カフェ バウムの外観、左下は明かり取りの天窓 |
中央にコーヒーカンタータの楽譜 |
コーヒーカンタータはコーヒーハウスで初演されたと言われている。このブログの読者であるDonneidecker氏からライプツィヒのコーヒーミュージアム 「カフェ バウム」のパンフレットが送られて来た 。このコーヒー店はドイツで最も古い店舗と言う事だ。建物は保存され今でも営業しているらしい、また上の階ではコーヒー博物館になっていて、コーヒーの歴史が展示されている。
パンフレットにはバッハのコーヒーカンタータの出だし部分の楽譜や建物の間取り図なども添えられている。コーヒーカンタータが初演されたのは残念ながらこの店ではないのだが、間取り図が気になった。 日本の喫茶店のような広いフロアでは無く、いくつかの部屋に区分けされている。わたしは一瞬日本のカラオケボックスを思い出してしまったのだが、グループで貸し切ってコーヒーを飲みながら談笑出来るようになっていると思われる。従って単にコーヒーを飲むだけでは無く、貸し出しサロンのような役割もあり、それが時代の要求に合っていたのだろう。 シューマン、リスト、ワーグナー、シラーなども常連客だったと記録されているから、当時文字どおり市民権を得た市民達がコーヒーを飲みながら、芸術や政治の議論を交わしていたのだろう。
バッハのコーヒーカンタータに話を戻すが、父親が、娘にコーヒーを飲む事をやめさせようと説教し、娘はコーヒーを飲むのはやめられないと主張する。
父親はあの手この手でコーヒーをやめさせようとするが、やめなければならない理由は一切言っていない。また娘の方もコーヒーがやめられない理由はコーヒーが美味しいからやめたくないの一点張り、
表向きはコーヒーを飲む事の是非だが、実はサロンに出入りする事を心配する父親とそれに反発する娘と考えると、納得出来るのでは無いだろうか。
当時ロンドンのコーヒーハウスは女人禁制だったそうだ。コーヒーハウスに女性が出入りすることは、頑固で保守的な男たちからみると眉をひそめることだったのだろう。だからここライプツィヒでもコーヒーハウスに出入りするのは先駆的な少数の女性だけだったらしい。しかし作詞者のピカンダーもバッハも明らかに女性の肩を持っている。頑固親父はコケにされ、 娘は高らかにコーヒーを賛美し、結局は娘の作戦勝ち、最後は娘、父親、解説者全員揃ってコーヒー讃歌、
「ネコがネズミを見逃さないのと同様女性はコーヒーを離さないでしょう」
手放しのコーヒー讃歌だが、スポンサーがコーヒーハウスであることも考慮しなければならないだろう。
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