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2/01/2018

iPadで楽譜-2

矢印キーで譜めくりが出来る

iPadに入れた楽譜が徐々に増えてきた。まとめてある程度の量を入れるときは、スキャナーを併用した方がミスなく品質の良い楽譜を入れることができる。
譜めくりに関しては、休符があったり右手が空いたりすれば良いのだが、都合が悪い場合も結構あり、譜めくり箇所が近づくと緊張してしまい、肝心の演奏が疎かにになったりするので、安心してめくれるフットペダルは必須と思うようになった。

譜めくり専用のペダル。“Air Turn PED pro ”あるいは”IK Multimedia iRig Blue Turn”は足で操作し、Bluetoothでワイヤレス接続する。まだ入手してないので、同じくBluetooth で接続する外付けキーボードを試してみた。何とバッチリ動作するのだ。写真にある右向き矢印キーを押すと次のページへ進むことができる。左向き矢印で戻ることもできる。   何だ!ちょっと拍子抜け。 同様に数字キーの(1と4)(7と8)でも矢印キーと同じ動作をすることが分かったが、これは少し調べて見る必要がありそうだ。特に(7と8)はキーボードのほぼ中央に位置するのでバランス上具合が良さそうだ。
動作上から考えれば、譜めくり専用ペダルはミスなく確実な動作が期待できるが、機能上から考えればキーボード機能のほんの一部しか使っていないことになり、だったらもう少し安くならないのかと考えてしまう。
足で操作できるペダルを工夫しキーボードに取り付ければ使えるかもしれない。試作してみましょう。

最近練習を始めた曲で、Giga  A.Corelli と記された楽譜がある。6/8 の軽快な曲で、聞き覚えのある曲だ、コレッリの曲であることはわかるのだが、それ以上の記載がないため曲名が特定できない。曲の調だって編曲の過程で変えてあるだろう。iPod nanoに入れてある コレッリ 合奏協奏曲  作品6 イタリア合奏団 全部で12曲 CD2枚分 多分この中の一曲だろう。通勤電車を利用して聴き始めた。3日ほどで全曲聴いたけれども出てこない。聴きもらしかなあ、そんなはずは無い。最近リコーダーで演奏したコレッリは、ほとんどこの中の一曲だった。しばらく悩み 他のアルバム :コレッリ、ヴァイオリンとヴィオローネ又はチェンバロのためのソナタ作品5 エンリコ・オノフリ  ...しばらく聴き進むと、オーこれだ! ザックからiPad Airを取り出しpiaScoreでリコーダーの楽譜を開いて見る。間違いない
コレッリ 作品5 ソナタ第9番イ長調 第2楽章 Giga Allegro 繰り返しなどの細部は少し異なる部分があるが基本的にほぼ同じ、装飾音などは演奏者が加えているのだろう。

電子楽譜(PDF)だから電車の 中でも開くことが出来る。これが紙の楽譜束だったらたとえ持っていたとしても開く余裕はないだろう。


4/02/2016

ERマイク不良

不良を起こしたコネクタ部分

フレンドシップコンサート当日リハーサルで片方のマイクが接触不良のような症状を起こした。マイクとマイクケーブルのコネクタ結合部分に力を加えると音が途切れるのだ、リハーサルでは時間がないので、そのままとし、終了後舞台のソデで修理した。可能性としてはマイクのコネクタ部分の不良、あるいはマイクケーブルの不良が考えられる。私はマイクケーブルを疑った。マイクも新造品であったが、前回のテスト使用では問題が無かった。マイクケーブルは直前に少し長いケーブルと交換したのだ。マイクケーブルを元の物に戻した。AC電源も近くに無いので動作チェックは省略した。・・マア何とかなるだろう・・これが甘かった

本番舞台上で大急ぎでセッテングしたが、片方のマイクから音は出てこない。マズイ!しかし 躊躇している場合では無い。このままマイク一本でスタートする。

最初は「涙のパヴァーヌ」マイクは使わないのだがアルトのソロを演奏しながら頭の中に・・これは涙ですね・・などと苦笑いしている言葉がグルグル駆け回って邪魔でしょうがない。
サンマルチーニのコンチェルトではソプラノのソロはERを使う予定だったが、ER無しで演奏した。何カ所かの難しい部分では動揺しているのが自分でもわかる。しかしふらつきながらも最後まで到達。とりあえず一息、残りの「知床・・・」「浜辺・・」は残りの一個のマイクでテナーのHさんに頑張って貰えばよい、私はクラリネットとERの音を聞きながらバランスを取るだけ。
とりあえずクラリネットに圧倒されてしまわないだけの音量は出ていた。音質はちょっとおとなしすぎたかもしれない、もう少しクセのある音色でも良いと思った。これは検討の余地十分あり。
それとクラリネットの音が生き生きしていたこと。あとでそのことを演奏者のTさんに聞いたところ、普段は当然抑えて演奏するが、今回はテナーリコーダーの音量がアップした為、遠慮することなく自由に演奏したとのこと。なるほどこれもERの効能だ。


故障の原因
翌日故障の原因を調べた。マイクのコネクタ部分の回路であることは間違いない。
この部分は小さな基板上にFET、コンデンサー、抵抗など取り付けて回路を構成しているのだが、5台ほど組み上げたので部品配置など少しづつ改良を施しているし、ハンダ付けなどは自信がある。不良になるはずは無いのだ。

しかし直ぐに不良箇所は判明した。ハンダ付けの不良だ。回路のアースパターンを最後に細い線材でコネクタの1番ピンにハンダ付けする場所が不完全だった。原因としては半田ごての熱容量が不足していたたためピンの温度が上がらなかったと思われる。これは部品が小型になったので半田ごても小容量の物を導入したのだが、これが裏目に出たようだ。

3/12/2016

PAとER どこが違う

一般的なPAとER(Electric Recorder) どこが違う
例えば体育館などで小編成のリコーダー合奏を演奏するとして、音量が不足で会場全体に行き届かないと判断される場合、PA屋さんにお願いすることになるわけです。楽器ごとに マイクスタンドを立て、その音をミキサーで集約し、パート間の音のバランスをとり、場合によっては少しリバーブ(残響)を加えるなどしてL/R ステレオ音としてアンプに送り、増幅した音を左右のスピーカーから出す。
音質は特に手を加えることはなく、原音に忠実が原則だ。

ERの場合 演奏者個人の要求から出発する。「リコーダーと少し異なる音質が欲しい」「音量をアップしてクラリネットと合奏したい」「バスパートなどをパワーアップしたい」などエフェクター装置が必須となり、操作は演奏者個人の責任で行うことになる。
その為PAの場合スピーカーから出力される音はPA屋さんにお任せで自分たちは演奏に専念できるのだけれど、ERの場合音色も音量も演奏者に任されているので、音をしっかり聞き取りバランスを取ることが必要になる。スピーカーの音を演奏者に聞き取れるようにすれば当然ハウリングの危険が増大する。それを防ぐのはスタンドに立てたマイクでは無理で、発音源から数センチで集音できる極小タイプのマイクが必要となる。

