9/23/2010

INSPIRON 1300 の修理


DELL ノートPC INSPIRON 1300  の不具合チェックを依頼された。

CDを挿入直後は動作音がしてCDを読み込もうとしているのだが、結局認識できないまま動作が止まってしまう。最初は設定の問題と考えてデバイスマネージャー等をチェックしてみたが問題はなさそう。
診断プログラム(DELL Diagnostics) を走らせて見るとOptical Driveでエラーコードが表示される
結局光学ドライブの不具合と断定、レンズなどクリーニングしてみたがダメ

グーグルで検索してみるとINSPIRON 1300  の光学ドライブを交換する記事が結構ある。ノートPCに装着されているドライブは構造的に弱いのかもしれない。またそれらの記事によるとドライブは規格化されていてメーカーや形番が違ってもSlimline SATA であれば可能との事で、メーカーと型番がいくつか列記してあった。

持ち込まれた INSPIRON 1300 はもう一つ問題があった。Cドライブが満杯状態で動きが取れない、もともと60GBしかないHDD をCドライブ40GBと予備として15GBに分割してあるが、マイドキュメントだけでも20GB以上ありこれがCドライブを圧迫している。HDDを容量の大きなものに交換したい。

DELLのマニアルによると光学ドライブ、HDD、メモリー、無線LANカードなどは本体を分解することなく、裏側のビス1~2本で簡単に取り外せる親切設計。
しかしHDDや光学ドライブの形式などはマニアルのどこにも記述がないのだ。
取り外して確認するとHDD はFUJITSU MHU2060AH  2.5インチ/ATA とあるから2.5インチのIDE タイプ、光学ドライブはSONY CRX880A  CD-R/RW/DVD-ROM  となっている

秋葉原のPC部品店に行ってみるとノートPC用の光学ドライブメカが並んでいる、当初の予定通りSlimline SATA を購入しようと思ったが、ふと疑問がわいた。
HDDがIDE なのに光学ドライブメカがSATA は矛盾ではないか。それにSATAのコネクタ部分は2個に分かれているが、分解したときは1個だったように記憶している。
察するところ製造途中からIDE→SATA の変更があったのではないだろうか、急遽ATAPI のメカに変更することにした。
購入したのは SONY AD-7580A Slimline ATAPI  DVD の書き込みも出来るタイプ。値段は3480円 なおATAPI は IDE と同義らしい。

HDDの交換はOS のXP が特に問題なく動作しているし、クリーンインストールをするとmixi や無線LAN の設定まで含めて大変な時間を要するので
HDDの丸ごとコピー方式で行くことにする。当初引越しソフトがバンドルされたHDDを購入するつもりであったが、SATA ならともかくIDEだと品数も少なく、値段も高い。B社製120GBで1.4万ぐらい、保障も付いて安心かもしれないが慢性金欠病の私にとって高すぎ、HDDのバルク品だと160GBでも5000円以下、HDD丸ごとコピーのフリーソフトもあるが今回はやめておこう、結局HDDはサムソンHM160HC 2.5インチIDE 160GB 4980円、引越しソフト「ハードディスク入れ替え12PRO」3780円それとHDD外付け用ケース780円。

光学ドライブの交換は裏側のビス1本で簡単に取り外しが出来る。小さな取り付け金具を新メカに取り付け、挿入してビス一本締め付けて交換作業終了
PCを立ち上げてみると「新しいハードウエアが見つかりました CD-ROM」の表示が出てあっさり認識、そのままCDを読み込んでくれる。あまりの簡単さにちょっと拍子抜け。フロントベゼルの部分がわずかに引っ込み気味で表面がツライチでないがこれは我慢。

HDD引越し作業の方は、新しいHDDをケースに収めUSBで接続して初期化しておく
後はソフトの指示通りでHDDのコピーが開始される。ただ転送には時間がかかり今回は2時間以上を要した。最後にレジストリの自動転送があり終了。
新旧のHDDを入れ替え起動してみる、DELLの表示の後Windowsが立ち上がらず変な表示が出る「Windowsのxxxxが見つかりません」!なにぃ!
ソフトのマニュアルによればその部分をコピーする・・・等とあったが、ウイルス検出ソフトが転送の邪魔をしたのかもしれない。
転送をやり直すことにした、再度待つこと2時間強、HDDを交換し起動、今度はWindows が立ち上がり、元のデスクトップ画面が現れた。やれやれ
後は手元にあったパーティション・マジックでHDDを三分割し、20GB以上あったマイドキュメントとmailの保存場所をCドライブ以外に移動して完了。

