1/29/2016

ERのテスト

ソプラノリコーダーにERのマイクを取り付けた状態

ER(エレクトリック リコーダー)をHRCの練習に持ち込んでテストしてみた。
機材はいつもの
コンデンサーマイクロホン 自作品 DIRECT-3
ギター用マルチエフェクター  BOSS GT-001 
アクティブPAシステム MACKIE SRM150

1、浜辺の歌
クラリネットが主旋律で、サイレントギターが伴奏、ギターは小型のアクティブスピーカー(アンプ付のスピーカー)を使用している。
これにテナーリコーダーがオブリガートで加わるのだが、クラリネットの音量に負けてほとんど聞こえない。ここでテナーリコーダーに特製マイクを取り付けて、ERとしてスピーカーから音を出してみた。クラリネットと対等とは言えないが、十分に渡り合える音量になった。ただ自信無く遠慮しながら演奏すると遠慮も拡大されてしまうので、自信を持った演奏が必要。しかし力む必要は全くない。

2、グリーンスリーブス
ソプラノ、アルト、テナー、バスのリコーダー四重奏、本来はそのままで良いはずだが、私はテナーやバスのパワーが不足しているように感ずる。楽器が大きくなった分、息の量もそれなりに増大させるべきだが、人間が演奏するので理屈通りにはいかない。そこで大型の楽器は省エネ設計なのだと思う。ソプラノやアルトのパワーに比べてテナーやバスがパワー不足なのはそのためだろう。
そこでバスリコーダーだけマイクを取り付け音量を上げてみた。
音量のアップはそれほど多くなかったので、演奏者は音量の増大をそれほど感じなかったらしいが、周りで演奏していた他のパートからはバスの響きがはっきり聞き取れ、リズム感よく演奏しやすかったと好評だった。
オーケストラのコントラバスなどはエンドピンを介して床が「グワン」と鳴るほどパワフルだ。それに比べてリコーダーバス群の非力な事、ERを使う理由は十分ある。

3、サンマルティーニ コンチェルト ヘ長調 第1楽章
「ERでコンチェルトを」 などと大風呂敷を広げたので挑戦してみたが、肝心のソロリコーダー(私)がメロメロでは話にならない。ソプラノリコーダーに小型マイクを取り付けた場合、(写真)マイクケーブルが運指の邪魔になるかもしれない。少し工夫が必要になると思う。
何とか練習時間を確保して形をつけたいが、ERの改良とソロリコーダーの両立は難しいかも知れない。

蛇足になるかも知れないが、今回のテストを解説してみる。

本来このエフェクターを使用するエレキギターでは、このエフェクターから出た音のみがスピーカーから増幅されて発音される。
ところが、リコーダーにマイクを取り付けたERはまず通常のリコーダーとしての音が室内に広がり、同時にマイクで拾われた音がエフェクターで加工されて室内に鳴り響く。そのため両者の混合音として聞こえる事になる。

2、グリーンスリーブスの四重奏ではバスをERとして補強している。
ERのスイッチを切れば通常の四重奏として室内に響く事になる。

エフェクターの基本動作では「コンプレッサー」で音量のバラツキを整え、「オーバードライブ」などで音色に変化を付け、「リバーブ」で潤いを追加する。ERのスイッチを入れて音量を現在鳴っているバスと同じ強さとすれば、第2のバス奏者が出現する。この奏者は第1の奏者よりちょっぴり上手い、音色が特徴的で潤いがあり音量が安定している。 観客やソプラノ、アルト、テナーの奏者には二人分の奏者の音が混合されて聞こえ、あたかも第1番目のバス奏者が演奏している音のように聞こえる。

バス奏者だけは少し状況が異なる。直近で自分のバスが鳴っている。場合によっては骨伝導のような形で直接身体に伝わってくる。そのため2番目の奏者の音がブロックされ聞きづらいのだろう。もちろん全体としてのバスの音が聞こえるべきなので、スピーカーを近づけるなどの補正が必要になるが、ハウリングが発生する恐れがあるため十分な注意が必要となる。