SAMSON PM6 と fet Ⅱ

ERに使用するマイク
このブログを訪れて下さる方はマイクの内部構造などには興味が無いかもしれないし、通常のラベリアタイプのマイクでもERに使うことが十分に可能なはずで、その上私のオリジナルではないのだけれど、私として興味がありエネルギーを注いだ項目なので、記録しておきます。

fet Ⅱ 内部


ラビュームから数センチほどの位置に取り付け固定するのだから、極めて小型でなくてはならない。エレクトレットマイクのように電池の使用が必要だと保守が必要、演奏中に電池切れではエライことになる。ラベリアタイプと呼ばれる衣服に取り付けて使用するコンデンサーマイクが目的に合致するが、結構高価な上、リコーダーにはクリップで挟み込むような場所がない。いっそ自作でと。「ShinさんのPA工作室」のブログで紹介されているファンタム式パナ改マイクロホン fet Ⅱを使ってみることにした。
写真では左が市販品サムスンのマイク 右がfet Ⅱ (先端のピックアップ部分は8φ 20mmのアルミのパイプに収めてある)


先端のピックアップ部分は直径6mmのエレクトレットマイク、これのパターンをカットして改造し、ニ芯シールド線で引き出し、コネクタに接続する。実はこのコネクタはコネクタとしての機能は残しつつ、内部に電子回路を構成してあり、先端のピックアップ部を含む全体でコンデンサーマイクとして動作する。まさにマニアックな作りにもかかわらず完成してしまえばプロ機材として十分通用する完成度なのだ。コネクタから先は通常のプロ仕様バランスケーブルに接続すればOK
測定器が無いので両者並べて比較してみた
ミキサーの2つのチャンネルにそれぞれのマイクを接続し、一つの音源で比較する
サムスンの方は残留ノイズが多く、感度も少し低いようだ。聴感上の比較だけでも両者の差が判る。
低価格の市販品では使用パーツや組み立て構造にも色々制限があり仕方が無いのかもしれない。
fet Ⅱは十分に吟味されたパーツを使い組み立てにも気合が入っている。 例えばピックアップ部と本体をつなぐ二芯 シールド線にしてもモガミの3031と指定されているが固さとしなやかさを兼ね備えているようで実に扱いやすい。



パーツも音質へのこだわりや、コネクタの中に電子回路を入れるなどサイズにも制限があり、指定のパーツをあつめるのに苦労する。
回路図や詳細は、「ShinさんのPA工作室」のブログを見てもらうとしてパーツの調達は結構大変だった。小型の金属皮膜抵抗やフイルムコンデンサーは秋葉原を歩き回って入手できた。ピックアップ部分のマイクもほぼ同等の代用品を使用した。問題はFETで東芝ではすでに生産中止品目であり流通在庫だけとなるが、ほぼ店頭から姿が消えてしまった。

取り寄せを業者にお願いしたが少し高くなったかもしれない。一番高いのがノイトリック社のコネクタ400円程度これは仕方が無い。その他のほとんどのパーツが10〜100円で入手できるのだ。全部合わせても1000円を少し超える程度、予備のマイクも必要だからこれは助かる。

プロの録音技術者であるShinさんのblogは他にも興味深いページがあるのでぜひ訪れてみて下さい。

2/08/2016

第36回昼下がりのコンサート

プログラム

2016.1.31 「喫茶ポーポーの木」
回数が36回となるとよく続けてきたと思う。
多分最初の頃はプログラムを埋めること。とりあえず演奏出来ることが中心だったり、
自分たちのやりたい曲を一方的に演奏する。あるいは逆に観客が好むであろう曲を並べる。しかし回を重ねるうちに、いかに自分たちの思いを表現してお客さんに理解してもらえるか。そこの共有部分の大切さが徐々にわかってきたような気がする。
これは演奏上の表現だけではなく、新規の楽器への挑戦や、新技術による新たな表現の獲得なども含まれると思う。

私として今回の課題はERを実戦で使うこと。

「浜辺の歌」でクラリネット、アンプ付きサイレントギター、そしてERテナーリコーダー、

クラリネットが独特の癒し感を持って鳴り響き、ギターがリズムを刻む、そこにERのテナーリコーダーがオブリガートで絡む。音量的には十分、あと演奏法にひと癖欲しいところ。通常クラリネットは抑えた演奏をしているが、今回は遠慮なく自由に歌っているようだ。

ERのバス
前半の4曲はバスリコーダーをERとして演奏してもらった。弱目のブーストだったが、バスの音が心地よく響いて演奏が活性化する。
ここで私は「グリーンスリーブス・・・」と「平和」でソプラノを担当した、演奏中最良の響きを求めて演奏している自分に気が付き少しびっくりした。いつもは抑え気味に演奏していたのに。多分他のパートもそのように感じて演奏していたはず。ひょっとして観客までバスのリズムに取り込まれていたのではないだろうか。

涙のパヴァーヌ  この曲は40年ほど昔 私が所有していた数少ないLPレーコードの中にあった。ハンス・マルティン・リンデの演奏、遠い外国のプロの演奏として聴いていた一曲、それが平尾リコーダークラブ結成に誘われ、ギターを演奏していたKさんがリュートを購入し、楽譜も見つかり、偶然の連続で、演奏することができた。それが5年ほど前のこと、今回は再演ということになるが、リュートは平尾在住の製作家の楽器に変わり、低音の補強にバスリコーダーにも加わってもらった。私も少し余裕を持って演奏出来たから、更に前進できたのではないかと思う。まだ改善の余地だらけなのだけれど。

「浜辺の歌」の演奏

楽器構成
グリーンスリーブスによる主題と変奏・・ソプラノ、アルト、テナー、バス(ER)
聖なる乙女・・アルト1、アルト2、テナー、バス(ER)
平和・・・ソプラノ、アルト、テナー、バス(ER)
希望のささやき・・ソプラノ1、ソプラノ2、アルト、バス(ER)
二つの小品・・・リュート
涙のパヴァーヌ・・・アルト、リュート、バス
雪がふる・・・クラリネット、サイレントギター、マラカス
あいつ・・・クラリネット、サイレントギター
浜辺の歌・・・クラリネット、テナー(ER)、サイレントギター、
雪のふる街を・・・テナー1、テナー2、バス、バス
虹と雪のバラード・・・アルト1、アルト2、テナー、バス
童謡メドレー(雪、たきび、冬景色、冬の夜、春よこい、うれしいひな祭り)
アルト1、アルト2、テナー、バス


今回はそれぞれの演奏者が課題を持って臨むことが出来たし、お客さんもそのことを理解してくれたと思う。

1/11/2016

エレクトリックリコーダー(ER)



前回はモーレンハウアー社タラソフ氏によるElodyの講義受講を紹介したが、いま手元で実験しているER(Electric Recorder)を紹介します。
写真はアルトリコーダーに取り付けた状態です。

機材の紹介
コンデンサーマイクロホン 自作品 「Shinさんの工作室」で紹介されている DIRECT-3
ギター用マルチエフェクター  BOSS  GT-001 
アクティブPAシステム MACKIE SRM150

システムの結線
マイクのピックアップ部分をマジックテープでラビュームの右下付近に固定する。
マイクのコネクタにケーブルを接続し、エフェクタ(GT-001)のMIC IN へ入力,
エフェクタ アウトよりアクティブスピーカーへ


