6/22/2014

アルメニアのDuduk 発見

アルメニア(Armenia)のDuduk

先日アルメニアのDuduk の写真を読者から送ってもらってブログで紹介した。
その時の写真は楽器の下端に穴が無いように見えたので、もしかして穴が無いのかもしれないなどと書いた。
写真を送ってくれたDonneidecker氏は撮影時に穴はあったような気がすると連絡してきたが、それ以上確かめようが無いのでこの件は保留としておいたのだ。しかし私は心に引っかかる感じがあった。 これによく似た楽器をどこかで見たことがある。・・・

多摩地区に小さな地下スタジオの付いた建物をアマチュア演奏家に解放してくれている方がいて、私達のフォルクローレグループもそこを利用させてもらっている。このブログでもそこの発表会を紹介したことがある。 スタジオ機材やピアノ、ドラムス、ギターなどが置いてある。そんな中にいかにも南米の手作りといった感じのケーナが数本(これが不思議によく鳴る)国産のプラスチック製のソプラノリコーダーが一本、そして木製の笛のような楽器が一本置いてあった。ケーナに気を取られてその木製の笛のような楽器についてはあまり気に留めなかったのだけれども、Dudukに似ているような気がしてきた。

今日フォルクローレグループの練習日だったので、会場に着くと早速その楽器の場所へ行ってみたのだ。何とDudukそのものではないか!特徴ある大きなリードも箱の隅に転がっている。 今まで何度か目撃しているはずなのに、注意してこなかった自分が少し情けない。

リードを取り付け少し強めに息を吹き込むと意外と簡単に音が出た。特徴のある音だが悪い音ではない。指孔の塞ぎ方を変えると音程がはっきり変わる。運指が解れば簡単な曲は演奏できそうな感じであった。 この楽器の入手経路など知りたいと思ったが、本日はあいにく家主の方が不在とのことで果たせなかった。
下端には穴が開いている


裏面には2箇所の穴

楽器の下端には間違いなく穴が開いている。裏側には2つの穴。表側には8つの穴。とりあえず本日はここまで、
運指や入手経路などわかったらまた報告するつもりです。

ハミングバード・リコ 演奏会


2014年6月15日 調布市文化会館たづくり 1F むらさきホール
 
今回30周年記念コンサートとのことだが、大変なことと思う。派手ではなくても地道に魅力ある練習を積み上げてきた結果だろう。

数年前この団体の演奏会を聴いた時は、もう少し人数も少なく、女性だけでこじんまりやっている感じだったが、今回は部員数20名で私の友人を含めて男性が4人程になり、大型低音楽器も増えて、迫力ある音だった。指揮者である古山和夫氏の指導が細部まで行き届いている感じ。

会場と出演者数の関係だろう長方形の会場の長手方向に演奏者達がゆるい円弧状に並び、観客の椅子もそれに向かい合うように並んでいる。同一フロアで、演奏者と観客が近く親近感がある。音量バランスの問題が出るかも知れないが、私は中央より右寄りの低音楽器近くに席をとったので全く問題がなかった。

W.バード「5声のブラウニング」はちょっと平板な演奏で、期待していただけに残念。せっかく指揮者がいるのだから、もう少しメリハリが欲しい。そうでないと難しそうな曲がただ流れてゆくだけで終わってしまう。
M.フリーデック「様様な様式の誕生日おめでとう」(ハッピバースデーの曲)もう少し遊びの部分を強調したほうが楽しいのではないか。エルガーの曲などは観客席から笑い声が上がった。ベートーヴェンは省略されたらしいが、ぜひ聴きたかった。

テレマン組曲イ短調より「プレジール」は良かった。指揮をしている古山氏が観客席にクルリと向き直り リコーダーオーケストラをバックに演奏。アルトリコーダーのソロは素晴らしかった。高音も無理なく出てさすがのテクニック、しかしそれだけではなかった、次の曲はヘンデルのオンブラ・マイ・ フ。プログラムにはソロのことは書いてなかったのだが、楽譜の間からソプラノリコーダーを取り出して演奏を始めたのだ。弱音からビブラートを伴ったクレッシェンドで最強音まで吹き上げる。最強音でも音は崩れない。ソプラノリコーダーをこれだけ歌わせるのを初めて聞いた。ひょっとしてこれを披露する為オンブラ・マイ・フを選んだのではと思ってしまう。

最後の「インスブルックよさようなら」H.イザークは安心して美しい和音が楽しめた

いろいろ書いてしまったが、これは聴く方からの勝手な思いであって、演奏する側から考えて見るとちょっと異なるのかも知れない。
観客を喜ばす為練習しているのではなく、自分たちが充実した練習が出来るような曲を選び、その延長線上に演奏会があるわけだ。30年の歴史はその集積の結果だろう。

