8/31/2017

ブレッサン415Hz予想は大外れ


新ブレッサン発表演奏会にバロックピッチ(415Hz)に違いないと
期待を持って出かけたのだが、残念ながらモダンピッチであった。トーンホールのアンダーカットやウィンドウェイの一体成型、複雑な内径の再現、外観もオリジナルに似せて曲面を使用、ツヤ消し仕上げ。G-1AのGはGiglio (百合)の略で発音は「ジリオ」で良いのかな。新しいシリーズになるらしく、担当者に確認したところ A はアルトの意味らしい、するとSとかTの文字が付くことになるわけだ。
ヴォイシングが間に合わなかったとの事でずらりと飾られていた新ブレッサンは全てモックアップで試奏できなかったのは残念。

バロックピッチだ!などと軽薄に騒ぎ立てていたのは私だけだったようで、ちょっと恥ずかしい、しかし商品コンセプトの説明の中で「バロックピッチの替管も考慮している」との発言には思わず拍手してしまった。

平尾重治氏、竹山宏之氏など出席した開発秘話では、トーンホールの内管側をえぐるアンダーカットの有効性。複雑に変化する内径の再現の難しさ、木管の内径修正は削って太くなる方向での修正となるが、プラスチックは金型を削るので、逆に細くなる方向での修正となる。など現場に直接かかわっている方達の話は興味深かった。

後半の演奏はこれだけの豪華奏者を揃えて楽しくないわけがない、タップリ楽しませてもらいました。前面に並んだプロの奏者達、皆微妙に演奏スタイルが異なるのでこれも実に興味深かったデス。

最後にアンケートを書いていたら「提出された方には楽器を進呈」とある。 これはすごい!期待します。

8/25/2017

新ブレッサンG-1A

発端は樹脂製モダンピッチのアルトリコーダーにバロックピッチの替管を3Dプリンターで作ることを検討していた。そのためベースとする楽器に全音ブレッサン1500BNを選び、モダンピッチの楽器としての性能を確認してみた。
前回のブログでも書いたが、ブレッサン1500BNの性能は十分に高いと考えられる。高音域の音も苦労することなく出せるし音程も正確。プラスチック製であることによって音質が少し異なる(聞き分けるのが簡単ではない)
手触り感が木製より劣る、などの点はプラスチック製の楽器であることから仕方のないことだ。そんなところへ新ブレッサン発表のニュースが飛び込んできた。

8月29日に発表される新ブレッサン1600Bはどこが違うのだろう?私は非常に興味があったので、「お披露目演奏会」を聴きたいと思った。「季刊リコーダー」で席を確保できるということで早速申し込みOKとなった。

何が変わるのかいろいろ想像してみる。
1、楽器の色やデザインが変わる
2、形状を再設計して音がさらに出しやすくなる
3、プラスチックの材質を変えてより高級感を持たせるとともに音質も改善する
4、音域をさらに広げたスーパーリコーダー
5、モダンピッチではなくバロックピッチ( 415Hz)の楽器

1〜3は現行のブレッサン1500BNの性能がそれなりに充実していると思うのであまり意味がない。
4のスーパーリコーダーは面白いが「ブレッサン」の名前を引き継いでいるし、演奏プログラムを見ても、それらしい曲が見当たらない。
結局 5 のバロックピッチではないだろうか。そう考えてみると、プログラムではチェンバロやヴィオラ・ダ・ガンバ    を揃えているし、リコーダー奏者のそうそうたる顔ぶれも納得できる。曲もW.Williams J.Ch.Shickhardt などいかにもそれらしい曲が並んでいる。ただW.A.Mozart の「私は鳥刺し」・・・など5曲はソロではなく多分四重奏で演奏されるだろう。アルトパートは当然新ブレッサン(415Hz)他のパート ソプラノ、テナー、バスはバロックピッチの既存の楽器、しかしこれではパンチが足りない。
想像をさらに一歩進めてみる

ソプラノ、テナー、バスは全音が開発中の(415Hz)シリーズ試作品ではないだろうか。新ブレッサンG-1A   「G-1A」の部分が新たなシリーズを思わせる。

Facebook でHK氏が全音に問い合わせたところ10月25日発売で ¥3200 とのこと。この価格だとモダンピッチかもウーン!