マイク部分の詳細
中央のピックアップ部は直径6mm程のバックエレクトレットコンデンサマイクロホンの素子を改造し、極細のシールド線を半田付けして8φ 20㎜程のアクリルパイプに封入してある。写真ではさらに楽器への取り付けのための薄いネオプレンゴムのスポンジで挟み込んである。シールド線のもう一方の端はNEUTRIK 社のXLRコネクタに接続されている。ここではコネクタとしての機能は残しつつ、内部に電子回路を組み込んである。これにより全体が高性能なコンデンサマイクロホンとして動作する。
左の青いケーブルはXLRコネクタ付きのケーブルでマイクロホンのコネクタに接続し、エフェクタまで信号を伝達する。ケーブルの長さは自由に延長できる。

このように並べてみると分かることだが、マイクロホンに一部工夫が見られるものの、リコーダーにしろエフェクタ、アンプなど一般に売られている製品を組み合わせただけだ。また専用マイクは取り外し自由だから、アルトリコーダー以外の、テナー、バス、ソプラノなどにも取り付けられ、応用を広げることができる。
Elody は形状やプリントデザインなどから考えて、リコーダーとは別な楽器を目指しているように思える。歴史的な古楽を再現するための楽器を離れて、もっと自由に簡単に演奏そして表現できる楽器。あの奇抜すぎるデザインはそのための必然であったのかもしれない。

その点今回実験しているERは音色に関してはElodyと同じ音が出るので同様に扱うことが可能なわけだが、私はもう少しリコーダーに近い位置を守備範囲にしても良いと思う。リコーダーには古楽の再現という本来の使命があるわけだけれど、近年はそれを離れて、音楽を聴くだけではなく、自ら演奏して楽しむことを可能にする楽器としての役割もかなりの部分を占めてきたように思える。リコーダーオーケストラなどはその典型的な例ではないだろうか。その中にちょっと音色を変えたERが加わるのは面白いのではないだろうか。

リコーダーの音量をマイクロホンやアンプを使用して拡大するのはだれでも考えることだと思うが、意外と多くの問題が発生するのだ。近接してピックアップしたリコーダーの音は意外と単純でつまらない音、実はいつも聴いているのは部屋の残響分も加えた音なのだ。 室内の残響音もピックアップしようとマイクをリコーダーから離すと残響音より先にスピーカーの音をとらえてしまい「ギャー」とハウリングを起こしてしまう。
その点ERでは発音源(ラビューム)から数cmの位置で音をピックアップするのでリコーダーの音量とスピーカーからの音量に圧倒的な差があり、ハウリングに対して安全性が高まる(ハウリングマージンが稼げる)
そのため音色に関してはエフェクターを利用する。

エフェクトの簡単な説明
「コンプレッサー」 音のバラつきを圧縮し、小入力を増幅することで音量を均一化して整える。
「オーバードライブ、ディストーション」 音に歪を加え味のある、あるいは芯のある音にする。
「リバーブ」 音に残響を加える
その他いろいろのエフェクトがあり通常はそれらを組み合わせて使用する。
ここで使用しているエフェクター GT-001 はそれらの組み合わせが200も登録されている。全く信じがたいほどなのだが、エレキギターの長い歴史と多くのミュージシャンの努力の集積だろう。ギター用のエフェクトだからリコーダーでも同じ効果があるとは限らない、個別に試してみるしかないだろう。まるで巨大な森に迷い込んだような気がする。


アイデアを2つほど。
1、バスの補強
リコーダーオーケストラにコントラバスが1本しかないとする。低音部にもう少しパワーが欲しい
コントラバスリコーダー あれだけの躯体を十分鳴らしきるには2倍3倍のパワーが必要だが、人間が演奏する楽器であるからそれは無理、だから極端な省エネ設計なのだ。だから音も弱々しいし、音自体に芯がない。
バスリコーダーに取り付けて実験してみたが、朗々と鳴り響いて実に気持ちがよい。石頭の純血主義者でなければ十分実用性があることを認めるはずだ。
2、リコーダーコンチェルト
サンマルティーニ、ヴィヴァルディなど面白いコンチェルトが存在する。しかしソナタなどはチェンバロ、ガンバをお願いすれば何とか実現するが、コンチェルトのため弦楽合奏などをお願いするのはほとんど無理な話だろう。
リコーダーオーケストラは最近あちこちにできている。リコーダーオーケストラで弦楽合奏の部分を演奏する。ソロリコーダーは音が埋没してしまわないように、ERを使用し音を輝かしく音量もアップする。腕自慢の奏者に演奏させれば、少し変化に乏しく退屈なプログラムに活気をもたらし盛り上がること間違いなし。

現役のプロ音響技術者Shinさんのブログ
音響専門家としてのこだわりやバランスが魅力。Panasonic のエレクトリックコンデンサマイクロホン(ECM)を使用したコンデンサマイクロホンの設計をそのまま使用させてもらった。FETを2個使用する「パナ改fetV」を作るべきなのだが、部品調達の関係で「DIRECT-3」を作ってみた。


7/01/2015

EWIがやってきた

AKAI EWI4000s と MACKIE SRM150 ソプラノとアルトリコーダー


EWI (electric wind instrument)  
リコーダーのソナタなどを演奏するとき、通奏低音としてチェンバロとかビオラ・ダ・ガンバなど演奏者をお願いしなければならない。またバッハのカンタータなどをリコーダー合奏にアレンジする場合も、リコーダーだけだと同じ音色になってしまうので、オーボエやトランペットなど異なる音色が欲しくなる。その都度奏者をお願いできれば良いのだがそんなことは出来るわけもない。
じつは、ヴィオラ・ダ・ガンバならなんとか演奏出来るのではないかと思っていた。

ヴィオラ・ダ・ガンバはチェロをひと回り小さくしたぐらいの大きさでコントラバスのような”なで肩”だ。それにチェロと比べると外観がちょっと貧相のような気がする。
平尾雅子門下生ヴィオラ・ダ・ガンバ発表会 2015年6月7日 近江楽堂

Facebookで知り合った若いガンバ製作者の"I"さんの情報だ。

弦は7本で指板の途中までフィレットがある。
そんな形態から想像して、フィレットに頼りローポジションで開放弦も多用するおっとりした演奏ではないかなどと考えていた。


しかしそれはプログラムの最初の数曲だけで、あとは楽器がガンガン鳴り出す。フィレットの無いハイポジションにもどんどん指は移動する。それと弓を持つ右手の動きが華麗。"I"さんも若い達者な奏者と組んで見事な演奏を披露してくれた。通常 製作者はおとなしい演奏をするような思い込みがあったがそんなの全く関係ない。実に頼もしい演奏者でもあった。
演奏は素晴らしかったが、私にはいまさら無理な世界とあきらめるしかなかった。

鍵盤のキーボードが操作できれば、簡単なシンセサイザーでとりあえずの目的は果たせると思うが、ピアノの心得が無いので一本指操作から抜け出せない。
そんな折EWI(イーウイ)を見つけた。木管楽器タイプのシンセサイザーで運指もリコーダー風に出来るとのこと。