6/12/2014

アルメニアの Duduk


ブログの読者、ドイツケルン在住のDonneidecker氏から珍しい楽器の写真を送ってもらったので紹介する。
「トルコ人街のお祭」があり、その中の骨董品屋で珍しい笛のような楽器があったので、撮影したとのこと、アルメニア系だそうだ。ダブルリード付きの楽器はショームの仲間と相場がきまっているのでその仲間の楽器であろうと連絡した。
ショーム(Shawm)英国は後年オーボエに発展した楽器で、民族楽器としては世界中に散らばっており、ドイツのシャルマイ(Schalmei)、ポルトガルのチャラメラ(Charamela)、中国のソーナ(哨呐)など多くの地域に存在している、特徴は、小さなダブルリードと、円錐管の組み合わせだ。

しかし再度写真を観察したところ重大な相違点が発見された。まずリードが不自然に大きい。クラリネットのリードを2枚合わせにしたような形状でバスーンのリードより太いのではないか。またリードの形状から考えると円錐管ではなくクラリネットのような円筒管である可能性が高い、写真の外観を見ても棒状の形態だから内部も円筒管なのだろう。さらに写真を拡大して楽器の下端を見ると驚愕の事実が! 穴が開いていないらしいのだ。棒状の先端が丸く削ってあり穴は見えない。 指孔を全部押さえたら息を吹き込めなくなるわけだが、指孔は直線状に8個空いているので、小指は使用せず、上側6個の指孔を使用し下側2個は常時開放したままではないかと推定する。音域はあまり広くないのではないか。

追ってDonneidecker氏から連絡があった。
Duduk(Armenia)としてWikipedia に載っているとのこと。これに間違いない。
かなり詳しく。音も聞けるので一見の価値あり。

写真をさらに詳しく観察するとクロマチックチューナーやギターの弦もあり、この楽器(Duduk)の予備のリードも置いてあるから、骨董品店と言うより楽器屋に近いのではないかと想像する。さらにバンジョーのような弦楽器も見える。

6/08/2014

バルサンティ ソナタ 2

ソナタ 2 Adagio の部分

師匠からmailが届いていた。「近江楽堂で演奏しませんか」内容はすぐ判ったが、ちょっと弱気になり返事はグズグズと伸ばしていた。響きの良い近江楽堂でプロのチェンバロやガンバの伴奏でバロックのソナタなどを演奏するのだ。

先日リコオケの練習の時師匠から声がかかり、「例の件どうなりました?」不意打ちで慌てて「ハハイ、参加します・・・」。
曲は普段からソナタなどを演奏しているわけでは無いので、なじみの曲など思いつかない、テレマンの曲など難しそうだし、・・・前回バルサンティのソナタ1をやった時、ソナタ2も音の動きが派手で面白そうだと思った覚えがある。「バルサンティの2番をやります」などと曲名まで答えてしまった。

楽譜はペトルッチ楽譜ライブラリーからダウンロードした。「なんだこれは!」第一楽章のAdagioはやけに細かい音符が並んでいる。64分音符!かなりびびってしまう。 前回同じバルサンティのソナタ1番をやった時は、白い色の2分音符が並んでいて、小節(コブシ)のように適当な装飾音でお茶を濁すことが出来たのだが、今回の楽譜は細かく装飾音が書き込んである。作曲家自身による装飾音の書き込みがあるとの記事を読んだ覚えがあるが、正にこの部分なのだろう。適当に省略などはまずいだろう。第二楽章のAllegro はそもそも調性はハ長調だし難しい超高音とかは無く、演奏しやすい構成にしてあるが、音の動きがド派手に作ってあり、追いかけるだけで大変。陽気に歌い騒げればそれで良し。深い情感など求める方が間違っている。

バルサンティはイタリアからイギリスに出稼ぎに来ていた。当時のイギリスは産業革命前夜で全てが勃興していた。多くの産業が起こり、人を引きつけ、お金が流れていた。結果として文化も発展し、音楽を嗜むことも紳士達の条件とされていたのだろう。そのような背景があるからこそ、ブレッサンやステインズビーなどリコーダーの名工も生まれ、バルサンティのリコーダーソナタ集も良く売れたのだ。出版後比較的短期間のうちに再版されたとの記録が残っているとのことだ。当時のアマチュア演奏家達に好評だったらしい。・・・・・・

しかしそれでもイギリスでのバルサンティの生活は楽ではなかったようだ。
当時は著作権など確立してなかったので楽譜の原稿を出版社に手渡し、なにがしかのお金を受け取ればそれでおしまい。リコーダー愛好家に人気が出て楽譜が再版されたとき、割増原稿料など受け取ることが出来たのだろうか。作曲だけではなくオーボエやティンパニーも演奏したらしく。器用だなどと言われているが、生活のためそうせざるを得なかったのが実際ではないか。旅費を捻出するためティンパニーを売り払ったとの記録が残っているそうだ。多くの作曲家がイギリスに渡ったが、それぞれ苦労したのだろう。

初めてではないが、初台のオペラ シティ近江楽堂でプロの奏者の伴奏で演奏するのは、緊張するものだ。
「オレが時給×××円で雇った伴奏者だ・・・・」と思えば少しは気が楽になるかもしれない。多少「とちった」としても優しくフォローしてくれるはずだ。

いずれにせよ演奏まで 2ヶ月をきったのだ。集中して取り組まないと大恥をかくことになりそうだ。