期待が大きいだけに想像もどんどん膨らむが、あとは当日のお楽しみ。

8/05/2017

全音ブレッサンの評価


全音ブレッサン(1500BN)を入手した。415Hzの替管を3Dプリンターで作るつもりなのだが、そのベースとなる楽器として選んだ。
替管を付けての評価は、元の楽器自体の評価がちゃんと確認されていなくては意味がない。

樹脂製アルトリコーダーも色々な種類があるが、これはバロック時代の製作家ブレッサンの楽器を採寸して設計に反映させているそうだ。

音程をチューナーで確認してみるとほぼA=442Hzでほとんどの音がセンターを示す。オクターブ高くしても高い方にズレたりせずほぼセンターを示すのは優秀と言える。
高音域の音も比較的安定して出しやすいようだ。(個々の音の最適な息の量や速さは現行の楽器とは微妙に異なる)
指穴もそれほど不自然なところがなく、現行の楽器から大きな違和感なく持ち替えて可能。
楽器本体がプラスチックなため、手で持って構えると少し滑りやすい
唇にも違和感。
音の鳴るポイントが少し遠いような気がする(右手の薬指付近)
音によっては楽器自体がブルリと振動するように感じることがある。
高音域の音が比較的バラつきなく出るせいだろうか、それに安易に頼って発音するせいか、高音の連続するフレーズの音の輪郭が竹山ほどハッキリしない。言い換えれば「ソフトに聞こえる」これは材質の違い(竹山はローズウッド)が原因かもしれない。以上演奏してみて感じた点をまとめてみた。

早速HRCの練習に持ち込んで試してみた。

コレッリのソナタ (アルト2本とバスリコーダーの編曲) の第一アルト
スタートからブレッサンで演奏してみる。楽器が滑りやすく、音の立ち上がりが少し異なり、あせりながら演奏した。ところが他の2人の奏者はいつもの楽器と異なっていることに気付かない様子。第一楽章が終わってからそのことを告げると「楽譜に気を取られて気付かなかった」と言い訳めいた発言だったが、今までの演奏とほとんど同じに聞こえたと言うことだろう。演奏している方からすれば、苦労して演奏しているわけだし、発音ポイントも異なるし音色も違っているはずなのに納得出来ない。

簡単なブラインドテストをやってみた。
目をつぶってもらい、適当な曲を演奏し、楽器を交換して同じ曲をもう一度演奏し、楽器を当ててもらう。意外にと当たらない。
演奏する方からするとこんなに違うのにとの思いがあるが、聞く方からすればそれほど差は無かったことになる。  

楽器に習熟すれば克服できる部分
指や唇の違和感、個々の音の最適な息の量や速さ、サミングのやり方、などは楽器に慣れればほとんど解決できる。
しかし材質が木であることによる安定した触感、「音の輪郭、音の粒立ち。音の芯」など表現感じ方の違いはあるが「音色」に関する部分は違いとして残ると思われる。
発音ポイントが(右手の薬指付近)などと書いたが、竹山はもう少し近く左手の中指付近)と感ずる。双方の楽器の音響的構造はほとんど同じはず、つまり発音される場所は、ラビユーム付近、各指孔、先端の穴であり、音量や音色の差がそのような遠近を感じさせていると考えられる。

リコーダーオーケストラ
リコーダー演奏において音色などの音の個性、は非常に重要な要素だと思える。しかしリコーダーオーケストラなどの集団ではそれぞれの楽器の個性はなるべく抑え込んで集団としてのハーモニーが優先される。だとすれば個々の楽器の個性を抑え込む努力をするくらいならいっそアルトパートは全員「ブレッサン」を使用する。ついでにソプラノやテナーパートも性能の良いABS樹脂の楽器選んでを選んで統一を図れば美しいハーモニーへの近道かもしれない。

・・・・この文章をまとめている時びっくりするニュースが飛び込んできた。全音が新ブレッサン(1600B)を出すとのこと。山岡重治氏と竹山木管楽器製作所との共同設計だそうだ。8月29日には近江楽堂で新製品発表会がある。聴いてみたいですね。今のままでもかなりいい線なのに音色や音の粒立ちまで踏み込んでの改良なのだろう。 大いに期待しましょう。

追加
今日もブレッサン1500BN と竹山(ローズウッド)を比較してみた。かなり高性能、付属の運指表には載っていないが先端の穴を塞ぐ いくつかの高音も出すことができる。これ以上何を変える? 樹脂の材質を変える?・・考えにくい
ひょっとしてブレッサン1600Bはバロックピッチ(415Hz) の楽器ではないだろうか。
新製品発表会は近江楽堂、ガンバ、チェンバロ、錚々たる演奏家たち・・これだけそろえばやはりバロックピッチしかないだろう。