リコーダーの演奏を改めて振り返ってみると結構大変なのだ。音域は通常2オクターブと2音と言われているが、高音部は複雑な運指の上発音自体もかなりバランスを必要とする。低音部だって深い安定した息でしっかりささえないと、満足な音が出ない、では
中音部は野放図に吹けるかと言えば、そうではない。上下の音とバランスをとるため中音部もしっかりコントロールする必要がある。ところがEWI(イーウイ)はドイツ運指の1オクターブ目とよく似た運指を繰り返すことで8オクターブもカバーしてしまうのだ。便利を通り越して堕落かも。開けてはいけない玉手箱を開けるような気がする。

機種はAKAI  EWI4000s  YAHOO オークションで入手した。
ソプラノサックスとサイズは似ているらしいが、リコーダーと並べてみた。
実際にリコーダー合奏の中で使用した感想は今後レポートするつもりだが、とりあえずの演奏出来る体制にするために必要なな機材。
1、本体  EWI4000s
2、アンプとスピーカー   MACKIE SRM150 アクティブスピーカーシステム
3、電池  単三4本  ニッケル水素電池 (エボルタ)
4、1/4 フォン ケーブル 
他に音色をedit するためにはmidiに対応したオーディオインターフェースやmidiのケーブルが必要になるが、こちらは別途考えることにする。
フォンケーブル、エレキギターでも使用しているので、いろいろ品数は豊富だが1000円以下の格安品はヘナヘナ部品で心もとないし、3000円程度の(一見高級品)にしてもケーブルに無酸素銅 (OFC)にピカピカメッキのプラグも値段は高いが、構造は格安品とあまり変わらない。半田付けができるなら自作をお勧めする。

このような場合、通常は一芯シールドを使用するが、信号は芯線を通って送り出される。帰りは?、シールドに使っている編線を通るしかない。なんたる不公平、シールドに使っている編線が入口から出口まで一本でつながっている保証は無いから接触抵抗だらけ、芯線だけ無酸素銅(OFC)だの純度99.999・・・%などと吹聴し、金メッキで飾り立てても、効果ありとはとても思えない。
使用により音が良くなるような記述まであるが、
一種のサギのようなものだと思える。原音より音が良くなるはずはない

私は・・・・・・1500円程度で自作した。
プラグは Neutrik社 NP2X  NP2RX 一方はストレート、楽器側はL型、ケーブルは一芯シールドではなく、バランス伝送に使用する2芯シールド、カナレのマイクケーブル L-2T2S、

プラグの図面はN社のサイトからダウンロードできるし、線材の加工寸法なども記載されている。
二本の芯線の片方(青)をプラグのチップに、半透明をリングに接続した。シールドの編線は信号送り出し側でもあるEWI側つまりL型プラグのみリングに半透明の芯線と一緒に半田付け、逆サイドはオープンのまま。

実は各機器のアースを接続することはちょっと怖いこともある。各機器のアースの電位が同じではないためループ電流が発生したり、極端な場合は金属部分を触るとビリビリ感電することもある。 これは電源の設計の違いや、各国のAC電源のアースのとりかたの違いによる訳だけれども、使用する我々にはブラックボックスなのだからどうしようもない。私のようにケーブルに小細工しても必ず効果があるとは限らない。 実際に使用してみればまた別の問題も出ると思うけれども、このブログで取り上げて行きたい。

バロックピッチへの対応
冒頭でも通奏低音に使用したいなどと書いた、まだ実際に使用した訳ではないが、スペックシート上で調べると、
A音=440Hzを416Hzまで変更可能、415Hzにはちょっと届かないが、これでもなんとかなる、またトランスポーズの機能を使えば半音低い調に移動することもできるので、これでも対応可能と思う。平均律に固定されている問題点は実際に使用してみなければわからない。

5/11/2014

リコーダーとチューナーその2 コンタクトマイクCM-200

アルトリコーダーに取り付けられたCM-200

前回, リコーダー演奏中は譜面台にチューナーを取り付け常時スイッチをONにしておくと便利であることを書いた。
この場合一人で演奏している場合は快適なのだが、何人かで同時に音を出している場合、ちょっと厄介なことが起こる。チューナーが表示している音が、必ずしも自分の音であるとは限らないのだ。
自分の音が途切れている時隣の音が鳴ればチューナはその音を表示している。自分の楽器を鳴らしても瞬時には切り替わらずちょっと遅れて表示される。
さらにリコーダーオーケストラなどで音階練習などしているときは問題が大きい。自分の音すら良く聞き取れないのにチューナーの表示が当てにならない。このような事態を回避するため コンタクトマイクロホン CM-200 というアクセサリーがある。
マイクロホンなのだが、空気の振動をとらえるのではなく、楽器に密着させその振動を直接ピックアップするのだ。そのため取り付けた楽器の振動には反応するが、空気を伝わってくる他の音には反応しない。
ちょっと大きめな洗濯ばさみのような形状で、内部にはピエゾ素子が埋め込まれており、これが楽器の振動を電圧の変動として送り出してくるのだ。早速購入して使って見た。結論を先に言うと、これは残念ながらリコーダーには使えなかった。

ソプラノリコーダーでもこのマイクを取り付けるのにちょっと苦労する。運指の邪魔にならないように足部管か頭部管の窓の下に取り付ける。リコオケの練習時に持ち込んでみた。
他の楽器が鳴っても全く反応しない。音を出してみると赤いLEDが点灯し、針がスッと上がってセンター付近に止まると緑LEDが点灯した。「オ、これはいい、成功だ」と思ったのもつかの間、反応しない音がいくつかあるのだ。アチャー!

足部管にコンタクトマイクをつけた場合、左の指孔を全部ふさぎ、右手の指孔をいくつかふさぐような音はピックアップできるのだが、右手を使用せず左手の指孔だけををいくつかふさぐような音はピックアップできない。また頭部管へ取り付けた場合は(写真)、左手だけの運指の場合良好だが、右手も使う運指の場合反応が鈍く場合によては動作しない。
理由としては管の中の空気が振動しても、木製の管はそれ程強くは振動しない。それと振動しても空気の振動が近い場所に限られ、離れた場所へ届く振動は木質の内部損失によって弱くなってしまうと思われる。このことは「木質材料の違いでリコーダーの音色が変わる」とする、まだこのブログで結論を出していない問題とも深く関わり非常に興味深いのだが、今回はちょっと保留する。

もちろんこの現象はリコーダーだから起きるのであって、ヴァイオリンやチェロ、あるいはトランペットなどの金管楽器、フルートやサキソフォーンなどの金属製木管楽器では快適に使用出来るはずだ。オーボエやクラリネットはひょっとして不具合がおこるかもしれない。

リコーダーでこの問題を回避するには楽器の振動ではなく、ラビュームの至近距離からマイクロホンで集音すれば良い。このような目的で使用する小型マイクはラベリアマイクと言われ殆んどコンデンサー型でファンタム電源を必要とする。性能は良いが大げさすぎて価格だって最低でも5000円程度から数万円まで、チューナー本体の数倍から桁違いまで、とても使いきれるものではない。安価なエレクトリックマイクが使用できれば良いが、このチューナーは対応していない。

