが、我々アマチュアには手の届かない世界だ。小型のサンポーニャで演奏し、EWIで低音を重ねたら迫力が追加されて面白いかも知れない。試してみる価値はありそうだ。次回の練習日に持ち込んでみましょう。何しろ8オクターブもカバーしているので、超低音など簡単なのだ。・・・・・・そのつもりで練習に持ち込んでみた。

荷物が多くなるのを嫌って、会場に置いてあるエレキギター用のアンプを使用させてもらった。・・結果はちょっと失敗。
私の演奏技術がまだ未熟なせいもあるが、EWIの音がケーナとかチャランゴに押されて沈んでしまう。音が小さいのではなく、スピーカーから出る音がおとなしいのだ。ケーナとかチャランゴは生楽器としてけばけばしいほど自己主張がある。VRを回してアンプの音量を上げればよいではないかとの声が聞こえて来そうだが、そうすると音の圧迫感だけが強調されるだけで音が前面に出てこないのだ。もし音量計のような測定器があったら十分に音量は出ていることが確認できるはずだ。

これはアンプとスピーカーの品質も多少影響があるかも知れない。
 口径を稼ぐだけのぼてぼてのコーン紙のスピーカー、パワー不足のアンプ、ギターのときはそれなりに個性的なのかも知れないが、EWIには向いていないと言えるだろう。やはり十分なパワーを持ったアンプでしっかりとスピカーを駆動したい。


注 ※ アルト指  (リコーダーを演奏しない方たちへの簡単な説明)
アルトなどのF管の楽器をソプラノと同じ運指で音階を吹けばヘ長調(F)の音階となる。これは移調楽器だから合奏する場合は、楽譜を書き換えなければいけない。しかしそれでは面倒なので運指で移調に対応する、例えば右手指を全部開き左手指を全部閉じれば、ヘ長調の音階で”ソ”の音が鳴る、実はこの音はC音であるからこれを”ド”と呼び運指を再構築するとあたかもC調の実音楽器のように扱える。これをアルト指(アルト運指)と呼ぶ、これにより同様なF調の楽器(ソプラニーノ、アルト、バス、)などを実音楽器のように扱うことが出来る。ちなみにソプラノ指とは一般的なソプラノを演奏するときの運指を指し、アルト指と区別するために用いられる。

7/08/2015

第34回昼下がりのコンサート


 6月28日、ポーポーの木
ちょっと時間が経ってしまったが、写真も届いたことだし、記録しておいたほうが良いだろう。

今回の特徴はお客さんが多かったこと。たぶん今まででいちばん多かったのではないか。椅子を多く配置したのに、それでも立見があったようだ。
Tさん編曲の童謡のメドレー、歌謡曲のメドレーはそこそこに仕上げることはできた。
クラリネットやリュートの演奏もあった。楽器の多彩さについてはどこにも引けを取らない。
しかしバッハのプレリュードとシャイトのベルガマスカは練習に時間をかけた割には良くなかった。プレリュードは後半各パートがバラバラになり、収拾がつかなくなったのでストップをかけるしかなかった。
これがお客さんにけっこう受けたようで、楽しそうな歓声が上がっていた。それはそれで良いのだが、時間を割いて練習したのにかなり残念。HRCにとって難しすぎたようだ。リベンジだなどと声が上がっていたが、次回やるにしてもこのままだと同じことになってしまう。
演奏レベルに余裕が持てる曲ならば、何回か合奏をくりかえせば、仕上げることは出来る。
しかし自分達の技術レベルギリギリのような曲は漫然と合奏を繰り返しても効果は望めない。

最初に全体の見通しを持つため、ざっと合奏してみる。
これで自分にとって難しい場所、出来ない場所が明らかになる。
ここでもう一度個人練習に 戻り、むづかしい場所を納得できるまで練習する。
場所が特定されているから、回数を重ねるのは容易なはず。そのフレーズだけでも暗譜できるぐらいまでやる。
このようにして各パートが細部まで見ておけば、全体の合奏に戻ったとき他のパートを聴く余裕も生まれるのだ。
今回の反省すべき点はまさにこの点では無いだろうか。