Elodyのように変化をつけた音色で独自の楽器としての方向も面白いが、今回のようにリコーダー+αのような使い方もあると思う。
まだ詰めなければならない問題も多いが、全体としては好印象なので、HRCの協力を得てさらにテストを続けるつもり。
31(日)の昼下がりコンサートでは何曲かはこのERを使用することになるだろう。実際に使用してみれば新たな問題点も浮上するかもしれない。

ピックックアップとしての小型マイクロホンは予備も含めいくつか必要になると思う。コネクターの中に電子回路を組み込むという構成上、小型で特殊なパーツも多いけれども調達もめどがついたので、組み立て開始できそうだ。

1/11/2016

エレクトリックリコーダー(ER)



前回はモーレンハウアー社タラソフ氏によるElodyの講義受講を紹介したが、いま手元で実験しているER(Electric Recorder)を紹介します。
写真はアルトリコーダーに取り付けた状態です。

機材の紹介
コンデンサーマイクロホン 自作品 「Shinさんの工作室」で紹介されている DIRECT-3
ギター用マルチエフェクター  BOSS  GT-001 
アクティブPAシステム MACKIE SRM150

システムの結線
マイクのピックアップ部分をマジックテープでラビュームの右下付近に固定する。
マイクのコネクタにケーブルを接続し、エフェクタ(GT-001)のMIC IN へ入力,
エフェクタ アウトよりアクティブスピーカーへ


マイク部分の詳細
中央のピックアップ部は直径6mm程のバックエレクトレットコンデンサマイクロホンの素子を改造し、極細のシールド線を半田付けして8φ 20㎜程のアクリルパイプに封入してある。写真ではさらに楽器への取り付けのための薄いネオプレンゴムのスポンジで挟み込んである。シールド線のもう一方の端はNEUTRIK 社のXLRコネクタに接続されている。ここではコネクタとしての機能は残しつつ、内部に電子回路を組み込んである。これにより全体が高性能なコンデンサマイクロホンとして動作する。
左の青いケーブルはXLRコネクタ付きのケーブルでマイクロホンのコネクタに接続し、エフェクタまで信号を伝達する。ケーブルの長さは自由に延長できる。

このように並べてみると分かることだが、マイクロホンに一部工夫が見られるものの、リコーダーにしろエフェクタ、アンプなど一般に売られている製品を組み合わせただけだ。また専用マイクは取り外し自由だから、アルトリコーダー以外の、テナー、バス、ソプラノなどにも取り付けられ、応用を広げることができる。
Elody は形状やプリントデザインなどから考えて、リコーダーとは別な楽器を目指しているように思える。歴史的な古楽を再現するための楽器を離れて、もっと自由に簡単に演奏そして表現できる楽器。あの奇抜すぎるデザインはそのための必然であったのかもしれない。

その点今回実験しているERは音色に関してはElodyと同じ音が出るので同様に扱うことが可能なわけだが、私はもう少しリコーダーに近い位置を守備範囲にしても良いと思う。リコーダーには古楽の再現という本来の使命があるわけだけれど、近年はそれを離れて、音楽を聴くだけではなく、自ら演奏して楽しむことを可能にする楽器としての役割もかなりの部分を占めてきたように思える。リコーダーオーケストラなどはその典型的な例ではないだろうか。その中にちょっと音色を変えたERが加わるのは面白いのではないだろうか。

リコーダーの音量をマイクロホンやアンプを使用して拡大するのはだれでも考えることだと思うが、意外と多くの問題が発生するのだ。近接してピックアップしたリコーダーの音は意外と単純でつまらない音、実はいつも聴いているのは部屋の残響分も加えた音なのだ。 室内の残響音もピックアップしようとマイクをリコーダーから離すと残響音より先にスピーカーの音をとらえてしまい「ギャー」とハウリングを起こしてしまう。
その点ERでは発音源(ラビューム)から数cmの位置で音をピックアップするのでリコーダーの音量とスピーカーからの音量に圧倒的な差があり、ハウリングに対して安全性が高まる(ハウリングマージンが稼げる)
そのため音色に関してはエフェクターを利用する。