今回の作業は書けばそれだけのことではあるが、グーグルでいろいろ検索したり秋葉原を回ったりしてパソコンオタクの世界を覗いたような気がする。パソコンを部品から組み立てようなどとは思わないが、中古のパソコンを安く入手し改造して使いたいなど考えるようになった。

(写真はINSPIRON 1300の裏面、電池を取り外し、HDDと光学ドライブが見える)

9/12/2010

リコーダー改造クルムホルンもどき

中国の横笛「笛子」(dizi)には息を吹き込む歌口と6つの指孔の中間付近に膜孔と呼ばれる孔があり、ここに笛膜を貼り演奏する。
一般的に笛の音は正弦波に近い澄んだ音がするが、笛膜の振動が加わることでダブルリードを持つ楽器のような表情豊かな音になる。
(笛子の笛膜については別項で解説するつもりです)

スザートの曲は時々プログラムに加えられるが、打楽器などを加えて演奏すると、リコーダーの音色だけでは押され気味になってしまう。クルムホルンやコルナミューズを加えて音色や音量に変化をつけたいのだが、それらの楽器は経費や演奏技術の習得で問題がある。
それならばリコーダーに笛膜を応用すればクルムホルンのような音色が得られるのではないかと考えた訳である。

最初の試作
樹脂製ソプラノリコーダーのラビュームと一番上側の指孔との中間付近に孔をあけた(8X6mmの長円)
笛膜を張り演奏してみたが、音程がすっかり狂ってしまい、音も不安定、原因はこの部分の管の厚さが数ミリあり、管の外側に膜を張る為、内管の容積形状が変ってしまうことが原因と思われる。

試作改造
管の厚さによる容積変化を避ける為、管の厚さ分をヤスリで削り落とした、これに笛膜を貼った状態(写真)
笛膜や接着する阿膠(アージャオ)と呼ばれる膠(にかわの一種)も写っている。音程はかなり改善されたが、笛膜の状態によってはビビリ音にならなかったり極端な場合は音が出なくなったりした。

試作改造その後
膜孔を縮小するとかなり改善されることがわかったので、5mm程度の孔を空けた樹脂の薄板を膜孔に貼つて孔径を縮小しその上に笛膜を貼って使用してみたが何とか使えるレベルにはなったと思う。昨日HRCの練習があったので実際に合奏で使用し、「ソプラノ クルムホルンの音に似ている」などと強弁して何とか使用を認めさせることに成功した。本家の笛子でも笛膜の貼り方はいろいろコツがあるらしいので、更に工夫してより安定した「クルムホルンもどき」を完成させたいと思っている。

8/29/2010

ロンダドール

エクアドルのコタさんの演奏を何回か聴いているうち店番を頼まれたことがあった。ちょっと用があるので店を見ていてくれないかとの事、気軽にOKしたがすぐには戻ってこない。

手持ち無沙汰で照れくさいので、サンポーニャなどいたずらして音を出していたのだが、ケーナでコンドル・・・の「さわりの部分」を演奏してみた。
道行く人達はビックリした顔で眺めている。
私も恥ずかしくなってすぐに吹くのを止めたが、得がたい経験だった。

帰国の前日、最後の演奏を聴きに行った。
彼は展示してある小型のサンポーニャで民謡のような素朴な曲を演奏してくれた。二本の管を同時に吹くことによって和音になり素朴なメロディーに飾りが付くのだ。
「明日帰国するのでこの楽器を購入してくれないか」との事で格安で譲り受けた。
普通のサンポーニャは管が長さの順に並んでいるが、この楽器は列の中に短い管が混じるのでノコギリのようにギザギザであることが特徴である。

調べてみたら「ロンダドール」と呼ばれるエクアドル特有の楽器であることがわかった。通常の音階の配列の途中に和音用の短い管が入り込む為このような特徴的な外観となるのだ。
合奏などには向かないが、屋外などでひょいと取り出して素朴なメロディなど演奏できたらカッコいいだろうなあ。

新百合ヶ丘駅前でケーナの演奏

仕事帰りの夕方、新百合ヶ丘駅の南口に行ってみる。今日もケーナの音が聞こえる。
最近連日この場所でフォルクローレを演奏している男がいるのだ。一人でケーナやサンポーニャを演奏し、時々歌も歌う。コーヒールンバや花祭りのケーナは素晴らしく、コンドル・・のサンポーニャも絶品

その後出会うたびに少し離れた位置で聞いていたのだが、昨日演奏中の彼が手招きして私を近くに呼び寄せ、あなたのために演奏するとのこと。名前はリチャード・コタ エクアドルから来たそうだ。
エクアドルの民謡をケーナ、サンポーニャで演奏したが、ボリビアやペルーに比べると少し物悲しく哀調がある。