いっそエレクトリックマイク(ECM)が使用できるよう工夫をしてみよう。部品も意外と安く入手できそうである。次回はECMを使用した報告を書く予定です。

5/04/2014

リコーダーとチューナーその1

譜面台に取り付けられたチューナーCA-40

リコーダーを演奏している時は常時チューナーを使用している。

合奏の前に各楽器で音出しをするのだが、他人の音を「高い!高い!低い!低い!」などと決めつける人がいる。男性に多いような気がする、よほど自信があるのだろうと思うが、リコーダーで常に正しい音程を維持するのは、結構難しいと思う。

一般的に楽器が冷えていると音が低く、温まると高くなるといわれているが、これは正確な表現ではない。
楽器としての管の長さは、温度が上がれば、理屈上は少し伸びるはずだが、微小なのでここでは無視できる範囲と考えられる。ところが空気の中を走る音の速さは温度上昇の影響を大いに受けてしまう。これが音程の変わる主原因なのだ。

また寒い季節など、楽器が冷えているので、442ではなく440で合わせましょう。などと言われることがある。しかしこれも正確に言えば。楽器の中の空気が冷えているので・・と言うべきだ。音の高さを決定するのは、管の中の空気である。
まあ管が冷えていれば空気も冷えていると考えるのが一般的ではあるが。

ではなぜ空気が冷えていると音が低くなるのか。そしてどのくらい変化があるのだろう。

音の速さと温度の関係は 音速(m/sec)=331.5+0.61t (t は摂氏)の近似式を使用する。
また 音速(m/sec)÷周波数(Hz)=波長(m)  の関係である。

気温は20℃ 話を簡単にするためA管のリコーダーを考えてみる。(穴を全部ふさいで音を出すとA音442Hzと考える。実際には存在しない楽器)
20℃での音速は、331.5+0.61x20=343.7 m/sec
 したがって442Hzの波長は  343.7÷442=約0.778(m)  
管の長さは開管の場合波長の1/2 で有るから  0.778÷2=0.389(m)  この楽器の管長は0.389(m)であるはずだ。
開端補正などはここでは無視する。

ここで気温が急激に下がり、10℃になったとする。
10℃の音速は、331.5+{0.61x10}=337.6 m/sec  
この楽器(管長0.389m)の出す音の高さは、337.6÷{0.389x2}=433.9(Hz)かなり低くなってしまう。

もし気温10℃でも442Hzを出すためには、7mm管長を短くすれば良い。
337.6÷442=0.764   0.764÷2=0.382   0.389-0.382=0.007(m)=7(mm)

あるいは440Hzで妥協できるのであれば5mmの縮小でも良い。
337.6÷440=0.767   0.767÷2=0.384   0.389-0.384=0.005(m)=5(mm)

いかがでしょう実際の感覚に近いのではないでしょうか。

したがってリコーダーの音程は常に変動していると思って間違いない。
最初の音合わせだけで音程が定まるのではなく、温度変化に伴い常に変動しているわけだ。もちろん自分の耳で聞き分けるのが基本だけれども、
チューナーの指示は大いに参考になる。

私はKORGのクロマチックチューナーを使用している。メトロノームのような余計な機能がなくチューナーのみに徹しているのが使いやすいと思う。金具で譜面台の下側に吊るせるようにしてあるので楽譜が隠れることはない、電池は充電出来るニッケル水素電池を使用しているので電源を入れっぱなしにしても、電池代金の心配は不要。

これで演奏中も音程を確認できる。ただこの方式にも少し問題があって、チューナーのマイクが周囲の音も拾ってしまうので、リコオケなど多くのリコーダーが鳴っている場合は、他の楽器の音を測定している場合もあり混乱してしまう。

KORGにコンタクトマイクロホン CM-200 があり、これはピエゾ素子を使用して空気の振動ではなく楽器の振動を直接拾うマイクなので他の楽器の音はシャットアウトできる。 このような目的にはぴったりのアクセサリーと思えるので、次回はこれを使用した報告をする予定。

1/25/2014

小型PA装置 MACKIE SRM150

テスト中のSRM150

小型PA装置 MACKIE SRM150
昨年のクリスマス会でPA装置を併用したが、装置全体が大きいため気軽に使用できない、もっと小型化できないかという思いで導入してみた。
Compact Active PA System とのことで、ミキサー、アンプ、スピーカーが一体化されており、もちろん電源も内蔵されている。本体をカバンに入れて一人で持ち運べる。定格出力も単体アンプに引けをとらず[100Wrms 連続] が保障されている。一体化することで各機器をつなぐケーブル類もほとんど不要となる。
スピーカーが小型になりしかも一個だけだが、メインでガンガン鳴らすのではなく、残響音の補助であればこのくらいでも良いかもしれない。
またリュートやバスリコーダーなど1~2台の場合は手軽に使用できる。

練習会場に持ち込みテストしてみた。スピーカーが小型なので音質上少し気にしていたのだが、ほとんど問題なし、リコーダーの音は超高音とか超低音などは含まれていないのだ。
残響などのエフェクターは内臓されていないが、小型で取り回しが楽なので、例えば後方の壁に反射させて残響を演出するのも面白いと思う。
通常の練習にもカバン一つで気軽に持ち込めるのが嬉しい。いろいろ使ってみれば応用も広がるのではないかと期待している。
写真はテスト中でマイクはSM57を使用、バスリコーダーは表現力はあるが、いかんせん音量がない。PA装置を併用することにより、音色音量に厚みが増えてサキソホーンのような感じで演奏できる。

以上は小型PA装置としての評価であるが、iPadなどと組み合わせて使用する場合また違った面が見えてくる。

iPadとGarageBandのようなアプリケーションと組み合わせ、ライブで使用を目指す場合、例として、GarageBandでギターや弦楽器による伴奏をあらかじめ作っておき、伴奏を自動演奏しながら、リコーダーなどの生楽器を演奏する。
このような場合、生楽器のパワーは、弱小と言われるリコーダーであってもかなりの強さがあり、伴奏がかき消されてしまう。
iPadに接続できるアンプやアクティブスピーカーは数多く発表されているが、すべてこのような目的には向かない。部屋に設置してiTunesなどで音楽を聴くだけなら便利で十分なパワーなのかもしれないが、そもそも目的が違うのだ。
その点SRM150はコンパクトタイプながら[100Wrms 連続]のスペックで。このような目的には最強の組み合わせかもしれない。
小型のミキサーが内蔵されているから、自身の演奏とGarageBandによる伴奏のレベルを最適な比率に調整できるし、たとえ武道館に出演を依頼されて巨大PA装置に接続する場合でも(私の場合あり得ない話だが)SRM150からプロ仕様のバランス伝送で送り出す事が出来る。

できればiPadの信号をディジタルで直接取り込めるようD/Aコンバーターを内蔵しているとありがたい。今後に期待します。

1/03/2014

リコーダーとPA装置

会場に設置したマイク、アンプ類

今回クリスマス会でPA装置を使用したのでそれをまとめてみた。
 
大きな体育館や屋外で、エレキバンドに伍して演奏しようというわけではない。もちろんそれも面白いし、挑戦してみる価値はあるだろう。しかし今回は併用すると言った表現が適切だと思う。
リコーダーはルネッサンスやバロック期の曲を小さな教会のような場所で演奏するのがいちばん向いているし、それはどのグループも目指している方向だと思う。
しかし教会のような演奏会場を確保するのは大変だし、そこまでお客さんに足を運んでもらうのも難しい面があるのだ 。結局近場の集会室や、公民館の視聴覚室を利用することになるが、そのような場所は、広すぎたり、壁に吸音材を使用していたりして、必ずしもリコーダー演奏に最適とは言えない場合が多い。このような場合適切なPA装置を使用して会場の音響をかなり改善できるのではないだろうか。

