8/29/2010

ロンダドール

エクアドルのコタさんの演奏を何回か聴いているうち店番を頼まれたことがあった。ちょっと用があるので店を見ていてくれないかとの事、気軽にOKしたがすぐには戻ってこない。

手持ち無沙汰で照れくさいので、サンポーニャなどいたずらして音を出していたのだが、ケーナでコンドル・・・の「さわりの部分」を演奏してみた。
道行く人達はビックリした顔で眺めている。
私も恥ずかしくなってすぐに吹くのを止めたが、得がたい経験だった。

帰国の前日、最後の演奏を聴きに行った。
彼は展示してある小型のサンポーニャで民謡のような素朴な曲を演奏してくれた。二本の管を同時に吹くことによって和音になり素朴なメロディーに飾りが付くのだ。
「明日帰国するのでこの楽器を購入してくれないか」との事で格安で譲り受けた。
普通のサンポーニャは管が長さの順に並んでいるが、この楽器は列の中に短い管が混じるのでノコギリのようにギザギザであることが特徴である。

調べてみたら「ロンダドール」と呼ばれるエクアドル特有の楽器であることがわかった。通常の音階の配列の途中に和音用の短い管が入り込む為このような特徴的な外観となるのだ。
合奏などには向かないが、屋外などでひょいと取り出して素朴なメロディなど演奏できたらカッコいいだろうなあ。

新百合ヶ丘駅前でケーナの演奏

仕事帰りの夕方、新百合ヶ丘駅の南口に行ってみる。今日もケーナの音が聞こえる。
最近連日この場所でフォルクローレを演奏している男がいるのだ。一人でケーナやサンポーニャを演奏し、時々歌も歌う。コーヒールンバや花祭りのケーナは素晴らしく、コンドル・・のサンポーニャも絶品

その後出会うたびに少し離れた位置で聞いていたのだが、昨日演奏中の彼が手招きして私を近くに呼び寄せ、あなたのために演奏するとのこと。名前はリチャード・コタ エクアドルから来たそうだ。
エクアドルの民謡をケーナ、サンポーニャで演奏したが、ボリビアやペルーに比べると少し物悲しく哀調がある。

私は自分のケーナ(アハユ作、リグナムバイタ)を手渡して試奏を頼むと、しばらくいい音で演奏してから「これはプロフェッショナルケーナだ」と言って戻してくれた。
・・音色は良いが音の立ち上がりが少し悪い楽器と思っていたが、私の演奏技術が未熟なだけだったのだ・・もっと練習しなければ。

写真は私のケーナを演奏するリチャード・コタ

8/22/2010

EDIROL R-09HRによる録音

近江楽堂リコーダー発表会の当日、リハーサルの為午前中に会場に到着した。
チェンバロは所定の位置に運ばれて調律が始まっている。観客用の椅子も既に並べられていた。
最前列の椅子の中央にスタンドに取り付けたEDIROL R-09HR があった。
ACアダプターもちょっと不安定だが壁のコンセントから延長コードを使用してセットしてある。細岡師匠が自分で設置したらしい。

早速声がかかった「KENJIさん録音係やってもらえますか?」
2曲も演奏するしEDIROLは使用した経験が無い。しかし見渡したところ録音を請け負ってくれそうな人物も見当たらない。
仕方ない引き受けるしかないか、EDIROL R-09HRにも興味があるし。
「これが入力の調整ボタン、録音開始はここ、止める時はここ」 と師匠は簡単に言う、マニアルぐらい読みたいが持って来てない。
「ウエイブの16でOKでしょう」、「まあそうですけど・・・」  かなり不安
リミッターの設定など確認する余裕もないので、入力レベルは低めに設定。
演奏会は全部で3部に分かれているので、各部で連続で録音し、部の間の休息時間だけ録音を止めることにした。