私は自分のケーナ(アハユ作、リグナムバイタ)を手渡して試奏を頼むと、しばらくいい音で演奏してから「これはプロフェッショナルケーナだ」と言って戻してくれた。
・・音色は良いが音の立ち上がりが少し悪い楽器と思っていたが、私の演奏技術が未熟なだけだったのだ・・もっと練習しなければ。

写真は私のケーナを演奏するリチャード・コタ

8/22/2010

EDIROL R-09HRによる録音

近江楽堂リコーダー発表会の当日、リハーサルの為午前中に会場に到着した。
チェンバロは所定の位置に運ばれて調律が始まっている。観客用の椅子も既に並べられていた。
最前列の椅子の中央にスタンドに取り付けたEDIROL R-09HR があった。
ACアダプターもちょっと不安定だが壁のコンセントから延長コードを使用してセットしてある。細岡師匠が自分で設置したらしい。

早速声がかかった「KENJIさん録音係やってもらえますか?」
2曲も演奏するしEDIROLは使用した経験が無い。しかし見渡したところ録音を請け負ってくれそうな人物も見当たらない。
仕方ない引き受けるしかないか、EDIROL R-09HRにも興味があるし。
「これが入力の調整ボタン、録音開始はここ、止める時はここ」 と師匠は簡単に言う、マニアルぐらい読みたいが持って来てない。
「ウエイブの16でOKでしょう」、「まあそうですけど・・・」  かなり不安
リミッターの設定など確認する余裕もないので、入力レベルは低めに設定。
演奏会は全部で3部に分かれているので、各部で連続で録音し、部の間の休息時間だけ録音を止めることにした。

演奏が始まると自分も出演するのでバタバタしてしまって、録音機の横で待機する余裕は無いし、そもそも録音席として決めた最前列中央の席も
お客さんに占拠されてしまったので、演奏中の録音レベルチェックも出来ない。途中打楽器を使用したグループもあり録音レベルの心配もあったが、そのまま録音を続けた。
最後に録音データーが記録された小さなSDメモリー・カードを持ち帰った。
USB接続でメモリーカードを開いてみると3つのファイルが番号順に並んでいた。Windows マシン、Macどちらでも読み込み可能。
早速Mac.で読み込み編集作業を行ったがこれは便利だった。
今まではFOSTEX VF80 で録音し、データーはCDRに焼いて取り出し(これが時間がかかる) データーはL/R 別々なファイルになっているので「デュアルモノの読み込み」でMac.に取り込みそれから編集作業をしていたのだが、EDIROL R-09HRではUSB接続で数分で取り込み編集できるのだ。

もっともマルチトラッカーVF80とポータブルレコーダーR-09HRでは目的が異なり、前者は多チャンネルの編集を目的としており後者は手軽なステレオの録音を目指しているのでファイルの扱いも異なっているのだろう、私の場合音楽のステレオ録音をする事が多いのでR-09HRの便利さには驚いてしまった。

これでは早速ポータブルレコーダーの導入を検討しなければならない。
R-09HRは最近はRolandブランドで発売されており、弟分のR-05 も発売された。R-09HRもそのまま販売されるとの事なので、想像するにAD変換を含めたデジタル処理技術は完成の期に達しており、デバイスも然るべきメーカーから供給されているのだろう。異なるのは周辺の機能、チューナーやメトロノーム、リモコンやスピーカーの有無そしてマイクユニットを含むアナログ部分へのコストの配分だろう。
同様のことが他社にも当てはまり
YAMAHAのPOCKETRAK C24/W24 やTASCAMのDR-1,DR-7など魅力的な製品もあり価格と相談しながら検討してみよう。

8/17/2010

リコーダー発表会 終了

8月8日東京オペラシティー近江楽堂
細岡ゆき門下生による 「リコーダー発表会」 

通奏低音 Cem. 矢野薫  Vdg. なかやまはるみ

第一部 (バロックピッチ) マルチェロ、ルイエ、ヘンデル、テレマン、ヴェラチーニ 等のソナタ
第二部 リコーダーアンサンブル
第三部 (モダンピッチ) によるソナタ等

近江楽堂でプロの通奏低音付きとなれば、我々アマチュアにとっては勿体ない程の機会で、出演者達はちょっと緊張しながらも楽しく演奏できたのではないだろうか。

私達HRCは第三部でJ.H.シュメルツァー 6本のリコーダーの為のソナタ を演奏した。
曲全体が金管楽器によるファンファーレのような感じで、練習不足もあるがちょっとリコーダー向きではないような気がする。
通奏低音付きの場合、リコーダー1本で演奏する方が緊張はするが断然楽しめると思った。