この場合演奏の音を直接音と間接音に分けて考えてみる。
まず直接音だけれど、演奏者から直接聴衆に届く音で、部屋の大きさとか壁の吸音材は関係ないと言える。演奏者と聴衆との距離により決まってしまうのだ。音はかなり硬質でリアルつまりやせた音、そして音量は少ない

続いて間接音だが、周囲の床、天井、壁などに反射されて耳に到着する。反射している分わずかな時間遅れが生ずる。また音の方向も前後左右あらゆる方向から到着する。
このいろいろな音に対して人間の音のセンサーである耳は多分すべて聞き分ける能力を持っているはずだが、脳の処理は異なっている。それぞれ別の音として認識するのではなく、最初の直接音で来る方向や距離を確定し、遅れて到達する間接音は直接音の一部とみなして、方向などは無視し、音そのものは最初の間接音に加えて認識する。
これはまったく理にかなった処理と言える。獲物を求めて野山をさまよっているとき、獲物の出すかすかな音が、岩や木に反射してあちこちこちから聞こえたら獲物がどこか判らないだろう。しかし最初の直接音で方向と距離を確定し、後の間接音は音量として蓄積できれば方向と距離は定まり音もはっきり聞き分けられる音量となる。

リコーダーから発せられる直接音はそのまま生かし、間接音の部分をPA装置を使用して補うのだ。補う音は残響分のようにエフェクト処理を少し加えておく。両者の比率は7:3ぐらいを考えているが会場によって異なるからいろいろ経験をつまなければならない。また若干のディレイ(時間遅れ)も必要かも知れないがプリセットのエフェクト処理に含まれていると思うので当面は考えないことにする。

使用した機材はきわめて一般的な編成となった。ダイナミックマイク5本、ミキサー2台、アンプ1台、スピーカー2台
各機器をつなぐケーブルはすべてXLRコネクタあるいはTRSフォンプラグによるバランス伝送、スピーカーケーブルは両端スピコン。(ミキサーは、マイク接続端子が不足したため、2台使用となった)

マイクは奏者毎に一本ダイナミックマイクを近接して設置する。以前同じような試みを行ったときコンデンサーマイクを使用したり2人で一個のマイクを共用したりしたが、予期せぬハウリングが起こったりして安定した運用とはならなかった。
録音とPAは目的が異なるのだから割り切ってダイナミックマイクを使用すべきだ。この種の定番マイクはSHURE社のSM57/SM58だが手元にSM57が3本しかなかったので急遽購入することになった。BEHRINGER社 XM8500を2本、 定番SM58と外観はそっくりだが値段は2000円を切る。安いが今回の目的には十分に使用できた。
定番SM57とXM8500

さてこれだけの手段を尽くして効果の方は如何に、となる訳だが、それを確認するのは思ったよりも難しい。私はスピーカーに近い場所で演奏していたので、スピーカーから残響分のような音が出ているのが確認できたから、効果は十分にあったと思っているのだが、他の演奏者達はスピーカーからの音は聞こえなかったらしいし、お客さんにしてもリコーダーの音量や会場の音響を良く知ってなければ判断は出来ないわけで、今後の課題としては、演奏者にもっと音を返す対策が必要だろう。スピーカーの位置を工夫して演奏者にも聞こえるようにするとか、場合によっては演奏者のために小型スピーカーを追加する等いろいろ実地に試して見なければならない。

それともう一つの問題は機材の運搬と設定をどうするかということ。今回もあらかじめアンプ、中型ミキサー、スピーカー2台、マイクスタンドなど車で会場に運び込む手配はしてあった。自宅から会場まで簡単に歩いて行ける距離だったのだが、残りの機材は持っていかなければならない。ケーブル類、マイク類は旅行用の車の付いたトランク、小型ミキサーと付属品は小型の肩掛けバッグ、ケースに入ったマイクスタンド2本、そのほかにリコーダーを入れた皮かばん、楽譜など入れたカバン、最後に大きなボンボを背中に背負ってよろめきながら歩き出した。信号機のない横断歩道の横に立ったらいっせいに車がストップしてくれた。車の中から私の姿を見て笑っている。・・・・・機材はなるべく少なくしたいが、むずかしいですね。

9/14/2013

プロジェクト「一人ローランド」


Canzon super"O Nachbar Roland" Samuel Scheidt
ザミエル・シャイトの「おお隣のローランド」をやりたくてうずうずしているのに、なかなか練習が進まない。
それと言うのも5人のリコーダー奏者が必要なのだが、お休みしている部員もいて、練習が先送りになってしまう。それで一念発起で「一人ローランド」に挑戦してみることにした。

概略は5人のパートをすべて一人で演奏録音し、それを重ね合わせて再生できるようにする。

先般パッヘルベルのカノンを練習するため、iPad のGarageBandを使用して通奏低音を作り、それに重ねてリコーダーの1st,2nd,3rd,を自分ひとりで演奏して録音した。各パートは自在にON/OFFできるので、リコーダー奏者が3人そろわなくても練習が可能になる。大変便利で練習にも役立ったのだが、これを「隣のローランド」にも適用しようと言うわけだ。

まず全てのパートが演奏できなければならない。これが一番の問題で、楽器と楽譜はそろっているので後は練習するしかない。

手順
まず最初に指揮者のパートを録音する。メトロノームや自動演奏のリズムを使うわけには行かないので、指揮のパートが全体のテンポを決める。総譜を見ながら適当な棒で机をたたきリズムを取りながら「チャンカ チャンカ チャンカ チャンカ・・・」と歌い、それを録音する。・・・ちょっと恥ずかしくて人前ではできない。
しかしこれが全体の流れを決める重要なポイントだ。
後はそれをイアホンで聞きながら、一つずつパートを重ねて録音してゆく。録音は何回でもやり直せるし、後で差し替えもできる。完成したら指揮パートの音を消す。削除、消音どちらも可能。

機材
とりあえずiPad mini とアプリGarageBandを使用する。パッヘルベルのカノンでiPad mini に内蔵されているマイクをそのまま使ったが、悪くなかったと言うより意外と良好に録音できたので今回もとりあえず内蔵マイクを使用する。

録音の品質に問題があれば、 iRig PRE IK Multimediaを導入すればファンタム電源もあるからコンデンサーマイクも使用できる。ただ3.5mm ステレオヘッドホンミニジャックを経由するのでクロストークも少し心配だし、電池に006P 9V を使用するのがちょっと厄介な気がする。

さらに高品質の録音を目指すなら、
iRig PRO IK Multimedia や Sonic Port LINE6 などがある。どちらもLightning コネクタ経由で24bit の A/Dコンバーターを使用している。またライン入力もできるから、使い慣れたMACKIE のミキサーやコンデンサーマイクも使用できるので、気にはなる存在だ。

