アルトリコーダーに取り付けられたCM-200 |
この場合一人で演奏している場合は快適なのだが、何人かで同時に音を出している場合、ちょっと厄介なことが起こる。チューナーが表示している音が、必ずしも自分の音であるとは限らないのだ。
自分の音が途切れている時隣の音が鳴ればチューナはその音を表示している。自分の楽器を鳴らしても瞬時には切り替わらずちょっと遅れて表示される。
さらにリコーダーオーケストラなどで音階練習などしているときは問題が大きい。自分の音すら良く聞き取れないのにチューナーの表示が当てにならない。このような事態を回避するため コンタクトマイクロホン CM-200 というアクセサリーがある。
マイクロホンなのだが、空気の振動をとらえるのではなく、楽器に密着させその振動を直接ピックアップするのだ。そのため取り付けた楽器の振動には反応するが、空気を伝わってくる他の音には反応しない。
ちょっと大きめな洗濯ばさみのような形状で、内部にはピエゾ素子が埋め込まれており、これが楽器の振動を電圧の変動として送り出してくるのだ。早速購入して使って見た。結論を先に言うと、これは残念ながらリコーダーには使えなかった。
ソプラノリコーダーでもこのマイクを取り付けるのにちょっと苦労する。運指の邪魔にならないように足部管か頭部管の窓の下に取り付ける。リコオケの練習時に持ち込んでみた。
他の楽器が鳴っても全く反応しない。音を出してみると赤いLEDが点灯し、針がスッと上がってセンター付近に止まると緑LEDが点灯した。「オ、これはいい、成功だ」と思ったのもつかの間、反応しない音がいくつかあるのだ。アチャー!
足部管にコンタクトマイクをつけた場合、左の指孔を全部ふさぎ、右手の指孔をいくつかふさぐような音はピックアップできるのだが、右手を使用せず左手の指孔だけををいくつかふさぐような音はピックアップできない。また頭部管へ取り付けた場合は(写真)、左手だけの運指の場合良好だが、右手も使う運指の場合反応が鈍く場合によては動作しない。
理由としては管の中の空気が振動しても、木製の管はそれ程強くは振動しない。それと振動しても空気の振動が近い場所に限られ、離れた場所へ届く振動は木質の内部損失によって弱くなってしまうと思われる。このことは「木質材料の違いでリコーダーの音色が変わる」とする、まだこのブログで結論を出していない問題とも深く関わり非常に興味深いのだが、今回はちょっと保留する。
もちろんこの現象はリコーダーだから起きるのであって、ヴァイオリンやチェロ、あるいはトランペットなどの金管楽器、フルートやサキソフォーンなどの金属製木管楽器では快適に使用出来るはずだ。オーボエやクラリネットはひょっとして不具合がおこるかもしれない。
リコーダーでこの問題を回避するには楽器の振動ではなく、ラビュームの至近距離からマイクロホンで集音すれば良い。このような目的で使用する小型マイクはラベリアマイクと言われ殆んどコンデンサー型でファンタム電源を必要とする。性能は良いが大げさすぎて価格だって最低でも5000円程度から数万円まで、チューナー本体の数倍から桁違いまで、とても使いきれるものではない。安価なエレクトリックマイクが使用できれば良いが、このチューナーは対応していない。
いっそエレクトリックマイク(ECM)が使用できるよう工夫をしてみよう。部品も意外と安く入手できそうである。次回はECMを使用した報告を書く予定です。
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