10/13/2012

コーヒー・カンタータ


BACH Be silent,not a Word  No.4.Arie

バッハの曲で「羊は安らかに草を食み」とよく似た組み合わせの曲がある。コーヒー・カンタータBWV 211「アリア:ああ、なんてコーヒーはおいしいんでしょう」これはヴォーカルのソプラノとフラウト トラベルソの組み合わせだが、お転婆娘と父親のコーヒーをめぐる論争だけに「羊は・・」のような  のどかな感じでは無く、かなり鋭いやり取りが感じられる。  

この曲を始めて聴いたのは「林りり子門下生」の演奏会だった。

この「林りり子門下生」には当時  N響とか日フィルとか名だたる交響楽団のフルート奏者が名を連ねていて、この奏者達が、フルート以外のプロ奏者を伴って意欲的な曲を次々と披露してくれたのだ。しかも無料。そんな中でこの曲を聴いたのだ。トラベルソではなくベームフルートで演奏したわけで、ソプラノとフルートの(鋭いやり取り)が印象に残っている。  

この門下生演奏会にはもう一つ思いでがある。
「コーヒー・・」と同じ演奏会だったかどうかはっきり覚えていないのだが、その時は後ろの方の席で聴いていたのだ。周りにはかなり空席があった。
演奏会の中頃、私の隣の席にあまり背が高く無くがっちりした感じの外人が来て座った、グレーのセーターのようなラフなスタイルだったか。顔を見たら、何とニコレその人、  こりゃ大変!何か挨拶しなければ、と焦ったけれども頭の中は真っ白、(ドイツ語の単位はかろうじて取ったはずだが)アワワワとわけのわからない言葉を発しつつ、当日のプログラムとボールペンを差し出した。彼は気軽に余白にサインしてくれた。周りの観客も気がついたらしく何人かがサインをもらったようだ。間も無く楽屋にでも挨拶に行ったのだろう、ニコレはいなくなってしまった。

保存してあるはずのサイン入りプログラムは探したけれど見つからない、歳月に押し流されてしまったのだろう。そしてニコレさん今どうしておられるだろか、当時の私にとっては、神様のような存在だったのだ。

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