シャイトのベルガマスカも難しそうな曲が無事演奏できたというだけで,曲の魅力を引き出すことが出来なかった。やはりどのレベルまでの演奏をするのかしっかり自分たちで見極められなければならない。

曲の解説。
童謡や歌謡曲は演奏すればお客さんはわかってくれる。
しかしバッハのプレリュードです。と言って演奏しても目の覚めるような素晴らしい演奏や感動的な音色でない限り、お客さんの心をこじ開ける事はできない。適切な説明がそのきっかけを作る事ができると思うが、長すぎてはいけない。何を話し何を省くか。
 以前聴いた積志リコーダーカルテットは実に上手かった。選曲、アレンジ、演奏、そして解説が連係していて絶妙。真似したいけれど道は遠すぎる。

EWIは簡単な曲でお披露目するはずだったが、ちょっと音を出してみる程度。やはり簡単ではない。
演奏中 棚の上にリュート

7/01/2015

EWIがやってきた

AKAI EWI4000s と MACKIE SRM150 ソプラノとアルトリコーダー


EWI (electric wind instrument)  
リコーダーのソナタなどを演奏するとき、通奏低音としてチェンバロとかビオラ・ダ・ガンバなど演奏者をお願いしなければならない。またバッハのカンタータなどをリコーダー合奏にアレンジする場合も、リコーダーだけだと同じ音色になってしまうので、オーボエやトランペットなど異なる音色が欲しくなる。その都度奏者をお願いできれば良いのだがそんなことは出来るわけもない。
じつは、ヴィオラ・ダ・ガンバならなんとか演奏出来るのではないかと思っていた。

ヴィオラ・ダ・ガンバはチェロをひと回り小さくしたぐらいの大きさでコントラバスのような”なで肩”だ。それにチェロと比べると外観がちょっと貧相のような気がする。
平尾雅子門下生ヴィオラ・ダ・ガンバ発表会 2015年6月7日 近江楽堂

Facebookで知り合った若いガンバ製作者の"I"さんの情報だ。

弦は7本で指板の途中までフィレットがある。
そんな形態から想像して、フィレットに頼りローポジションで開放弦も多用するおっとりした演奏ではないかなどと考えていた。


しかしそれはプログラムの最初の数曲だけで、あとは楽器がガンガン鳴り出す。フィレットの無いハイポジションにもどんどん指は移動する。それと弓を持つ右手の動きが華麗。"I"さんも若い達者な奏者と組んで見事な演奏を披露してくれた。通常 製作者はおとなしい演奏をするような思い込みがあったがそんなの全く関係ない。実に頼もしい演奏者でもあった。
演奏は素晴らしかったが、私にはいまさら無理な世界とあきらめるしかなかった。

鍵盤のキーボードが操作できれば、簡単なシンセサイザーでとりあえずの目的は果たせると思うが、ピアノの心得が無いので一本指操作から抜け出せない。
そんな折EWI(イーウイ)を見つけた。木管楽器タイプのシンセサイザーで運指もリコーダー風に出来るとのこと。

リコーダーの演奏を改めて振り返ってみると結構大変なのだ。音域は通常2オクターブと2音と言われているが、高音部は複雑な運指の上発音自体もかなりバランスを必要とする。低音部だって深い安定した息でしっかりささえないと、満足な音が出ない、では
中音部は野放図に吹けるかと言えば、そうではない。上下の音とバランスをとるため中音部もしっかりコントロールする必要がある。ところがEWI(イーウイ)はドイツ運指の1オクターブ目とよく似た運指を繰り返すことで8オクターブもカバーしてしまうのだ。便利を通り越して堕落かも。開けてはいけない玉手箱を開けるような気がする。

機種はAKAI  EWI4000s  YAHOO オークションで入手した。
ソプラノサックスとサイズは似ているらしいが、リコーダーと並べてみた。
実際にリコーダー合奏の中で使用した感想は今後レポートするつもりだが、とりあえずの演奏出来る体制にするために必要なな機材。
1、本体  EWI4000s
2、アンプとスピーカー   MACKIE SRM150 アクティブスピーカーシステム
3、電池  単三4本  ニッケル水素電池 (エボルタ)
4、1/4 フォン ケーブル 
他に音色をedit するためにはmidiに対応したオーディオインターフェースやmidiのケーブルが必要になるが、こちらは別途考えることにする。
フォンケーブル、エレキギターでも使用しているので、いろいろ品数は豊富だが1000円以下の格安品はヘナヘナ部品で心もとないし、3000円程度の(一見高級品)にしてもケーブルに無酸素銅 (OFC)にピカピカメッキのプラグも値段は高いが、構造は格安品とあまり変わらない。半田付けができるなら自作をお勧めする。

