8/23/2009

中南米におけるルネッサンスリコーダーの痕跡



ケーナなどの南米の楽器を調べるつもりで下記の本を読んでいたところ
リコーダーに関すると思われる著述があったので紹介する

「ラテンアメリカ楽器紀行」 山本紀夫

ラテンアメリカ音楽の多様性について従来からあった高度な文明の音楽に、15世紀後半から持ち込まれたイエズス会によるヨーロッパの宗教音楽、
またその後アフリカから持ち込まれた黒人奴隷による音楽、さらにアジア各地から入植した開拓者たちの音楽、
このような多様な源流がありその結果として現在の中南米音楽があると説く。 写真も美しく、楽しめる本である。

特にイエズス会によるヨーロッパ音楽の持ち込みは、日本でもイエズス会のフランシスコ・ザビエルなどによるキリスト教の
持ち込みと同時進行だったらしく。日本側がその後途絶えてしまったのは残念な気がする。楽器などいろいろ日本にも持ち込まれていたのではないか。

本書を読んでいるうちに、気になる部分を発見したので引用する。 以下引用 38Pより

・・・キリスト教の宣教師達は先住民を改宗させるためにヨーロッパ音楽を熱心に教えた。この点について、たとえばメキシコでキリスト教の
布教をしていたフランシスコ会のスペイン神父モトリーニヤは16世紀半ばごろ次のように書き記している。
「私たち修道士は原住民に歌を歌うことを教えた。(中略)今日では少年の中には聖歌隊の指揮が出来る者がいくらでもいる。(中略)
原住民はオルガン(パイプオルガン)の変わりに沢山のフルートを使って音楽を奏でる。彼らのフルートの協奏はハーモニーが見事なうえに
フルートの数が多いので、本当のオルガン演奏かと思えるほどである。こうしたオルガン曲を教えたのはスペインから来た幾人かの音楽士であった。・・・引用終わり

この部分を読んでいて、リコーダーのことだとではないかと疑いを持った。著者の山本氏は文化人類学方面ではトップクラスと聞いているが
氏もあとがきで「私は音楽の専門化ではない・・」と述べておられるように幅広い見識で楽しませてくれるが、音楽には今一歩踏み込みが不足しているように思われる。
引用部分を読めばリコーダー演奏家ならすぐにピンと感じるのではないだろうか。
フルートとはリコーダーのこと意味し、横笛をフルートトラベルソなどと別に呼んだ時代があったなどと思いながら、
添えられていた絵図を再度眺めてみると オヨヨ 全員リコーダーらしい楽器を構えているではないの。

絵図の説明は「キリストの教会音楽サルヴェ・レジナを歌うアンデスの先住民たち。図はGuaman Poma:1980(1613)となっているが
中央の人物が持っているのはルネッサンスタイプのアルトリコーダーのようだ、右側の二人もそれぞれテナーとバスのリコーダーに見える
ラビユームの部分もしっかり描かれていてリコーダーであることをしっかり主張しているようだ。奥の人物二人もリコーダーを演奏しているように見える。

中南米におけるルネサンスリコーダーの痕跡2
中南米におけるルネサンスリコーダーの痕跡3
中南米におけるルネサンスリコーダーの痕跡4

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