演奏が始まると自分も出演するのでバタバタしてしまって、録音機の横で待機する余裕は無いし、そもそも録音席として決めた最前列中央の席も
お客さんに占拠されてしまったので、演奏中の録音レベルチェックも出来ない。途中打楽器を使用したグループもあり録音レベルの心配もあったが、そのまま録音を続けた。
最後に録音データーが記録された小さなSDメモリー・カードを持ち帰った。
USB接続でメモリーカードを開いてみると3つのファイルが番号順に並んでいた。Windows マシン、Macどちらでも読み込み可能。
早速Mac.で読み込み編集作業を行ったがこれは便利だった。
今まではFOSTEX VF80 で録音し、データーはCDRに焼いて取り出し(これが時間がかかる) データーはL/R 別々なファイルになっているので「デュアルモノの読み込み」でMac.に取り込みそれから編集作業をしていたのだが、EDIROL R-09HRではUSB接続で数分で取り込み編集できるのだ。

もっともマルチトラッカーVF80とポータブルレコーダーR-09HRでは目的が異なり、前者は多チャンネルの編集を目的としており後者は手軽なステレオの録音を目指しているのでファイルの扱いも異なっているのだろう、私の場合音楽のステレオ録音をする事が多いのでR-09HRの便利さには驚いてしまった。

これでは早速ポータブルレコーダーの導入を検討しなければならない。
R-09HRは最近はRolandブランドで発売されており、弟分のR-05 も発売された。R-09HRもそのまま販売されるとの事なので、想像するにAD変換を含めたデジタル処理技術は完成の期に達しており、デバイスも然るべきメーカーから供給されているのだろう。異なるのは周辺の機能、チューナーやメトロノーム、リモコンやスピーカーの有無そしてマイクユニットを含むアナログ部分へのコストの配分だろう。
同様のことが他社にも当てはまり
YAMAHAのPOCKETRAK C24/W24 やTASCAMのDR-1,DR-7など魅力的な製品もあり価格と相談しながら検討してみよう。

8/17/2010

リコーダー発表会 終了

8月8日東京オペラシティー近江楽堂
細岡ゆき門下生による 「リコーダー発表会」 

通奏低音 Cem. 矢野薫  Vdg. なかやまはるみ

第一部 (バロックピッチ) マルチェロ、ルイエ、ヘンデル、テレマン、ヴェラチーニ 等のソナタ
第二部 リコーダーアンサンブル
第三部 (モダンピッチ) によるソナタ等

近江楽堂でプロの通奏低音付きとなれば、我々アマチュアにとっては勿体ない程の機会で、出演者達はちょっと緊張しながらも楽しく演奏できたのではないだろうか。

私達HRCは第三部でJ.H.シュメルツァー 6本のリコーダーの為のソナタ を演奏した。
曲全体が金管楽器によるファンファーレのような感じで、練習不足もあるがちょっとリコーダー向きではないような気がする。
通奏低音付きの場合、リコーダー1本で演奏する方が緊張はするが断然楽しめると思った。

更にもう一曲 Kさんのリュートと私のリコーダーで「涙のパヴァーヌ」 
ここしばらくはケーナに手を出すのも控えてリコーダーに集中した成果があったのかもしれない。
演奏中は精神の高揚はあったものの冷静な部分もあり、リュートの音を聴く余裕もあった。途中幾つかの「難所」も何とかクリアできて曲の終盤に近づいたとき「これは上手く行くかもしれない」との思いが頭に浮かんだ一瞬、指がもつれてフレーズを一つ飛ばしてしまった。しかしリズムは崩さず最後のフレーズに突入、最後のリュートの細かい音符を聞きなが何とか終了。
演奏が終わった直後リュートのKさんと顔を見合わせたが満足そうだった。
席に戻ったときHRC代表のYさんの「今までで一番良い演奏だったよ」との言葉が嬉しかった。