このような場合、通常は一芯シールドを使用するが、信号は芯線を通って送り出される。帰りは?、シールドに使っている編線を通るしかない。なんたる不公平、シールドに使っている編線が入口から出口まで一本でつながっている保証は無いから接触抵抗だらけ、芯線だけ無酸素銅(OFC)だの純度99.999・・・%などと吹聴し、金メッキで飾り立てても、効果ありとはとても思えない。
使用により音が良くなるような記述まであるが、
一種のサギのようなものだと思える。原音より音が良くなるはずはない

私は・・・・・・1500円程度で自作した。
プラグは Neutrik社 NP2X  NP2RX 一方はストレート、楽器側はL型、ケーブルは一芯シールドではなく、バランス伝送に使用する2芯シールド、カナレのマイクケーブル L-2T2S、

プラグの図面はN社のサイトからダウンロードできるし、線材の加工寸法なども記載されている。
二本の芯線の片方(青)をプラグのチップに、半透明をリングに接続した。シールドの編線は信号送り出し側でもあるEWI側つまりL型プラグのみリングに半透明の芯線と一緒に半田付け、逆サイドはオープンのまま。

実は各機器のアースを接続することはちょっと怖いこともある。各機器のアースの電位が同じではないためループ電流が発生したり、極端な場合は金属部分を触るとビリビリ感電することもある。 これは電源の設計の違いや、各国のAC電源のアースのとりかたの違いによる訳だけれども、使用する我々にはブラックボックスなのだからどうしようもない。私のようにケーブルに小細工しても必ず効果があるとは限らない。 実際に使用してみればまた別の問題も出ると思うけれども、このブログで取り上げて行きたい。

バロックピッチへの対応
冒頭でも通奏低音に使用したいなどと書いた、まだ実際に使用した訳ではないが、スペックシート上で調べると、
A音=440Hzを416Hzまで変更可能、415Hzにはちょっと届かないが、これでもなんとかなる、またトランスポーズの機能を使えば半音低い調に移動することもできるので、これでも対応可能と思う。平均律に固定されている問題点は実際に使用してみなければわからない。

6/06/2015

フィアウティ・デコーその2

以前ブランデンブルグの4番でフィアウティ・デコー(エコーフルート)を再現した楽器での演奏をブログで紹介した。Voice of Music; original instruments 
その記事をフェイスブックでも紹介したところ、反論の書き込みがあった。それは楽器ではなく演奏形態でエコーを表現するべきではないかとの意見であった。そのままここに転載することも出来ないので、概略を記す。

----------------------Facebookへの書き込み----------------------------
『そのような楽器を作って演奏している人たちも存在するけれども、エコー楽器の指定は現代まで色々例があるが、離れたところで演奏しなければエコー効果はないのではないか。バッハの時代はすでにリコーダーは持ち替え楽器ですから誰でも演奏出来たはず』としていろいろな議論があることも紹介してくれた。

それに対する私の意見(反論)
『エコー効果だけ考えれば他の楽員が離れた位置で演奏するとか、演奏者自身がその楽章のときだけ移動すれば簡単だし音響的にも視覚的にも変化があり楽しめる。実際の演奏や録音でもそのように行われた例があることは十分承知していますし、実質的にはそれも良いと思います。
しかしバッハ自身が 二つのフィアウティ・デコー とわざわざ書いていること、それらしい楽器が現存していること、第二楽章のアンダンテでは"f"と"p"が交互に指定されているのでこの場所がエコー効果必要な場所と思えるのですが、二つのフィアウティ・デコーのパートが"f"も"p"も連続して演奏するように書いてあること(離れて演奏するなら"p"部分だけの演奏でよいはず)  など考慮すると楽器自体でエコー効果をねらったと思いますし、バッハもそれに期待を持っていたのではないでしょうか。』