エフェクトの簡単な説明
「コンプレッサー」 音のバラつきを圧縮し、小入力を増幅することで音量を均一化して整える。
「オーバードライブ、ディストーション」 音に歪を加え味のある、あるいは芯のある音にする。
「リバーブ」 音に残響を加える
その他いろいろのエフェクトがあり通常はそれらを組み合わせて使用する。
ここで使用しているエフェクター GT-001 はそれらの組み合わせが200も登録されている。全く信じがたいほどなのだが、エレキギターの長い歴史と多くのミュージシャンの努力の集積だろう。ギター用のエフェクトだからリコーダーでも同じ効果があるとは限らない、個別に試してみるしかないだろう。まるで巨大な森に迷い込んだような気がする。


アイデアを2つほど。
1、バスの補強
リコーダーオーケストラにコントラバスが1本しかないとする。低音部にもう少しパワーが欲しい
コントラバスリコーダー あれだけの躯体を十分鳴らしきるには2倍3倍のパワーが必要だが、人間が演奏する楽器であるからそれは無理、だから極端な省エネ設計なのだ。だから音も弱々しいし、音自体に芯がない。
バスリコーダーに取り付けて実験してみたが、朗々と鳴り響いて実に気持ちがよい。石頭の純血主義者でなければ十分実用性があることを認めるはずだ。
2、リコーダーコンチェルト
サンマルティーニ、ヴィヴァルディなど面白いコンチェルトが存在する。しかしソナタなどはチェンバロ、ガンバをお願いすれば何とか実現するが、コンチェルトのため弦楽合奏などをお願いするのはほとんど無理な話だろう。
リコーダーオーケストラは最近あちこちにできている。リコーダーオーケストラで弦楽合奏の部分を演奏する。ソロリコーダーは音が埋没してしまわないように、ERを使用し音を輝かしく音量もアップする。腕自慢の奏者に演奏させれば、少し変化に乏しく退屈なプログラムに活気をもたらし盛り上がること間違いなし。

現役のプロ音響技術者Shinさんのブログ
音響専門家としてのこだわりやバランスが魅力。Panasonic のエレクトリックコンデンサマイクロホン(ECM)を使用したコンデンサマイクロホンの設計をそのまま使用させてもらった。FETを2個使用する「パナ改fetV」を作るべきなのだが、部品調達の関係で「DIRECT-3」を作ってみた。


12/27/2015

タラソフ氏のElody講座を受けてみた




リコーダーの音量や音色にちょっとばかり不満を持っているためかもしれない。
1、笛膜を使用して音にビビり音を加えたり。2、楽器に小型マイクを取り付けアンプで音量を拡大してみたり"ER"(Electric Recorder) 、3、EWIと呼ばれる木管楽器風なシンセサイザーを導入したりしているが、いまのところ決定打がない。そんな中ヤマハのリコーダーフェアにモーレンハウアー社のタラソフ(Nik Tarasov)氏が来日し、Elodyの講座を行うのだという。

Elody はモダンリコーダーにピックアップを仕込んであり、その電気出力をエフェクターで加工しアンプで出力する。
楽器自体にいろいろデザインされたペイントがほどこされているが、原理的に見れば、リコーダーに近接マイクを取り付けたと考えることができる。ここまでだと私の実験している"ER"(Electric Recorder)と同じことになるが、YouTube など見てみるとギター用のエフェクターを使いいろいろな音を出している。これは使えるかもしれない。
ヤマハに講座の聴講ができるのか問い合わせたら、聴講はやらないが、講座はまだ空きがあるとの事、この際とばかり思い切って申し込んだ。平日で仕事だけれど早めに切り上げて駆けつければ間に合いそうだ。

