8/30/2015

リコーダーから見たEWI


まだ不慣れな部分も多く試行錯誤を重ねているが、今の時点で気がついたことを書いておきます。


写真はいつもの  MACKIE SRM150 アクティブスピーカーではなくミキサーを通してパワーアンプにつないである。アンプには簡単なプリアンプがついているから、直接EWIをつなぐことも可能だ。次はコネクタを工夫したケーブルを試してみよう。


EWIの基本の運指はリコーダーの運指に似せてある運指のほか、フルート、オーボエ、サックス、類似の運指モードがあり、さらに3本のピストンで演奏する金管楽器風の運指まである。
ただ標準のリコーダー風の運指にしても。ドイツ式運指の1オクターブ目に似せて、それを繰り返すわけだから実際のリコーダーとは異なる運指と言える。楽器の重量もあり、ストラップは必需品、リコーダーから気軽に持ち替えという訳には行かず、全く別な楽器と言える。運指の一部に似ている部分が有ったにしてもそれは全く些細なことでしか無い。


設計の詳細はわからないが、音と運指の関係はこんな感じではないだろうか。

ドから始まる1オクターブは半音を含めて12あり、最後にドを付け足せば13となる。
一方EWIのトーンホールはタッチセンサーで位置に関係なく自由にオンオフ出来る。
さらに上から順番に穴を塞ぐなどという制約も全く無い、理論上の組み合わせを数えてみると

左手の親指はオクターブキーに、右手親指はアースとピッチベンドに使用するから除外して残りは小指も含めて8本。
左手の小指はキーが2個あり、どのキーも押さない選択もあるから、3種の動作が可能、
右手の小指はキーが3個あるから4種の選択が可能
右手人差し指はトーンホールの横にキーが1個あるから3種の動作が可能。
その他の指は 押す/押さない の2動作l
この組み合わせパターンの数は順列組み合わせで

2X2X2X3X3X2X2X4=1152 
木管楽器の常識から外れるパターンはどんどん捨て去ってもまだ十分すぎる余裕がある。このパターンと上記13音を関係付ければ、運指表は完成する。しかし全く突飛な運指を作っても、意味のないことだから、木管楽器の原則を踏まえた類似の運指が並ぶことになる。
しかしクラリネットの運指表がないのにお気づきでしょうか?クラリネットは閉管でオーバーブローした場合オクターブ上ではなく12度上の音になるので、オクターブの運指を確定してオクターブキーで切り替えるEWI方式が馴染まなかったのだろう。

私はリコーダー運指に似せてあるEWI運指を使用しているが、全体のイメージとしてはテナーリコーダー(ドイツ運指)、ソプラノリコーダー、ガークライン、・・・・・・とC管が並んでいて、オクターブローラーで切り替えて次々と持ち替えていく感じ。低いほうも同様に、テナーリコーダー、グレートバス、コントラグレートバス、・・・・・となる。C管のリコーダーをズラリと並べた配列で8オクターブの音域をカバー出来る。写真はEWIの裏側、テナーリコーダーと全長はほぼ同じ、左手親指で操作するオクターブローラーが並んでいるのがわかる。

EWIとテナーリコーダーの裏側


トランスポーズ(移調)の機能があり、シャープやフラットが沢山付いた調でも、ハ長調の指使いで演奏できてしまう。これなんか便利といえばその通りなのかも知れないが、実感がわかない。
ただこの機能でリコーダー奏者にとって便利と思われる使用方法を見つけた。トランスポーズのプリセットでinFを指定しておく。これに切り替えると、

アルトリコーダー、ソプラニーノ、・・・・低い方はアルト、バス、コントラバス・・・をオクターブローラーで切り替えてゆくことになる。ズラリとF管のリコーダーを並べた感じ
アルト運指(アルト指)注※は大部分のリコーダー奏者がこれとソプラノ運指の2種類の運指を使い分けることができるので、曲によっては便利かも知れない。

フォルクローレの演奏でプルルーナスをやることになった。ケーナ、チャランゴ、などの演奏は大丈夫なレベルと思うが、サンポーニャはちょっと弱いかな。プロたちの演奏はここでトヨと呼ばれる大型のサンポーニャを二人で交互に鳴らして超低音を轟かせるのだが、我々アマチュアには手の届かない世界だ。小型のサンポーニャで演奏し、EWIで低音を重ねたら迫力が追加されて面白いかも知れない。試してみる価値はありそうだ。次回の練習日に持ち込んでみましょう。何しろ8オクターブもカバーしているので、超低音など簡単なのだ。・・・・・・そのつもりで練習に持ち込んでみた。

荷物が多くなるのを嫌って、会場に置いてあるエレキギター用のアンプを使用させてもらった。・・結果はちょっと失敗。
私の演奏技術がまだ未熟なせいもあるが、EWIの音がケーナとかチャランゴに押されて沈んでしまう。音が小さいのではなく、スピーカーから出る音がおとなしいのだ。ケーナとかチャランゴは生楽器としてけばけばしいほど自己主張がある。VRを回してアンプの音量を上げればよいではないかとの声が聞こえて来そうだが、そうすると音の圧迫感だけが強調されるだけで音が前面に出てこないのだ。もし音量計のような測定器があったら十分に音量は出ていることが確認できるはずだ。

これはアンプとスピーカーの品質も多少影響があるかも知れない。
 口径を稼ぐだけのぼてぼてのコーン紙のスピーカー、パワー不足のアンプ、ギターのときはそれなりに個性的なのかも知れないが、EWIには向いていないと言えるだろう。やはり十分なパワーを持ったアンプでしっかりとスピカーを駆動したい。


注 ※ アルト指  (リコーダーを演奏しない方たちへの簡単な説明)
アルトなどのF管の楽器をソプラノと同じ運指で音階を吹けばヘ長調(F)の音階となる。これは移調楽器だから合奏する場合は、楽譜を書き換えなければいけない。しかしそれでは面倒なので運指で移調に対応する、例えば右手指を全部開き左手指を全部閉じれば、ヘ長調の音階で”ソ”の音が鳴る、実はこの音はC音であるからこれを”ド”と呼び運指を再構築するとあたかもC調の実音楽器のように扱える。これをアルト指(アルト運指)と呼ぶ、これにより同様なF調の楽器(ソプラニーノ、アルト、バス、)などを実音楽器のように扱うことが出来る。ちなみにソプラノ指とは一般的なソプラノを演奏するときの運指を指し、アルト指と区別するために用いられる。