4/25/2018

演奏会「リコーダーでコレッリ」



「リコーダーでコレッリ」  リコーダー:本村睦幸 チェンバロ:三和睦子 4月20日
フレンドシップコンサートの前日だったが、聴き逃すわけにはいかないので、時間を工面して出かけた。会場のSpace415 は初めての会場なので時間に余裕を持って出かけたが、中野駅北口を出て地図にしたがって歩き、住宅街に入るとすぐに「Space415」の看板が見えた。開演1時間前、ちょっと早すぎたかもしれない。階段を上がり会場に入ると「昼の部」の観客の方たちがまだ残っていて談笑されていた。そう今日は同一のプログラムが昼、夕、夜 と3回公演なのだ。

プログラム
アルカンジェロ・コレッリ 
・ソナタ第2番ト長調(作品5の10ヘ長調による)
    編曲者不詳  1702 ロンドン、J.ウォルシュ出版

・ソナタ作品5の5 ト短調
    編曲者不詳  1754 パリ、ル・クレール出版

フェルディナンド・デ・メディチ
・プレリュード  (チェンバロソロ)

ドメニコ・スカルラッティ
・ソナタニ長調 k492   (チェンバロソロ)

アルカンジェロ・コレッリ
・ソナタ作品5の4 ヘ長調
    J.C.ペツ編曲 1707 ロンドン、J.ウォルシュ出版

「夕方の部」の予約者は10名程度らしく椅子もそれに合わせて並び替えられた。私はチェンバロの鍵盤が見え、かつリコーダーからの距離が最適と思われる位置を選んだ。トークコンサートとのことで楽曲の説明も楽しめたし、何よりもリコーダー演奏の細かいニュアンスが直接伝わってくる快感。実に贅沢な演奏会! この広さ、この残響が心地よい。例えば近江楽堂では残響が長すぎて、曲名のアナウンスですら聞きづらく、演奏の細かいニュアンスなどはピンボケで曖昧になってしまう。もっともその曖昧さに助けられることも身に沁みて承知していますが。

コレッリが作品5をイタリアで出版したのが1700年とのことで早くもその2年後にロンドンでリコーダー用の編曲譜が出版されたのは時代を考えると破格の速さとの説明があったが、ラジオもテレビもなかった時代ロンドンにコレッリの曲を演奏したいと願うアマチュア演奏家が多数いたことになる。そしてそれが一時のブームで終わることなく、約50年後今度はパリで編曲譜が出版されている。もっともこれはトラベルソ用の編曲らしいのだが、コレッリ人気の根強さも感じられる。

アンコール曲名が告げられた “Tenpo di Gavotta” 
えー!これって作品5の9 の第4楽章  あすフレンドシップで演奏する曲だ。
トップパートがほとんど四分音符だけで構成されているので、装飾をたっぷり使わなければならないとこの後に及んでも悩んでいたのだが、本村氏は「気楽に流しましょう」とばかりに最小の装飾でどんどん進む。その流れが快感を呼ぶ。目から鱗、装飾の少なさだけでも真似しましょう。
私への個人的なプレゼントのようにも思えた。

4/18/2018

SONATA Op.5-9 A.Corelli


今度のフレンドシップコンサートでこの曲をリコーダー四重奏で演奏する予定です。
この曲との出会いは10年以上昔にさかのぼる。(「悪魔のトリル」イタリア・バロック・ヴァイオリン名曲集   メルクス) の中の一曲だった。悪魔のトリルやオルガン付きのシャコンヌが印象が強烈だったのでコレッリのソナタ9番はあまり印象には残っていない。しかしジーグの楽譜が配られて演奏してみた時コレッリとすぐわかった。
この件、以前のブログにも書いたが、エンリコ・オノフリのCD(ヴァイオリンとヴィオローネ又はチェンバロのためのソナタ作品5 )の中で曲名を確認できた。また同じくモニカ・ハジェットの(作品5)でも聴くことができる。ハジェットのソナタ9番は端正な演奏で好感が持てる。一方のオノフリはイタリア人らしく遊び心十分と言って良いのかどうかわからないが装飾も自在で楽しませてくれる。メルクスも久し振りに聴いてみるとしっとりとした演奏で悪くない。
多分素材が良いから煮ても焼いても場合によっては生でも食べられるのだ。
有名な曲だから多くの演奏家が取り上げている。

ヴァイオリンの曲だがリコーダー用の編曲が2年後には出版されたそうだから、その様な需要も多かったのだろう。ソナタ9番では原曲はイ長調だが、リコーダーではハ長調に移調してある。

リコーダーでも多くの演奏を聴くことができる。ブリュッヘン、ペトリ、ラウリン など
ブリュッヘンの演奏は変ホ長調、フラットが3つあり一般的なハ長調より2音高くて高音には苦労する場所もあると思うが、全体にハリのある音域、リコーダーで勝負している感じがする。 ラウリンは原調にこだわりイ長調、しかし低すぎるので1オクターブ高く演奏しているのではないだろうか。キラキラ輝く演奏でリコーダーの技巧としては申し分ないが、原曲の田園的な大らかさからは距離ができてしまった気がする。
ペトリは新旧2回の録音ともハ長調で演奏している。(2015の録音で表記はA Major となっているが、原曲の調性であり、実際の演奏はハ長調)3人の中で一番低い音域で田園的な雰囲気は残しながら、装飾も見事に決めている。低音部の早い動きも「もたつく」ことがなく、高いテクニックは当然として、Mollenhauer社のModern Alt Recorder の使用もそれに寄与しているのではないかと思った。
テレマンのリコーダーオリジナル曲をモダンリコーダーで演奏するのは「ずるい」事かもしれないが、コレッリのヴァイオリン曲の演奏にモダンリコーダーを使用するのは、十分に意味のあることだと思う。

自分たちの演奏
この時代の曲は演奏家が装飾を施すことを前提として作られている、演奏のプロフェッショナル達には当然のことながら、私たちアマチュアには困難なこともある。楽譜通りの演奏だけでも足元がふらついているのに、さらに装飾などを加えたら惨めな結果になることは自明なことだ。第1楽章 Prelude ,2楽章 Giga は基本的に楽譜通り、3楽章 Adagio ,4楽章 Tempo di Gavotta. は必要最小限の装飾をつける予定です。

演奏会
「リコーダーでコレッリ」  リコーダー:本村睦幸 チェンバロ:三和睦子 4月20日
リコーダーの広場の (演奏会・イベント情報)にフレンドシップコンサートの情報を書き込んだとき、この演奏会を見つけた。
なんとコレッリの作品5のソナタを3曲も演奏する。フレンドシップの前日だけれどぜひ聴きたい。

参考CD
・「悪魔のトリル」イタリア・バロック・ヴァイオリン名曲集 メルクス 1972
・「ヴァイオリンとヴィオローネ又はチェンバロのためのソナタ作品5」 エンリコ・オノフリ 2013
・「コレッリ ヴァイオリンソナタ集 Op.5」  モニカ・ハジェット 2005
・ 「Corelli la Follia」 フランス・ブリュッヘン、グスタフ・レオンハルト、アンナー・ビルスマー 1980
・「Italian Recorder Sonatas」 ミカラ・ペトリ & ジョージ・マルコム 1985
・「CORELLI」   ミカラ・ペトリ & マハン・エスファハニ 2015
・「ARCANGELO CORELLI SONATAS From Op5」 ラウリン 2013