-----------Facebookでのやり取りは以上です----------------

確かに今回オリジナル楽器を再現したとして演奏している録音は、私が聴いてもそれほど絶大な効果があるとは思えない。(演奏者としては異なる見解かも)
それならば離れた場所で別の奏者が演奏すればエコー効果は簡単に実現できるし、視覚的にも楽しめる。それこそバッハの望んだことなのだと言うのがその方の主旨であると思う。

結局バッハは楽譜に二つのフィアウティ ・ デコーと書き、それらしいい楽器が何点か残されているだけである。バッハ自身によるブランデンブルグ4番の楽譜を2枚示す。



















最初の楽譜は第一楽章アレグロの最初の部分で題名とパートの指定が書いてある。Fiauti d'Echo は2段目3段目である。
"Concerto 4to à Violino Principale, due Fiauti d'Echo, due Violini, una Viola è Violone in Ripieno, Violoncello è Continuo."
独奏ヴァイオリンと二つのフィアウティ・デコーの為の協奏曲第4番  二つのヴァイオリンと一つのヴィオラ・ヴィオローネ、チェロと低音を伴う



















二番目の楽譜は第二楽章アンダンテの始まる部分。パートの書き込みは無いがアレグロと同じ2段目3段目がFiauti d'Echo 
強弱の指定がp--f--p--f と4回も書き込まれている。

その結果として二つの立場が考えられる。
⑴あくまでそのような楽器を再現してみる。
⑵エコー効果を実現することだけに着目し離れた位置で演奏する。
しかし私はバッハが(1)の楽器そのものでエコー効果を出すことを考えたと思う。
現代に生きる私たちからすると結果がすでにわかってしまった。2本の楽器を一台の楽器として使用してエコー効果を出すやり方は、一時的にバッハの興味を引いたものの、他の曲に応用されるとか、楽器自体を改良するとかの発展はなく、そのまま忘れ去られてしまった。袋小路だったのだ。
その点チェンバロやトラベルソの改良はピアノが生まれたり、ベーム式フルートに発展したりして現代につながり大輪の花を咲かせた。
当時はニュートンが活躍したり、ワットが蒸気機関を発明したり、発明や工夫が巷にあふれていたのだ。もちろん後世に多大な影響を与える発明もあったが,そのまま消え去ってしまった発明も多かったに違いない。その一つとして残念ながらフィアウティ・ デコー(エコーリコーダー)も埋もれてしまった。そもそもリコーダー自体が一旦は歴史の表舞台から消えてしまったのだ。

だからブランデンブルグの4番を聴くときは、普通のリコーダーで当たり前の演奏とか、楽器を再現しての演奏、あるいは離れた場所で演奏 など色々な演奏がある。それをそのまま受け取るのではなく、バッハの思い、そして時代の流れを思い出しながら聴くのがより味わい深い味わいとなるだろう。


ちょっと気になったので、楽器屋へ寄ったときスコアのコーナーに行ってみた。Z社の「ブランデンブルグ・・・」があった。スコア自体は新しいが、版は古そう。第4番の始まりの部分でパートを確認すると、Flute 1・/Flute 2 となっており、フィアウティ ・ デコーなどの記載は全く無い。ただ注意して探すと前書きの中に曲の説明があり、バッハはブロックフレーテと記入したとあった。ここでもフィアウティ ・ デコーのことは一言も触れていない。多分このスコアを出版するにあたってドイツ版?のスコアを参考にしたと思われるが、当時の一般常識はこの程度だったと思われる。
今は手元にないので確かめようが無いのだが、当時購入したLPレコードは2本のモダンフルートが競走するように駆け出し、ヴァイオリンがさらに上回るようなスピードで追いかける・・・そんな演奏だったような気がする。

さきに紹介した再現楽器による演奏は、リコーダーだけではなく、弦楽器などもバロック楽器を再現している。手間ひまかけた贅沢な演奏なのだ。もう一度じっくり聴いてみよう。