当日は思ったより早めにヤマハに到着、少し時間に余裕があったのでリコーダーフェアの会場に行ってみた、リコーダーがずらりと並ぶ中、モーレンハウアー社のモダンリコーダーを手に取ってみる。外観は装飾を取り去った簡素な感じ、足部管は円筒形で延長したような形。フルートにHまで出る足部管というものがあるが、それと同じ発想のような足部管だ。大口径の孔をふさぐためのキーが並んでいる。試しに全部の孔を塞いで息を入れると低音がバリバリ鳴ってびっくりしてしまった。
昔フルートを吹いていた頃最低音の"C"は鳴りにくい音で、弱々しい音しか出なかった、ところが上手い人が吹くとバリバリ鳴るのでいつかはそんな音を出してみたいと思ったが結局果たせないままフルートは断念したのだ。
憧れの音が簡単に出てしまうので嬉しくなって何度もバリバリを鳴らしてしまった。テレマンなどのオリジナルな曲の演奏にはそれ程有効とは思えないが、他の楽器のための曲をアレンジして演奏する場合は、絶大な力になるだろう。Elody はこの延長線上にあるのだ。

講座は小さな演奏室で行われた。片側の壁が鏡になっているのでちょっと恥ずかしい。
半袖のTシャツ姿のタラソフ氏は気さくに招き入れてくれた。とりあえず握手したが、挨拶まで通訳さんにお願いする始末。実に情けない。通訳の方は私の高校時代の先生に似ている方だったが、丁重で好感の持てる通訳で、私もビビる事なく質問できた。
エフェクターはiPadをドッキング式のインターフェイスにつなぎ、アプリはダウンロードしたとのこと。(多分 iTrack Dock , Ampkit +  )アンプは小型のスピーカー付きギターアンプを使用していたが、出力は十分出ていた。


タラソフ氏はどんどん演奏してくれる。出てくる音と曲種が合えばかなり面白い結果が得られる。オクターブ低くなるエフェクタもありこれも使えるかもしれない。備え付けのElodyであなたも演奏どうぞ。ということなので「ダニーボーイ」をニニロッソ風に演奏、音はトランペットでと注文すると、それは出来ないとのこと。「最初から音を合成するわけではなく、元の音に変化を付けるだけだから。」了解!
「そういうことならEWIがありますよ」とタラソフ氏 ありゃ!ここでEWIの話が出るとは思わなかった。

ハウリングマージンはどれくらいかと聞くと通じない、和製英語かもしれない。通訳さんも解らなかったのかも、私の説明を翻訳してくれている。タラソフ氏がフィードバック フィードバックなどと言っている 通じたんだ。早速エフェクトを指定し音量を上げて行くと、ビビビと発振しはじめた。そうかElodyでもハウリングがあるんだ。妙に納得。
ピックアップは何を使っていますか? 答えマイクロホンではない、ピックアップであるとのこと。ここは詰め切れなかった。出力は一芯シールドのフォンプラグ。コンデンサーマイクではないし、電池は使っていないようだからエレクトレットマイクでもない。まさかダイナミックマイクではないだろう。ラビュームのちょっと下側、右側面にコネクタがあるのだが、ピックアップは内管部まで貫通していないらしいのだ。表面側から採音しているのだろうか?これ以上は自分で調べるしかないだろう。
ピックアップ位置について意見を交わした。私の実験しているERはラビユームのちょっと下側右と伝えると、タラソフ氏はウインドウェイの上側が良いと言う。多分Elody開発でいろいろ実験した結果だろう。私が持参したER用小型マイクを見せると、興味深そうに手に取ってモダンリコーダーに取り付け実験してくれた。
ちょっと心配したが、問題なく動作し、音質もなかなか良いとの評価をしてもらった。ただハウリングマージンはElodyより劣っている。
リコーダーの表面に取り付けられたマイクは周りの空気の音を拾いやすいのは当然の結果と納得できる。しかしまだ改善の余地は十分あると思う。

Elody への私の評価
リコーダーの音を電気を利用して拡大することは、だれでも考えそうなことであるが、一歩進めてピックアップを楽器に埋め込みハウリングマージンを稼ぎ、巷に数多く出回っているギター用のエフェクタを使用して若者にも好まれる音色と演奏しやすさを実現できていることは大いに評価してよいと思う。そのための奇抜なデザインもある程度は理解できるけれども少しやり過ぎのような気がするし、価格もちょっと高すぎないかな。

