先にコルトマン博士の
"Effect of Material on Flute Tone Quality" J.W.Coltman(1971)
「フルートの音質への材質の影響」を紹介した。(2009/9/13)
<概略>
銀、銅、木(グラナデリ)で3種類のキーの無いフルートを作り
(歌口の部分は同寸法のプラスチック製を使用)
多くのリスナー(フルートのスキル有、スキル無しを含む)に音を判定させたところ
「音質とレスポンスの容易さは3種類の材料の間に違いは認められなかった」と結論している。
材料により音色が変わるとする楽器製作者や演奏家達と、材料は無関係であるとする音響学者との論争は昔から続いているようで,一向にらちが開かないように思われる。
音響学者の意見の例としては
「楽器の物理学」N,H,フレッチャー、T,D,ロッシング[著] 岸憲史 他[訳]
木管楽器は内部の空気が振動するのだから管の材質は無関係であるとする主張をしている。
<以下引用>
22.2 管楽器の材質
弦楽器と打楽器については材料の性質が決定的に重要であるという点で異論は無いが管楽器の場合にも同じことが言えるかどうかについてはずっと議論の的になっている・・・・
・・・しかし管壁の材料はすべて空気よりもはるかに熱容量(音響インピーダンスの誤訳?KENJI)が大きいので、これだけの理由では材質による違いを説明できない・・・・にも関わらず、壁の材質が異なれば振る舞いにも違いがあるという主張の大部分は機械的な効果の議論に基づいている。・・・・・製作者と演奏者は材質が違えば同じ楽器の間でははっきりとわかる程の音質の違いがあると主張するが物理的な分析はそれが錯覚であることを示唆している。・・・
・・・管楽器を作るときに選ばれる材質は、実際は音響学的な検討によるのではなくて、むしろ作りやすさ、安定性、感じ、および見た目を考慮して決められている・・・
22.3.4 木管楽器
木管楽器を作るのに良い木は、個々の楽器によってかなり異なる。
管壁の音響インピーダンスは気柱に比べてきわめて大きいために、またその大きさはどんな場合でも木材の他の性質よりも壁の厚さによって決まるために、木材の弾性的性質と損失特性を問題にすることは見当違いである <引用終了>
以上が引用であるが音響学者の一般的な意見を代表すると思われる。
"Effect of Material on Flute Tone Quality" J.W.Coltman(1971)
「フルートの音質への材質の影響」を紹介した。(2009/9/13)
<概略>
銀、銅、木(グラナデリ)で3種類のキーの無いフルートを作り
(歌口の部分は同寸法のプラスチック製を使用)
多くのリスナー(フルートのスキル有、スキル無しを含む)に音を判定させたところ
「音質とレスポンスの容易さは3種類の材料の間に違いは認められなかった」と結論している。
材料により音色が変わるとする楽器製作者や演奏家達と、材料は無関係であるとする音響学者との論争は昔から続いているようで,一向にらちが開かないように思われる。
音響学者の意見の例としては
「楽器の物理学」N,H,フレッチャー、T,D,ロッシング[著] 岸憲史 他[訳]
木管楽器は内部の空気が振動するのだから管の材質は無関係であるとする主張をしている。
<以下引用>
22.2 管楽器の材質
弦楽器と打楽器については材料の性質が決定的に重要であるという点で異論は無いが管楽器の場合にも同じことが言えるかどうかについてはずっと議論の的になっている・・・・
・・・しかし管壁の材料はすべて空気よりもはるかに熱容量(音響インピーダンスの誤訳?KENJI)が大きいので、これだけの理由では材質による違いを説明できない・・・・にも関わらず、壁の材質が異なれば振る舞いにも違いがあるという主張の大部分は機械的な効果の議論に基づいている。・・・・・製作者と演奏者は材質が違えば同じ楽器の間でははっきりとわかる程の音質の違いがあると主張するが物理的な分析はそれが錯覚であることを示唆している。・・・
・・・管楽器を作るときに選ばれる材質は、実際は音響学的な検討によるのではなくて、むしろ作りやすさ、安定性、感じ、および見た目を考慮して決められている・・・
22.3.4 木管楽器
木管楽器を作るのに良い木は、個々の楽器によってかなり異なる。
管壁の音響インピーダンスは気柱に比べてきわめて大きいために、またその大きさはどんな場合でも木材の他の性質よりも壁の厚さによって決まるために、木材の弾性的性質と損失特性を問題にすることは見当違いである <引用終了>
以上が引用であるが音響学者の一般的な意見を代表すると思われる。
