2/26/2012

ガークラインの演奏



ガークラインを演奏する機会がやって来た。リコオケでガークラインのパートを指名されたのだ。

Garklein は「さらに小さい」と言う意味でソプラノリコーダーのさらに1オクターブ高い楽器で、リコーダー族の中では最小、指が太いと孔をふさぐのが困難になるほど小さい楽器だ。
私はKung社classicaシリーズのグラナディリ材製を一本所有している。このシリーズ今では製造が中止されているが、流通在庫はまだ残っているようで時々カタログなどで見る事がある。

魔笛のパパゲーノの笛をまねしている程度では問題なかったけれども
リコーダーオーケストラで演奏するとなると音程音量を正確にコントロールしなければならない。なんせコントラバスからソプラニーノのズラリとそろったカデンツの最上部の音を出すのだ。しかもこの楽器最高音Aの音が要求される。前回の練習では正規の運指を使用したが低いと指摘されてしまった。

この楽器固有の問題なのかそれとも他に方法があるのか、 身近にガークラインを所有している例がないので、比較してみるわけにもいかない。アウロスのクライネソプラニーノを購入して比べてみよう。価格は¥3150かなり割高感があるがこの際仕方がない。トヤマ楽器のホームページによれば「アウロスならではの精密技術の結晶。」とある。期待が持てるではないか。

購入してわかったのだが両者ともバロック運指とカタログに表示されているが、微妙に異なるのだ。もちろん標準のリコーダー運指と異なることは承知していたが、基本的なハ長調の音階でも2オクターブ目のFとAが異なり、さらに1オクターブ目のFisとGis, 2オクターブ目のCis,Dis,Fis,Gisは異なる運指になっている。さらに運指表通りで正しい音程が約束されるわけではないので、結局両者とも一部替え指を使用したりするわけで、運指が複雑になり、キュングとアウロスを気軽に持ち替える わけにはいかない。  どちらか一方に習熟しなければならない。

どちらの運指が正しいか確かめるすべは今のところない。プレトリウスの図版などにもリコーダーの一族としてちゃんと載っているが、小さくて加工が難しく、分割できない一体構造になっているので他のリコーダーと違って運指は確定していないのかもしれない。

また穴に隙間を作って音程を合わせることは、穴が小さいだけに不安定で難しい。替え指を探して息の強さで調整する方が安全なようだ。 

樹脂製のアウロスは音が大きめで一部さらに強く響く場所がある、
これは樹脂製の楽器の一般的な特性だが、分割しない一体成形であることも関係しているかもしれない。 
また最高音部のGとAが運指表のままだと低くなったしまうので修正の替え指を考えなくてはならない。

 キュングは音量が抑え目で比較的全体に一定している。最高音のAは運指表のままだと低すぎて使用できない。また次のGも低いがこれは息を強くすることで修正が出来そう。最高音のAの替え指は幾つか試してみたが、最終的に (- --3 ---7) で何とかなりそうだ。
運指表ではアウロス (ϕ 123 ---7)  キュング (ϕ 12- --67) となっているがどちらも低くなってしまう。また(ϕ 123 --67) , (- --- ---7) 等も試してみる価値がある。
※(0 123 4567 を全部押さえた状態とする ϕは半開、-は全開)
とりあえずキュングに決めて進めることにした。

楽譜は比較的簡単なのだが、派手に目立つ楽器なので楽譜の要所には運指を書き込み、譜面台にはチューナーを常時取り付けて音程をチェックする。練習も他の部員がいる場所では迷惑になるほど音量があるので、早めに帰ってもらい一人で居残り練習したり、場合によっては多摩川の河原で練習も必要かもしれない。

アウロスのトヤマ楽器への期待
今回は多分アウロスは使用しないが、この楽器でも十分使用可能と思われる。
ただせっかく精密金型の樹脂製なのだから、その技術を駆使してソプラノリコーダー等と同様な内径や構造を実現し、運指も標準のバロック式、音域も出来れば2オクターブを確保出来れば需要は十分見込めるのではないだろうか。木製楽器に届かない樹脂製楽器ではなく、樹脂製であることを逆手にとってさらに精密な楽器を作る。それでこそ「アウロスならではの精密技術の結晶」と言えるのではないだろうか。


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