注、ハウリング
マイクで音を拾いアンプで拡大してスピーカーを鳴らすわけだが、スピーカーから出た音をまたマイクで拾ってしまうと信号がアンプ回路の中を駆け巡り、発振してしまう、スピーカーにマイクを近づけるとキーンと音が出ることがあるが、それがハウリング。
一般的にはスピーカーとマイクを離せば解決する。スピーカーの音がほとんどマイクに届かなければよいのだ。

ところがElody やERの場合かなり条件が異なる。演奏者にはリコーダーの音が聞える、しかしそれはただのリコーダーの音色、スピーカーから発せられるエフェクトの効いた音が同等あるいはそれ以上に聞こえてこそElody を演奏していることが実感できるのだ。だからより高度な耐ハウリング対策が必要になる。

12/13/2015

ブロックフレーテンコーア演奏会

ブロックフレーテンコーア演奏会
2015年11月23日 浜離宮朝日ホール
昨年も聴かせてもらったので今回は2回目
実は学生時代の友人が演奏に加わっているのだ。


1981年結成で年1回の演奏会が今年で34回目ということだから毎年欠かさずきっちりやってきたわけだ。
豪華な会場。年配の観客が多いような気がする。
これだけの会場でしかも有料なのに、開演時にはほぼ席は埋まっていた。
ずっとブレずに堅実な姿勢を貫いてきた結果だろう。
プログラムしっかりしている。曲目解説も的確で良いと思う。

わたし自身もRicco Suono というリコーダーオーケストラにも所属しているので大人数でのリコーダーの合奏の困難さは  理解しているつもり。これだけの演奏レベルにまとめるのは大変だと思う。歴史ある団体だからこそ可能なことなのだろう。演奏者は黒服でピシリときめて素晴らしかった。などと書いてもおもしろくないので、少しけなしてみる。

ガブリエル 音に確信が持てない。不安定。最初の曲目ということもあるだろう。
セルミジ  楽器紹介  残響のせいかイマイチ音の輪郭がハッキリしない。ここぞとばかりの自己主張があっても良かったとのおもうが、なぜか皆ショボい音だった。トゥッティでは弾けるような喜びがあっても良いのではないか。
サティ。ワルツ もたつく。楽しくない。演奏しているだけ。
組曲2番 序曲良くない。決まる場所がない。曲をなぞっているだけ。ポロネーズのソロさすが。バディネリは早すぎるため少し苦しい。でもハラハラさせるのは効果的。やはりソロを前提とした曲なのだ。
パストラーレ 小節ごとに分離しているように聴こえる。曲の流れで押してこない。
アンコール曲
モーッアルト 嬉遊曲 かなり良い。緊張が解けたのか音に躍動感が感じられる。
 ヘンデル オンブラマイフ   ソプラノ ソロの音通る。音程、音量、リズムにヴィヴラートをかけ
背後のリコーダーオーケストラから浮かび上がってくるのは聞き応え十分だった。

全体を通して真面目に堅く仕上げた感じ、リコーダーの音色はそれほど表情ゆたかではない。だから四角四面にまとめると、上手いとは思っても真面目人間の集団のようで楽しくない。だからガッチリまとめるのは良いとして、どこかに突破口がないといけないのではないか。

12/12/2015

第29回リザーブコンサート

パランポランの演奏

第29回リザーブコンサート
2015年11月8日(日) 12:45 開演
会場 座・高円寺2
今回の幹事団体はスプリング・ウインドとすずしろリコーダークラブ。
会場確保に苦労されたようで ご苦労様でした。


<参加団体> 演奏順
Ricco Suono
イル・ヴェント・カルド・スペチアーレ
パストラーレ
トレット
カプチーノ
こおろぎ
アンサンブル O
リコーダーアンサンブル☆ G クレフ
スプリング・ウインド
武蔵野リコーダーコンソート
すずしろリコーダークラブ
パランポラン
ウィンドベル
リコーダーコンソート青葉