管楽器の音質は材質とどのような関係にあるか、研究者の意見では、特に無関係とのようです。
返信削除音質を誰が判断するかということが必要に思います。
演奏者と演奏を聞く人とでは、感じ方が異なるようです。
演奏者の立場からフルートの名手が音色について意見を述べているのを見つけましたので、ご紹介します。
吉田雅夫(故人)「フルートと私」(シンフォニア出版 昭和55年)
吉田氏と植村泰一氏(フルート奏者)が対談しております。
その中に、フルートの材質についてのお話があります。
そのまま記述します。
227頁から引用
吉田「いい音だなあと思うのは洋銀か真鍮ですね。反対意見も勿論あるでしょうが、洋銀か真鍮で、非常に肉厚で、重いものが理想ですね。歌口の小判は汗でさびが出て唇をやられるので銀がいいと思います。何故洋銀か真鍮がいいかと聞かれても科学的に証明できないので困りますね。」
植村「ニコレも洋銀がいいと言ってますね。」
吉田「実は昨日の晩もその問題が気になっちゃって、クエノンを出して吹いてみたんです。やはり、いい音があるんだなあ。クエノンは洋銀なんですが、重いんです。日本の洋銀と成分が違うのかもしれません。外国の大家のなかで、一番豊かな音がすると言っているのは、ルネ・ル・ロワですね。」
植村「ルネ・ル・ロワは洋銀の方が銀よりブリラントだと言っています。音の透りは洋銀の場合はどうですか。」
吉田「銀より幾分暗い感じがします。今の僕の好みからすると、その方が好きなんです。クエノンはところどころ、
音域的に言うと中音域、低音域に特徴のあるいい音を持っていますね。メーカー・サイドからは、あまり洋銀がいいと言っては困ると言われているですがね。(笑)音の透りに
ついては何とも言えません。自信がないですね。」
30年前の対談ですが、演奏者の意見が述べられていると思います。
数年前 N響アワーでフルートについての紹介がありました。司会者とN響のフルート奏者の対談で、フルート奏者は木製のフルートを使用している。最近は、金製のフルートを使う人が多いが、聞く人からすると材質の差は分からないと作曲家の司会者は述べておりました。
演奏を聞く人にとっては、フルートの材質が木製、銀製、金製でもほとんど分からない。
しかし、演奏者はその差(音色かどうかはわかりませんが)
恐らく歴然と異なるのではないか。というのが私のフルート(リコーダーも)の材質と音色について感想です。
KEY
KEYさん こんばんわ
返信削除このBlogで始めてのコメントを頂いていたのに、遅くなってすみません。
材質や楽器の質で音質の差が存在する場合、
演奏家はその差を埋め自分の理想の音を出すため、全力を傾けているはずです。
聴衆はその結果のみを聴く為差を感じることが難しいという面もあると思います。
材質によって音色は変わらないとは思ってもみませんでした。
返信削除エボニーやローズウッドとメープルを比べても、明らかに違う音だと思うのですが???
何だか分からない論文ですね。
パイプオルガンには木管と金属管が使われていますが、全く違う音色がします。
発音原理はリコーダーと同じですので、これも同じ音色ということになるのでしょうかね?
このブログに興味を 持っていただきありがとうございます。
返信削除笛類の材質と音質の関係は愛好家にとって実に興味のある話題ですが 、実際は解らない部分もあることは確かです。
たとえばメック社のカタログを見ると、カエデから黒檀に至るまで多くの種類の木で作られたリコーダーが並んでいてそれぞれ異なる音質で表現されています。これを実際に聴いて簡単に区別がつけば何の問題もないのです。
私の場合、リコーダーオーケストラなどで多くの種類のリコーダーの音を聴いているわけです、しかしカエデだ、黒檀だ、ローズウッドだ。と木質の差を感じることはまず無いです。それより演奏者の技量の差が音に出ているように思います。
しかしケーナを演奏する場合、バンブー製と木製(リグナムバイタ)を持ち替えています。音色に明らかな差があり、用途によって使い分けているのです。
総じて見ると、演奏者、楽器製作者、はほとんどが材質は音質に「影響する」派ですが、音響学者、研究者などは「影響しない」派であることが多い。
これは私の想像ですが、音響学者でもこのような研究をするのはフルートなどを演奏する愛好家である場合がほとんどで、最初は「影響する」派だが厳密に研究してもその影響を科学的に証明できない・・・結果的に「影響しない」という結論に至る・・・こんなことではないかと思います。
どちらが正しいかなど私が結論を出せるわけではありませんが、今後いろいろな事例や研究をこのブログで紹介して見たいと考えています。