今日練習の後半に「一人ローランド」に挑戦することを宣言して私だけで視聴覚室を使える時間を作ってもらった。とりあえず指揮者のパートを録音してみたが、簡単ではない。これでは完成までだいぶ苦労が続きそうだ。

写真は全てのパートを自分で演奏するので楽器を並べてみた。ソプラノ1,2、アルト、テナー、バス。

10/30/2012

PAアンプ購入

アンプ、スピーカーミキサーをセットした状態


A ステレオミニプラグ-RCA、B TRS-XLR、C 両端スピコン端子

 リコーダーの練習をする時小型のアンプとスピーカーがあると便利だ。演奏会の録音をみんなで聴いたり、バスリコーダーの音を拡声したり、いろいろと便利なことがあるのだ。小型のステレオアンプを多少改造したりして使用して来た。最近はiPod /iPhoneのアプリで、打楽器とか、トランペットとかいろいろな楽器として使用できる。  
例えば 
バッハの「主よ、人の望みの喜びよ」をリコーダーで演奏し、上声部をiPodのトランペットの音でかぶせたら面白いと思う、リコーダーだけの合奏では、このような音は、目立たず埋れてしまいがちだが、トランペットのような違った音を使うことにより双方の音を分離して聞き取ることが可能となる。近いうちに実験して見たい。   

ただ家庭用の小型ステレオアンプは、電源トランスや放熱器などの部品の為重量が有り、その割にはパワーが不足する。また室内に設置して固定して使う事を前提としている為、ツマミやパネルの角が鋭かったり 接続ケーブルが抜けやすかったりする。だったらPA用のアンプを導入すれば、問題は解決する。    

最近のPA用アンプはパワー部分もデジタル化され、電源部もそれに見合ったスイッチング電源だからかなり軽量になる。 
一番低価格のデジタルアンプは多分これ・・・・サウンドハウス CLASSIC PRO DCP400

カタログによると、100W 2チャンネル出力で2万円を切る値段だ。幸い部費も貯まっているので、購入することにした。この際問題になるのは接続ケーブルだろう。スピーカーとアンプの接続は両端スピコン付ケーブル、ミキサーアウトからアンプはTRSフオーンプラグとXLRメスコネクタ が必要になると。
スピコン付のケーブルは極性を間違うことなくしっかり取り付けられる。TRS---XLRケーブルは、バランス伝送なので、外部のノイズの影響を受けることがない。   
このようなケーブルは、家庭用アンプのRCAピンケーブルなどに比べてちょっと大げさな感じだが、安定感が違う、ピンケーブルはバランス伝送でないので、線長が長くなるとノイズを拾いやすく差し込む時アース側より先にホット側が接触するので、ちょっとヤバイ。またロック機構がない為抜けてしまう事がある。スピーカーケーブルにしてもスピコン付ケーブルだと極性を間違えて接続する事はあり得ない。
最後にもう一本大切なケーブルがある。iPodなど とミキサーをつなぐケーブルだ。 iPodやデジタル録音機R-05などの出力はイヤホンジャック  から取る事になるからステレオのミニプラグ、もう一方の側は、RCAピンプラグもしくはTRフォンプラグ 2個。既製品も市販されているが、品質とか長さとか不満が残るので、納得できる部品で自作すると良いと思う。ただバランス伝送では無いからあまり長くは出来ない。  

写真はいつもの練習場(文化センター)にセットした状態。
練習の合間に過去演奏した曲を聴いて見る。 
iPod---ミキサー------アンプ----スピーカー。パワーに余裕がある為か思ったよりいい音に聞こえる。過去演奏した曲が何曲もリクエストされた。音源がiPod なのでCDに比べればかなり容量を落としているわけだし、アンプにしても高域や低域をカットしているのだから総合的な音質はかなり悪いわけだが、不安定要素の部分は潔くすっぱり切り捨て、必要な音だけを十分なパワーで鳴らし切る  、これが好結果をもたらしているのだろう。

PAの世界ではデジタルアンプは当然の流れだが、ピュアオーディオの世界でも数年まえからB & O社デジタルパワーアンプのモジュールが供給され、ハイエンドメーカーでも採用された話を聞いていたので、デジタル化はさらに進んでいると思いS.S.誌を覗いてみたらA級、巨大トランス、巨大電解、・・・と相変わらずの大艦巨砲主義でさらに超高級なピンケーブルとかスピーカーケーブル、  ACコード、など目白押し、まあ趣味の世界だから、なにをやろうと自由だが、音楽を聞くだけでは無く自ら演奏する人間にとっては無縁の世界に思われる。

5/05/2011

MACKIE 402-VLZ3を分解する


マッキーのMixer 402-VLZ3 が手元に届いたので早速分解してみる。
まだ一度も実戦で使用しないうちに分解するのは少し気の毒な気がするが、仕方がない
べリンガーUB802の分解でもちょっと触れたが、実売価格で2倍以上するこのミキサーにはどんな部品が使用されているのだろう。

分解
ツマミは引き抜けば外れる構造だが、固いので竹製の冶具を作り「てこ」の原理でもちあげる。
フォンジャックの管用ナットはべリンガーより一回り大きい対辺13mm
キャップスクリューを使用しているので六角レンチも必要となる


写真は分解した基板の上側と下側。
基板は2枚に分割されていて、両面スルーホールのガラスエポキシ製2枚の基板は20本ほどのジャンパー線でつながっている。
下側は表面実装タイプの抵抗、コンデンサ、ダイオードなど
上側はXLRコネクタ、ジャック類、スイッチ類、VR、その他トランジスタ、3端子レギュレーター、LED、抵抗、コンデンサー類、そしてオペアンプなどのIC類。

回路構成はマイクプリアンプ部分がデスクリート構成、トランジスタは東芝の2SA970 4本、3桁表示の抵抗など

オペアンプはNJM4580,NJM2068(JRC)とTL072(TI) を使用している。
VR類は密閉型で(AE103Da) 等の捺印があったが、メーカーは確認できなかった。プッシュSWも確認できず、ただマッキーの人型マークのような刻印があったのでどこかのメーカーに特注しているのかもしれない。

電解コンデンサはマイク入力部分にELNA(エルナー株) が数本使われ、その他は容量により"HITANO","Jamicon" が使用されている。どちらも台湾の会社で、それなりの生産規模がある会社だと思われる。

イコライザーやフィルターに使用されているフィルムコンデンサーはメーカーは確認できないが誤差±5%の精度の高いタイプ

表面実装のチップ抵抗、チップコンデンサーなどは表示が無いのでメーカーが確認できない

評価
オペアンプはOPA2604等を使用しているのではないかと思っていたがそれは素人の浅はかさだった。実際はNJM4580,NJM2068(JRC)とTL072(TI)の3種類を 使用している。
実は4580は業務用機器では定番で現在でも多数使用されているらしい。現にべリンガーのUB802では全数この4580を使用してまとめていた。
またTL072はFET入力の古典的なオペアンプと言われているが、MACKIEではない某プロ機器の技術者の話として、「いろいろ試聴した結果TL072の方が新規のオペアンプよりも自然なサウンドを実現する」との記事を読んだことがある。
結局3種類のオペアンプを使い分け、音作りに関係する場所はTL072と吟味したコンデンサ、抵抗を使用し、それ以外の場所は4580と2068でまとめている。
MACKIEを愛用して音作りの基準にしているミュージシャンも多数いるはずだから、その音作りはしっかり継承されているのだろう。

