例えばテレマンのリコーダーソナタを演奏する場合、当然の事だがブレッサンのコピーのような楽器が適しているのは言うまでもないだろう。
テレマン自身もリコーダーを演奏し、また良い楽器も所持していたらしく、彼の曲は限界ギリギリの音を要求してくる。それを次々とクリアしていく演奏は爽快だろうと思う。もちろん私の演奏がその境地に達しているわけではないけれど。確かにリコーダーの運動性能は同じエッジトーンの楽器の中では一番だろう。フルート、尺八、ケーナなど運指上特に差異はないとすれば、ウインドウエイの有無が決定的な差を生み出している。
エッジに吹き付ける空気の流れを唇や口蓋で形成しなければならないフルート等と異なり、リコーダーの場合はこの部分がすでにウインドウエイとして形成されている為、発音が素早く簡単にできるのだ。
しかし良い事だけではない、ウインドウエイが固定化されていることは、変化させる事が難しい、
リコーダーの最低音と最高音ではエッジに当たる空気の流れの角度、太さ、速さ等の最適値が異なるだろう、これを固定化するのだから両者の平均値的な設計とするしかなく、さらに言えば最低音最高音を含む全ての音に対しても最適値ではなく近似値でしかないわけだ。
さらに細かく・・吹き出し口とエッジとの距離も変化が必要
音の 鳴り始め、途中、鳴り終わりにも変化が必要・・キリが無い!・・
そして実際の演奏は表現として最適値以外の音もバンバン使う。
リコーダー奏者には息の強弱コントロールのみ残されている。これでかなりの部分が解決可能性かもしれないが、当然不満は残る。
テレマンではなくダニーボーイをソロかギター伴奏で演奏すると考えてみる。
低音部の充実、中音部の歌うような柔軟性とメリハリ、最高音は感情の詰まったピアニシモ
これをアルトリコーダーで表現するとなると困難が見えてくる。
いっそリコーダーからウインドウエイを取り去ってみたら。との思いで組んでみたのが写真の楽器 アルトリコーダーの頭部管を取り去り、代わりにケーナの発音部分を取り付けた。
ケーナはG管と呼ばれ、音域も足部管のないアルトリコーダーと考える事ができるので、そのまま利用した。
リコーダーは全音のブレッサン(旧)、ケーナはマルセロ・ペーニャ(ボリビアタイプ)を使用
接合部では両者の内径の差が1.5mmほどあるが今回は無視する。(ケーナの方が太い)
接合方法も真鍮パイプなどで抜き差し調整可能な方法が必要だが、とりあえずガムテープで固定した。
試奏
音程 エッジの位置をリコーダーとほぼ同じ位置としたが、大きく外れることは無く、リコーダーと同じ運指で演奏できる。
音色 ボリビアタイプケーナ特有の大口径指孔の明るい大音量ではないが、ちょっとくすんだ音でリコーダーとは明らかに違う。音の変化はつけやすい。
評価するにはもう少し習熟する時間が必要、再度報告するつもりです。
0 件のコメント:
コメントを投稿