最後は」細岡師匠 Cem. 矢野薫さん  Vdg. なかやまはるみさん による講師演奏
D.オルティス パッサメッツオ・モデルノ
G.フレスコバルディ そよ風吹けば 
チェンバロは暴れまくり、ガンバは弓でなく指でコードを弾いているのでフラメンコギターのようだ、細岡師匠は歌とリコーダー
いつもとは違う雰囲気に少しビックリ、数日後にも同じメンバーでライブ演奏するそうだ。

・・・・・・・・

今録音の編集作業をしながら「涙のパヴァーヌ」 を聴いているが、全体に一本調子だし、細かいミスも沢山ある。
しかし名だたるプロ達の演奏に及ぶはずも無く、とりあえず満足としましょう。

写真はオリーブの演奏

8/02/2010

セロ弾きのゴーシュ 2

「印度の虎狩り」は実在の曲か

第六交響曲の他にもう一曲重要な曲がある。「印度の虎狩り」だ
練習を冷かしに来た三毛猫をキリキリ舞させ
楽長に「あんな曲」と言わせ
最後に大喝采を受ける曲

ネコ→トラ→印度の虎狩 とイメージが拡大して行くこの曲名は物語が進行していく上で重要な役割であるが、どうも実在の曲では無いようだ。

YouTube などで調べてみると "Hunting Tigers Out in Indiah"は見つかった。

http://www.youtube.com/watch?v=YxgK9Hj6Mas

しかし聴いてみると「印度の虎狩り」というわざと大げさな曲名をつけて、それを茶化しているような感じで
ゴーシュが演奏した曲とは全く別物であるとの印象である。

また賢治のレコードコレクションの中にもそれらしい曲名は含まれてないようなので、この「印度の虎狩り」と言う曲名は賢治の創作と考えても良いと思われる。
1982年のアニメ映画「セロ弾きのゴーシュ」では「インドの虎狩り」とあと一曲「愉快な馬車屋」は間宮芳生が新たに作曲したそうだ。

8/01/2010

涙のパバーヌ

まだCDが発売される前、LPレコードが全盛だったころ、ハンス・マルティン・リンデ「ブロックフレーテ名曲集」のLPレコードを持っていた。
当時LPレコードは大変高価だったのでそれほど多くのLPを所有していたわけではない。
ヘンデルやテレマンのソナタ、天使のナイチンゲール、グリーンスリーヴスによる夜想曲、などが入っており
特に気に入った曲はリュート伴奏の「涙のパバーヌ」ヴァン・エイク 、リュートはコンラート・ラゴスニッヒとなっていた。

・・・時は流れ、HRCが結成され・・ギターが得意なKさんがリュートを入手した。 しばらくして「合奏しませんか」と楽譜を見せられた、

ジョン・ダウランド(三つの舞曲)
一つの旋律楽器(リコーダー、フルート、ヴァイオリン)とギター(リュート)のための(コンラート・ラゴスニック編) 日本ショット社 1981年

この中の一曲が「涙のパバーヌ」 旋律楽器のパート譜にはハンス・マルティン・リンデの名前もある
まさにレコードの演奏そのものの楽譜ではないか!

Kさんがこの楽譜を入手したのは80年代で、当時ギターを演奏していたKさんはリコーダーとの合奏を目指していたわけではなく、偶然入手したのでその後ずっと本棚に眠ったままになっていたらしい。

「昼下がりのコンサート」などで合奏したのだが、近江楽堂で演奏しないかと細岡師匠から声がかかった。
最初は気後れしていたが、こんな機会は滅多に無いことなので、思い切って受けることにしたのだ。

多くのリコーダー愛好家の前でこの曲を演奏することは、かなり勇気を必要とするが、
8月8日の演奏会まであと一週間、「セロ弾きのゴーシュ」に成るのは無理としても、気持ちだけでも、そのつもりで演奏に臨みたいと思っている。

写真は、LPをコピーしたCDと「涙のパバーヌ」の楽譜