私たちRicco Suono は一番で演奏したが、終ると帰ってしまった方が多かったように思う。
演奏しただけで帰ってしまうのは実にもったいない。他のグループの演奏も聴き、自分たちの演奏と異なる部分は当然あると思うが、それを打ち上げの会などで相手にぶつけてみれば、得るものも多いのではないだろうか。

出演団体の顔ぶれがだいぶ変わった。少し前ならリザーブの主の様な常連のような方達もかなり見かけたのだが、ここのところすっかり少なくなってしまった。以前のように決まった会場日付で開催出来なくなった事も影響しているのだろうが、それだけの理由ではなさそうだ。演奏グループも変化する。ずっと同じわけではない。
私の所属していたHRC(平尾リコーダークラブ)も過去何回か演奏したけれどもここ何回かはパワー不足のためか出場していない。
「昼下がりのコンサート」のような気軽な演奏の場は増えているのだが、リザーブとなるとちょっと格が上のような気がしてビビってしまう部分があるのかも知れない。


参加団体の持ち回りで運営され特定の団体と結びつかない演奏会は貴重だと思うし、ちょっと毛色の変わった演奏もやりやすいと思う。過去にはルネッサンスリコーダーのみとか、チェロとリコーダー、リコーダーと琴など意欲的な演奏もあった。今回も専門の打楽器奏者を加えたちょっと変わった演奏もあった。

会場確保が今後の課題となるが、いろいろな種類の団体も出場できるし、団体間の交流もおおいに意義のあることだと思う。

発表の場としての演奏会は当然定着しているが、もう少し交流の場としての意識と運営は考慮されても良いのではないだろうか。

35回昼下がりのコンサート


前回6月から3ヶ月ほど、今回はウインドベルが演奏に参加してくれた。
HRC以外の団体の演奏は観客にとっては多彩さが増えるし、演奏者もお互いを間近に見ることが出来ていろいろと参考になると思う。
かなりおそくなってしまったが、書いておきます。
演奏会などが連続していて、一つのブログに引っかかってしまうと、次々と渋滞を起こしてしまうのだ。

ウインドベルの3曲はバッハだったし、HRCも前回のリベンジであるプレリュードとカンタータ「主よ人の望み・・・」を演奏したのでクラッシック系はバッハがひしめくことになった。

多数とは言えないが、演奏会の度に足を運んでくださる方たちがいるのは実に有難いことなのだ。


プレリュード
この曲は前回のコンサートで途中で合わなくなって止めてしまったため今回はリベンジということで演奏した。
しかし途中で私の楽器のサムホールが水分で詰まってしまい、止めざるを得なかった。
本来なら一人で演奏する(オルガン)ので演奏者の中にある曲の流れあるいはリズムに基づいて右手、左手、足の声部が動く、ところがこれを4人のリコーダー奏者で演奏すると、4人が別々にリズムをとりだしたらえらいことになる。たとえクオーツの正確さでもダメなのだ。
4人が一つのリズムを共有し、それに自分の演奏を乗せなければ意味がない。長い休符などは見失わないために数えることはあるけれども、演奏が始まったらすぐに流れに乗るべきだ。いつまでも足で拍子をとっているのを見かけることがあるが、実に見苦しい。
とりあえず最後までまで演奏することは出来たが、各パート間で、呼応したり、かけあったり、そのうえ声部の主張も込める、ことに対しては、不十分であったと思う。これは自分のパートの演奏に精一杯で、他のパートを聴く余裕のがないためで、これは単に合奏練習の回数を増やせば解決するほど単純ではないだろう。