更にもう一曲 Kさんのリュートと私のリコーダーで「涙のパヴァーヌ」 
ここしばらくはケーナに手を出すのも控えてリコーダーに集中した成果があったのかもしれない。
演奏中は精神の高揚はあったものの冷静な部分もあり、リュートの音を聴く余裕もあった。途中幾つかの「難所」も何とかクリアできて曲の終盤に近づいたとき「これは上手く行くかもしれない」との思いが頭に浮かんだ一瞬、指がもつれてフレーズを一つ飛ばしてしまった。しかしリズムは崩さず最後のフレーズに突入、最後のリュートの細かい音符を聞きなが何とか終了。
演奏が終わった直後リュートのKさんと顔を見合わせたが満足そうだった。
席に戻ったときHRC代表のYさんの「今までで一番良い演奏だったよ」との言葉が嬉しかった。

最後は」細岡師匠 Cem. 矢野薫さん  Vdg. なかやまはるみさん による講師演奏
D.オルティス パッサメッツオ・モデルノ
G.フレスコバルディ そよ風吹けば 
チェンバロは暴れまくり、ガンバは弓でなく指でコードを弾いているのでフラメンコギターのようだ、細岡師匠は歌とリコーダー
いつもとは違う雰囲気に少しビックリ、数日後にも同じメンバーでライブ演奏するそうだ。

・・・・・・・・

今録音の編集作業をしながら「涙のパヴァーヌ」 を聴いているが、全体に一本調子だし、細かいミスも沢山ある。
しかし名だたるプロ達の演奏に及ぶはずも無く、とりあえず満足としましょう。

写真はオリーブの演奏

8/02/2010

セロ弾きのゴーシュ 2

「印度の虎狩り」は実在の曲か

第六交響曲の他にもう一曲重要な曲がある。「印度の虎狩り」だ
練習を冷かしに来た三毛猫をキリキリ舞させ
楽長に「あんな曲」と言わせ
最後に大喝采を受ける曲

ネコ→トラ→印度の虎狩 とイメージが拡大して行くこの曲名は物語が進行していく上で重要な役割であるが、どうも実在の曲では無いようだ。

YouTube などで調べてみると "Hunting Tigers Out in Indiah"は見つかった。

http://www.youtube.com/watch?v=YxgK9Hj6Mas

しかし聴いてみると「印度の虎狩り」というわざと大げさな曲名をつけて、それを茶化しているような感じで
ゴーシュが演奏した曲とは全く別物であるとの印象である。

また賢治のレコードコレクションの中にもそれらしい曲名は含まれてないようなので、この「印度の虎狩り」と言う曲名は賢治の創作と考えても良いと思われる。
1982年のアニメ映画「セロ弾きのゴーシュ」では「インドの虎狩り」とあと一曲「愉快な馬車屋」は間宮芳生が新たに作曲したそうだ。

8/01/2010

涙のパバーヌ

まだCDが発売される前、LPレコードが全盛だったころ、ハンス・マルティン・リンデ「ブロックフレーテ名曲集」のLPレコードを持っていた。
当時LPレコードは大変高価だったのでそれほど多くのLPを所有していたわけではない。
ヘンデルやテレマンのソナタ、天使のナイチンゲール、グリーンスリーヴスによる夜想曲、などが入っており
特に気に入った曲はリュート伴奏の「涙のパバーヌ」ヴァン・エイク 、リュートはコンラート・ラゴスニッヒとなっていた。

・・・時は流れ、HRCが結成され・・ギターが得意なKさんがリュートを入手した。 しばらくして「合奏しませんか」と楽譜を見せられた、

ジョン・ダウランド(三つの舞曲)
一つの旋律楽器(リコーダー、フルート、ヴァイオリン)とギター(リュート)のための(コンラート・ラゴスニック編) 日本ショット社 1981年

この中の一曲が「涙のパバーヌ」 旋律楽器のパート譜にはハンス・マルティン・リンデの名前もある
まさにレコードの演奏そのものの楽譜ではないか!

Kさんがこの楽譜を入手したのは80年代で、当時ギターを演奏していたKさんはリコーダーとの合奏を目指していたわけではなく、偶然入手したのでその後ずっと本棚に眠ったままになっていたらしい。

「昼下がりのコンサート」などで合奏したのだが、近江楽堂で演奏しないかと細岡師匠から声がかかった。
最初は気後れしていたが、こんな機会は滅多に無いことなので、思い切って受けることにしたのだ。

多くのリコーダー愛好家の前でこの曲を演奏することは、かなり勇気を必要とするが、
8月8日の演奏会まであと一週間、「セロ弾きのゴーシュ」に成るのは無理としても、気持ちだけでも、そのつもりで演奏に臨みたいと思っている。

写真は、LPをコピーしたCDと「涙のパバーヌ」の楽譜