1/03/2014

リコーダーとPA装置

会場に設置したマイク、アンプ類

今回クリスマス会でPA装置を使用したのでそれをまとめてみた。
 
大きな体育館や屋外で、エレキバンドに伍して演奏しようというわけではない。もちろんそれも面白いし、挑戦してみる価値はあるだろう。しかし今回は併用すると言った表現が適切だと思う。
リコーダーはルネッサンスやバロック期の曲を小さな教会のような場所で演奏するのがいちばん向いているし、それはどのグループも目指している方向だと思う。
しかし教会のような演奏会場を確保するのは大変だし、そこまでお客さんに足を運んでもらうのも難しい面があるのだ 。結局近場の集会室や、公民館の視聴覚室を利用することになるが、そのような場所は、広すぎたり、壁に吸音材を使用していたりして、必ずしもリコーダー演奏に最適とは言えない場合が多い。このような場合適切なPA装置を使用して会場の音響をかなり改善できるのではないだろうか。

この場合演奏の音を直接音と間接音に分けて考えてみる。
まず直接音だけれど、演奏者から直接聴衆に届く音で、部屋の大きさとか壁の吸音材は関係ないと言える。演奏者と聴衆との距離により決まってしまうのだ。音はかなり硬質でリアルつまりやせた音、そして音量は少ない

続いて間接音だが、周囲の床、天井、壁などに反射されて耳に到着する。反射している分わずかな時間遅れが生ずる。また音の方向も前後左右あらゆる方向から到着する。
このいろいろな音に対して人間の音のセンサーである耳は多分すべて聞き分ける能力を持っているはずだが、脳の処理は異なっている。それぞれ別の音として認識するのではなく、最初の直接音で来る方向や距離を確定し、遅れて到達する間接音は直接音の一部とみなして、方向などは無視し、音そのものは最初の間接音に加えて認識する。
これはまったく理にかなった処理と言える。獲物を求めて野山をさまよっているとき、獲物の出すかすかな音が、岩や木に反射してあちこちこちから聞こえたら獲物がどこか判らないだろう。しかし最初の直接音で方向と距離を確定し、後の間接音は音量として蓄積できれば方向と距離は定まり音もはっきり聞き分けられる音量となる。

リコーダーから発せられる直接音はそのまま生かし、間接音の部分をPA装置を使用して補うのだ。補う音は残響分のようにエフェクト処理を少し加えておく。両者の比率は7:3ぐらいを考えているが会場によって異なるからいろいろ経験をつまなければならない。また若干のディレイ(時間遅れ)も必要かも知れないがプリセットのエフェクト処理に含まれていると思うので当面は考えないことにする。

使用した機材はきわめて一般的な編成となった。ダイナミックマイク5本、ミキサー2台、アンプ1台、スピーカー2台
各機器をつなぐケーブルはすべてXLRコネクタあるいはTRSフォンプラグによるバランス伝送、スピーカーケーブルは両端スピコン。(ミキサーは、マイク接続端子が不足したため、2台使用となった)

マイクは奏者毎に一本ダイナミックマイクを近接して設置する。以前同じような試みを行ったときコンデンサーマイクを使用したり2人で一個のマイクを共用したりしたが、予期せぬハウリングが起こったりして安定した運用とはならなかった。
録音とPAは目的が異なるのだから割り切ってダイナミックマイクを使用すべきだ。この種の定番マイクはSHURE社のSM57/SM58だが手元にSM57が3本しかなかったので急遽購入することになった。BEHRINGER社 XM8500を2本、 定番SM58と外観はそっくりだが値段は2000円を切る。安いが今回の目的には十分に使用できた。
定番SM57とXM8500

さてこれだけの手段を尽くして効果の方は如何に、となる訳だが、それを確認するのは思ったよりも難しい。私はスピーカーに近い場所で演奏していたので、スピーカーから残響分のような音が出ているのが確認できたから、効果は十分にあったと思っているのだが、他の演奏者達はスピーカーからの音は聞こえなかったらしいし、お客さんにしてもリコーダーの音量や会場の音響を良く知ってなければ判断は出来ないわけで、今後の課題としては、演奏者にもっと音を返す対策が必要だろう。スピーカーの位置を工夫して演奏者にも聞こえるようにするとか、場合によっては演奏者のために小型スピーカーを追加する等いろいろ実地に試して見なければならない。

それともう一つの問題は機材の運搬と設定をどうするかということ。今回もあらかじめアンプ、中型ミキサー、スピーカー2台、マイクスタンドなど車で会場に運び込む手配はしてあった。自宅から会場まで簡単に歩いて行ける距離だったのだが、残りの機材は持っていかなければならない。ケーブル類、マイク類は旅行用の車の付いたトランク、小型ミキサーと付属品は小型の肩掛けバッグ、ケースに入ったマイクスタンド2本、そのほかにリコーダーを入れた皮かばん、楽譜など入れたカバン、最後に大きなボンボを背中に背負ってよろめきながら歩き出した。信号機のない横断歩道の横に立ったらいっせいに車がストップしてくれた。車の中から私の姿を見て笑っている。・・・・・機材はなるべく少なくしたいが、むずかしいですね。

0 件のコメント:

コメントを投稿