主よ人の望み・・・はEWI の演奏会デビューと言ってもよい。
あまりにも有名な曲だけれど全てのパートをリコーダーに振り当ててしまうと、3連音符の旋律と、かぶさってくる歌が混濁してしまう。だから器楽だけの演奏では、この歌のパートはオーボエとかトランペットのような特徴ある音質の楽器に受け持たせている。
そのため今回はEWIのオーボエ風な音を使用して練習を始めた。何回か演奏するうち、この音源でトランペット風な音にすることも可能なことを発見した。アンプのVRを少し下げておいてタンギングを伴った強い息を吹き込むと、トランペット風な音になる。そもそも両者の音質構造は似ているのだろう。だから音の立ち上がり部分を変更すれば全体の印象も変わり全く異なる楽器のように聞こえるのだ。
本番の演奏でもトランペット風な音を使用した。演奏していて気がついたのだが、古楽器のコルネット(注1)にそっくりだと思った。サイズも木管楽器風な運指も然り。右に傾けて演奏すれば気分はまさにコルネット。演奏後にトランペット風な音は良かったとの感想をいただいたので、とりあえず成功だったのではないか。

バッハのドッペルコンチェルトはウインドベルの方達と一緒に演奏した。まだ完全に習熟したわけではなかったが、急遽演奏することになったのだ。そのための後半を省いて演奏したが、まあ仕方がないか。1stと2ndの絡みだけではなく、bassも同等に口を出してくる。やはりバッハだ。余裕の演奏ではなかったがとりあえず演奏出来たことでほんの少しだけれども自信を得たような気がする。バッハのフルートソナタなどにも挑戦してみたくなった。

次回の「昼下がり・・」は1月の31日(日)を予定している。


注1 ブラスバンドで使用するコルネットとは違う。ルネッサンス以前から使用されていた古楽器でマウスピースはホルンやトランペットのような金管楽器系、楽器本体は筒状で指穴を開閉し木管楽器風。

10/25/2015

横断歩道


以前 仕事帰りに、ぼんやりと赤信号の横断歩道の前で立っていた。片側一車線の道路で短い距離なのだが、広い道に合流するので交通量は比較的多い。道の向こう側にも3人ほど信号待ちしている人の姿が見えた。その内の1人がサングラスの女性だった。ア! 白い杖を持っている。・・・
私は信号が青に変わったので慌てて横断歩道を渡り、目的の方向に歩き始めた。そこで先ほどの女性のことをチラリと思い出し、振り向いたのだ。彼女はまだそこにいた。白杖で歩道をカンカンカンと突いている。左折のタクシーが通ったりしているので歩道が渡れないのだ。私は近づき声をかけた「何かお手伝いしましょうか?」女性は「渡りたいんです」 肩に手を触れてもらって誘導するらしいことは思い出したが、どのような体勢で肩に手を触れてもらうか分からない。とりあえず彼女の手が私の腕に触れるようにして歩道を渡りきった。「渡りました」 「ありがとう」・・・

昨日また同じ信号で待っていたら、前方に例の彼女が立っているのが見えた。雰囲気はちょっと変わったようだが、サングラスの形で判る。失礼かとも思ったが、信号のこちら側で観察させてもらった。歩道を杖で軽く突いている。中年の女性が一人また一人と横を通って行くが、気がつかないようだ。 3人目の女性は気がついたらしく1〜2歩近づいたのだが、結局声もかけず信号を渡ってしまった。ダメだ信号が変わってしまう。私は急いで横断歩道を渡り、声をかけた「渡りますか?」 ・・「お願いします」
正しい方法はまだわからなかったけれど、前回よりは落ち着いて誘導することができた。

改めてその横断歩道に一人で立ってみた。近くの大きな信号と同期しているらしく、なかなか青にならない、一旦青になるとかなり長いのだ。そして青に変わる時、合図の音など全くない、だから目の不自由な方にとっては雰囲気で感じるしかないのだ。それなのに左折車などがどんどん進入してくるからさらに判りにくいと思われる。私たちにとって何の変哲もない横断歩道でも多くの問題があるのだ。

先日は盲導犬と一緒に歩いていた方がトラックにはねられ亡くなられた。犬は逃げる事はできたろうに、職務を全うするため主人と運命を共にしたと伝えられている。また目の不自由な姉妹が事故に遭ったとの報道もあった。