5/24/2015

warpでの練習「草原のマルコ」

チャランゴ2台

先日はwarpでのフォルクローレの練習。私はケーナで参加している。
ケーナサークルとしてスタートしたこのグループも強力なギターや打楽器奏者を迎えることができ、とりあえずフォルクローレのグループとして活動をしているのだが、肝心のケーナやチャランゴの演奏テクニックがイマイチで伸び悩んでいるのが、悩みだ。
今回用意した曲の中に「母を訪ねて三千里」の主題歌「草原のマルコ」がある。フォルクローレではないのだが、南米が舞台のストーリーだし、歌にケーナが絡んだりするので、この種のグループでは時々演奏されるらしい。
このアニメがテレビ放映されたのは1976年だそうだが、39年前となるわけだ。私は長男といっしょに見た。子供の頃見た人や、まだ生まれてなかった人もいる。これだけ長期間歌い続けられるのは、名曲と言えるだろう。

歌がメインとなるので、シンガーソングライターの梢さんに参加してもらった。ここwarpは色々なジャンルの方達が関係しているので、そのようなことが比較的簡単に出来るのがすごい。
彼女はこの曲を聴いたことがないはずだが、ピシリと見事に決めてくる。さらに音程など疑問があるのかピアノで音を出してチェックしている。なんか音楽に対する姿勢の違いを見たような気がした。

あと今回は「コンドルは飛んでゆく」をやる。いままでは二部形式でやっていたが、今回は中間部も省略せず三部形式で演奏する。ヤラビ(Yaravi)-パサカージュ(Pasacalle)-ワイノ(Huayno) 南米のグループも二部形式で演奏するところと三部形式で演奏するところがある。原作者のロブレスはコンドルカンキというインカの英雄を讃えるオペラのために作曲したのだが、オペラはあまりにも政治的すぎるためか、演奏されなくなり、「コンドルは飛んでゆく」の部分だけが、サイモンとガーファンクルの歌に使われたりして、世界的なヒットになった。中間部も演奏することで、元のオペラの雰囲気に少しは近づけるような気がする。
(コンドル・・に関しては過去のブログにも書いているので興味のある方はどうぞ)

次回のwarpの演奏会は7月19日 あと一回は練習日が取れるからなんとかまとめられるでしょう。

今回手伝ってくれる梢さんがwarpで歌っている動画がYouTube にあったので紹介します

5/19/2015

贅沢な練習


土曜日は平尾リコーダークラブの練習日だったが他の部員の都合が悪く、せっかく確保した部屋をキャンセルするのはもったいない。私一人で使わせてもらうことになった。ウシシ大歓迎!
ここのところあちこちに顔を出しているので、おさらいしなければならない曲が増えてしまい、ちょっとあせり気味だったので、まさに天の恵み。パートもいろいろあるとは思っていたが、、結局ソプラノからバスまで全部必要だった。さらに翌日はフォルクローレの練習日だったので、ケーナも加えた。

ここは団地の集会室、時々練習に使っているが、響は良い。なんか一人で使うのは少し申し訳ないような気がしたので、部屋の半分の照明は消し、エアコンも使用しなかった。椅子と机を出し、あとはひたすら練習、4時間はたちまち過ぎてしまった。普段の練習は合奏だけ繰り返し、なんとなくそれで出来たような気がするが、これだと出来ない部分はいつになっても出来ないままになってしまう場合がある。

また合奏で確認したい場合は、iPodに練習が録音されているので、聴きながら合奏できる。カナル型の イヤホンだと自分の音が少しききづらいので、片側を少しルーズに装着することにより録音と自分の音とのバランスを取ることができる。


何箇所かの難しい部分が出来るようになったし、演奏テクニックも(ほんの僅かだけれど)前進出来たような気がするのも嬉しい。プロの演奏者達は毎日こんなことをやっているんだろうな。

5/05/2015

フィアウティ・デコー

私の試作したフィアウティ・デコー

J.S.バッハにはリコーダーのソナタがない。カンタータなどで効果的に使用されている場合もあり、リコーダーが嫌いだったわけではないと思うが、作曲する機会がなかったのかも知れない。そんな中でブランデンブルグ協奏曲の4番や2番はリコーダーを使用している。古い録音の場合フルートが使用されていることが多かったが、最近はリコーダーを使用し他の楽器に伍して堂々と演奏しているのは実に頼もしい風景なのだ。録音されているCDには他の楽器の演奏者と一緒にリコーダー xxxxと演奏者の名前が印刷されている。
しかしここで重大な疑問があることをご存知だろうか。

