J.S.Bach |
今から半世紀ほど昔、私が小学生だった頃、ヴァイオリン教室に通っていたことがある。
熱心に練習と言いたいところだが、劣等生に近い存在だったようだ。発表会などでは上級の人達がバッハのこの曲を弾いていた。
確か鈴木メソッドに取り入れられていたはずだ。当時は届くはずのない曲であったが、半世紀を経て挑戦の機会が回ってきたのだ。
参考の為YouTubeで検索してみると有名な曲だけに多数のヒットがある、いかにも練習曲といった演奏もあるが、プロ達によってキッチリ演奏された素晴らしい動画が幾つかある。私のお気に入りはこれ Concerto for Tow Violins
ヴァイオリンならではの小気味よさで、これをリコーダーでそのまま再現は無理、少しテンポを落としてリコーダーらしい味のある演奏に仕上げたい。
リコーダーでは積志リコーダーカルテットの編曲がある。原曲のニ短調はそのままだが、リコーダーの音域の関係でオクターブ高く演奏する箇所が多いので第一ヴァイオリンのパートはソプラノリコーダーを使用している。第二ヴァイオリンのパートだってアルトリコーダーだがやはり高音が多いので場合によっては足まで動員しなければならない。ヴァイオリンの華やかな音に肉薄するには納得できる編曲だと思うが、、演奏はかなり困難だろう。 YouTubeで 積志リコーダーカルテット は見事に演奏している さすが!
もう一つ別な編曲で”らぶしゅーべると”さんの編曲がある。二つのヴァイオリンは二本のアルトリコーダーに置き換えられ、オクターブの移動もあまり無理な移動は避けているらしい。アルトリコーダーのパートはこの編曲を使うとのこと。
早速プリントして見る。
やっぱり!思った通り16分音符の連続そして五線譜だけでは足りないので加線を何本か追加しての高音がずらり。無理な移動は避けているとは言え これだって大変だ。
少し時間を捻出し練習した。また通勤時にiPodでプロのヴァイオリン演奏を聴くように心がけた。しばらく練習しているうち、全体の流れがどうも日本のリズムで構成されているような気がしてきた。太鼓が ダッ ダッ ダダーン ダッ ダッ ダダーン 続いて鉦がチャンカ チャンカ チャンカ チャンカ そしてワッショイ ワッショイのかけ声も聞こえてくる。バッハ正統派が聞けば一蹴されそうだが、とりあえずこの感じで行くことにする。
原曲のヴァイオリンパートもダウンロードできたので比較してみてかなりびっくりした。音域が低いのだ。五線を越える音はほとんどない。
テナーリコーダーの楽譜のようだ。そして五線の下側の音がかなりある。D線、G線の存在が物を言っているのだ。それでいて華やかな音が響くのは、倍音を圧倒的に多く含み、さらに見事な演奏テクニックがそれを倍増してるのだろう。
リコーダーで協奏曲の華やかさを少しでも出したいとなれば、アルトリコーダーで加線の多い高音を必死で演奏するしかないのだ。
それともう一つ協奏曲なので後方に弦楽合奏がある。トゥッティの時はソロ奏者は少しリラックスできるがリコーダー4人で演奏するとそうは出来ない。全体がソロと同じになってしまうので緊張の連続となる。
曲の仕上げはもう少し先のことと考えていたが、急遽”昼下がりのコンサート”で演奏することになった。先日練習時の録音が送られてきた。各パートともかなり演奏出来ている、ただ楽譜を追うのが精いっぱいな感じもするので、もう少し習熟すると共に、全体のバランスを考慮しながら演奏できるとかなり面白くなりそう。各パート間の絡みの部分、単独での演奏だがトゥッティ とソロ の部分を意識する等。
さすがバッハ。曲がしっかりしているから煮ても焼いても大丈夫、時に下手に料理してもそれなりに食える。
この曲を公民館で練習していた時 隣の部屋に稲城フィルの弦楽器パートが集まって練習を開始したようだった。彼ら弦楽器奏者たちにとっておなじみの曲だろう。我々の練習は聞こえましたか?今度一緒に演奏しませんか?(実は我々の楽譜はニ短調でヴァイオリンの楽譜と全く同じなのだ)。でもそこまで実行するだけの勇気はありませんけれど。
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