社会のこのような問題は多くあるはずなのだが、目につきにくい。関係者も声を上げにくいこともあるかもしれない。車椅子や手話しかり。もっと注意深くこれらの問題に向き合わなければならないと思った。

エレクトーン奏者でもある 平瀬徹さんのホームページ「街で視覚障害者と出会ったら」 は参考になりました。ぜひ目を通していただきたいと思います。


米軍の空母に乗り込み、戦闘機のコックピットに座ってはしゃいでいる「エライ人」がいたけれど情けない。戦争ごっこの好きな子供みたい。こういう方に社会の底辺にあるいろいろな問題に気づくことを期待するのは、そもそも無理なことなのだ。

ネックストラップの自作


自作したストラップ

EWIを始めたらネックストラップが気になりだした。
EWIはかなりの重量があるので、ストラップは必需品だが、リコーダーとEWIを素早く持ち替えたりするため、ずっと首に付けておかなければならない。首が圧迫されたり、調整がぎこちなかったり大いに不満を感じていたのだ。
EWIを演奏しているプロたちが使用しているストラップで気になる形を見つけた。翼を広げたような形で、首が圧迫されず安定感がありそう。BIRD STRAPの名称で販売されていることがわかった、主としてサックスに使用されているらしいがサイズも何種類かあり、結構よい値段だ、各部のパーツだけでも購入できるので、新大久保のクロサワ楽器で中心部のV型プレートだけ入手した。
首に掛ける皮パッドの部分は使用していないストラップの物を流用。他の部品、紐とかナスカンは新宿のハンズで入手出来た。
・紐  3φテトロン黒 90cm
・ナスカン  樹脂製のフックという手もあったが、EWIの重量を考えると突然折れることも考えられるので金属のナスカンを使用した。ハンズでは皮の加工コーナーに小型のナスカンが何種類も置いてある。デザイン的には小さな物にしたかったが、取り外しの簡便さや強度の点でテッポウナスカンのこのサイズを採用した。
紐の通し方はV型 プレートに説明が付いているし、この写真でも解ると思います。
紐の端末はカットしたらライターの炎などで軽くあぶることにより先端が溶着してほどけなくなる。皮パッドのハトメ穴に通して一回結んだら、針と糸で端末と紐を何回か貫通させ、最後はぐるぐる巻いて縛れば完成(下手なイラストあり)。メーカーではここを固定する金具(ブレードクリンチ)も出しているが、私は糸を使った方が確実のような気がする。


結果的にメーカーの完成品と同じような構成になってしまったが、メンテナンスは自由にできるし、何よりも価格が安い。
使ってみると長さの微調整も簡単だし首への圧迫感もない。満足出来る仕上がりとなった。

バスリコーダーのストラップへの拡張
バスリコーダーの音色は好きだし表現力もあると思う。運指が少しぎこちないのは、楽器の保持に問題があるからだろう。ストラップなしで足で挟んで演奏しているので、安定せず、低音に問題が出たり運指にしわ寄せが来たりするのだ。
以前は楽器に脚を付けたりしたが、管の下側の穴に差し込むタイプだったので、安定は良かったが、最低音に影響が出たり楽器ケースに収まらなかったりしたので、結局使わなくなってしまった。今回はストラップでやってみよう。

ただバスリコーダーの場合、取り付けフックの位置が腰の近くになり、ストラップの長さがかなり長くなる。写真で言えばAの部分がかなり長くなるわけだが、この部分は紐が4本あり、絡みやすい場所なのだ。調整範囲は広くなるがあまり意味がない。
今回はEWIのストラップを流用し、不足分は延長リードを使用することにした。安定感と強度を求めこの部分は平テープを使用してみた。上側には小型のDリング、楽器取り付け側は楽器に合わせて小さなナスカンを使用した。
もしバスリコーダー専用のストラップを作る場合でも、延長リード使用は十分意味のあることなので、お勧めする。

取り外す必要はないから、テッポウナスカンとDリングの使用はやめてOリング一個で一体型として作れば良いと思う。