バッハはリコーダーのパートを通常イタリア語でフラウト(Flauto)、フィアウト(Fiauto),複数ではフラウティ(Flauti)、フィアウティ(Fiauti)のように書いているそうだ。
ところがブランデンブルグの4番の場合ちょっと変わったことが書いてある。
Fiauti d'Echo フィアウティまではわかる。リコーダーの複数だ。デコーは何? 
フィアウティ・デコー  これでエコー リコーダーの意味だそうだ。
バッハ手書きの楽譜を見てみる。
バッハ手書きの第一楽章

第一楽章の上の部分に記入されている題名

"Concerto 4to à Violino Principale, due Fiauti d'Echo, due Violini, una Viola è Violone in Ripieno, Violoncello è Continuo."
独奏ヴァイオリンと二つのフィアウティ・デコーの為の協奏曲第4番  二つのヴァイオリンと一つのヴィオラ・ヴィオローネ、チェロと低音を伴う

リコーダーは歴史の表舞台から一旦は消えてしまいドルメッチによって再興された楽器だ。だから演奏法や製造方法なども一旦途切れてしまいゼロから再構築されたのだと考えて良いと思う。フィアウティ・デコーもその一つだ。リコーダーが2本一組となってつながっている楽器が幾つか発見されているが、これがフィアウティ・デコーだと考えられている。
リコーダーを弱く吹くと音程が低くなってしまうのはリコーダーの性質で仕方がないと思われているわけだけれどもこれを解決する一つの方策がこれなのだ。

2本の楽器を用意し、一方を弱く吹いても音程が下がらないように少し高めに調律しておく。もう一方は通常の調律なので通常はこちらを使って演奏する。弱音が必要なときは高めに調律してあるほうに持ち替えることにより、弱音でも音程を保つことができる。

当時の楽器の写真を掲げておく。2本の楽器がH形に結合されている。

ブランデンブルグ協奏曲はケーテン時代に完成されて演奏されていたらしいが、バッハ自身がこのような2本のリコーダーを使用する奇策な方法を考案するはずもなく、バッハの目の前で器用に2本のリコーダーを演奏して見せた奏者がいたに違いない。バッハはこれにいたく感動し、早速採用したのだろう。第二楽章に強弱の符号が頻繁に現れるから、ここでこの楽器を使用したに違いない。謹厳実直で頑固そうなバッッハがOKしたのだから大変なことなのだ。しかしバッハはそれだけではなかった。何年か後にブランデンブルグ伯に協奏曲を清書して献呈した時にもこのことを忘れず、協奏曲第4番には2本のフィアウティ・デコーを指定したのだ。これはバッハの就職活動の一環と考えられているが、なぜかこの楽譜は棚にしまわれたまま使用されることがなかったらしい。後世発見されて綺麗な未使用の楽譜として見ることができるのもその為だけれど、バッハとしては悔しかったに違いない。

この楽器を再現した演奏がある。以前全曲の演奏を紹介したことがあるが、今回は該当の第二楽章のみの演奏を紹介する。
楽器はPeter van der Poelとフォンヒューネワークショップによって作られ、2本の楽器がV形に結合されている。
2本の楽器は発音の強弱だけではなく音色も差が出るように調整されているとのことである。

H形とV形 
バッハ時代は2本の楽器を平行に並べていたので(H形)持ち替えるのは右手と左手で2動作必要となる。
ところが今回再現された楽器はV形に結合されている。ビデオを観察すると左手については通常に持ち替えているが右手は持ち替えることなく指を伸ばしたり縮めたりして楽器を切り替えているのだ。つまり全体で1.5動作で楽器を持ち替えていることになる。
ビデオの二人の奏者はいとも簡単に楽器を持ち替えているので、それならばと私も試して見たくなって試作してみた。
2本の楽器のメーカーも違うし縛ってある紐が目障り、演奏して見ても楽器は重いしバランスは悪い、持ち替えも大変、正確な音程どころではない。残念ながら断念するしかなかった。