また機構も大切な要素である。
ガラスエポキシの丈夫な基板を2分割することにより、上面操作パネルを手前に傾斜させ、かつ製品の厚さを薄くすることが可能となる。
このことは操作性を向上させ、副次的には外からの衝撃に対して基板の強度を増やすことになるが、2枚の基板を20本のジャンパー線でつなぐ等、工数は確実に増える。
また底板と左右の側板を一体化してアールを付けたシェル構造の筺体は強度を増し、手にも馴染みやすい。
その他パワーSWの設置、左右 8個のLEDによるピークメーター等も使いやすさを考慮している。
機能的にも大型ミキサーの縮小ではなく、実際の使用形態を吟味した上での機能の取捨選択が行われ、それがマニアルにも反映されている。

少し値は張るが内容はそれ以上の価値を持つ製品だと思う。

4/10/2011

マイクミキサーUB802 を分解する



べリンガー社 マイクミキサーUB802のパーツを調べる。
フレンドシップコンサートは6月4日に延期となり、仕切り直しとなったが、私は録音を担当することになっている。

機材は以前使用していたHDD録音機ではなくRoland R-05 を使用する予定だが、内臓マイクは使用せず外付けのマイクを使用する。
内臓マイクを使用するのが一番簡単でバランスも良いのだが、録音ポジションを少しでも良くする為には、やはり外付けマイク使用が必要だろう。
コンデンサーマイクのを使用することになるので、フアンタム電源が必要になりマイクプリアンプを使用するのが順当なのだが、とりあえず小型のマイクミキサーを使用することにする。現在手元にBEHRINGER社 UB802があるのでそれを使用するつもりだ。BEHRINGER社製品は低価格な為か、なんとなく評判が悪い、「安かろう悪かろう」といった具合なのだ。この際分解して自分の目で確かめてみることにした。お断りしておくがこの機種は最近モデルチェンジして"XENYX802"となった。外観などはほぼ同じなので内部構成もほとんど変更無いと考えるが、新規購入する訳にもいかず、御理解頂きたい。

分解は比較的簡単にできる。ツマミの数が多いが引き抜けば外すことができる、あとフォンジャックの管用ナットが14個、ネジ類が21本

写真は分解した基板の上側と下側。
基板は一枚で両面スルーホール、下側は表面実装タイプのIC,抵抗、コンデンサ、ダイオードなど
上側はXLRコネクタ、ジャック類、スイッチ類、VR、その他トランジスタ、3端子レギュレーター、LED、抵抗、コンデンサー類、などが整然とマウントされている。
加工品質はかなり良い。

全体の回路構成はオペアンプNJM4580(JRC) の表面実装タイプを16個、ヘッドホン出力部分にはSIPタイプを1個使用、
少しびっくりしたことはマイクプリアンプ部分がディスクリート部品で構成されていたこと、TR は東芝のローノイズトランジスタ 2SA1316 を4本使用し、抵抗は金属皮膜抵抗と思われる3桁表示の抵抗が使用されている。この部分は少し贅沢をしているようだ。
音量調節、トーンコントロールなどに使用されるVR類は全部アルプス電気製、マイク入力のXLRコネクターやフォンジャック、4Pピンジャックなどはそれなりにガッチリした造り。

電解コンデンサは"TEC"" Wincap" の2種類のロゴがある。どちらも日本製ではなく、
"Wincap" は同社のホームページによれば中国あるいはマレーシア製、品質はISO9001:2000を取得している工場とのことなのでそれなりの品質と思われる。
"TEC" ロゴの電解も使用しているが、メーカーは確認できなかった。Wincapと同等のレベルと考えられる。
トーンコントロール部分に使用されているマイラーコンデンサはメーカーは確認できなかった。許容差10%

表面実装タイプの抵抗、コンデンサーについては小型で無表示な為メーカーは確認できない。

評価
オペアンプは出来ればNE5532やOPA2604を使いたいし、電解コンデンサーもグレードの高い部品を使用したいが、価格を考えると難しいかもしれない。
低価格で必要にして十分なレベルで揃えた部品と見た、それを中国工場(確か広東省中山)で組み立てることにより実現できた価格だろう。
裸になったマウント済み基板を見ていると、この価格を実現出来たことが驚異的に思われる。
部品の内容や、作り込みは国産メーカーのミニコンポ等とほぼ同じ水準に達しているのではないだろうか。

PA装置の一部として音響拡声に使用するならコストパフォーマンスに優れた機材と言えるが、録音に使用するとなると少し心細い気がしないわけではない。
もっとも聞き分けるだけの自信は無く、気分の問題なのかもしれない。

同様な小型ミキサーで"MACKIE 402VLZ3"がある。価格はUB802の2倍以上するが、機会があったら部品を調べて見たい気がする。

2/27/2011

バスリコーダーのPA(音響拡声)


PA (Public Address)とは電気的な音響拡声の総称です。
以前コントラバスリコーダーをマイクとスピーカーで補強したことがあった。クラリネットとの演奏で弦バスのような演奏が要求されたのだ。
演奏者の前のスタンドに取り付けたダイナミックマイクで音を拾いアンプでブーストして後方のスピーカーを駆動する。しかしこれが意外と難しかった。

リコーダーの音はリコーダーの下端から発せられると考えてしまうが、それは指孔を全部塞いでいる場合に限られるのであって、指孔を空ければその位置から音が放射される。したがって音の放射位置は常に上下に移動していることになり、各音をなるべく均一にピックアップしようとすればマイク位置を楽器から離さなければならず--その為相対的に楽器本来の音とスピーカーから出る音の音量差が減少し、スピーカーの音をマイクが拾ってしまいキーンと発振してしまう。いわゆる「ハウリング」である。
このようにハウリングに対する余裕が低い場合ちょっとしたきっかけでハウリングを起こしてしまう。

ハウリングに対する余裕を増す方法(ハウリングマージンを稼ぐ)はいくつか方法があるが、音の発生ポイントに出来るだけマイクを近接させることが有効と思われる。
音の発生ポイントに近ければマイク感度を比較的低く設定できるので、少し離れたスピーカーの音を拾いにくくなる。
リコーダーの音の放射ポイントは指孔のほかにもう一箇所ある。ウインドウエイ先の窓とエッジ付近(ラビューム)だ。この部分は指孔と違って位置がいつも同じであるが、吹き込む息や鼻息が当たって、「吹かれ」があったりして雑音を拾いやすいような気もするが試してみる価値は十分にありそうだ。
ラベリアマイクと呼ばれる超小型マイクが目的に合致するが、このタイプはほとんどコンデンサーマイクでファンタム電源が必要となる。価格もサウンドハウスで3万~1.5万円程度だが、かなり安い機種を見つけた。
SAMSON  QL5 単一指向性 5480円  早速手配する。
ミキサーはBEHRINGER社 UB802 マイクはバスリコーダーのラビュームの上側付近にマジックテープを使用して取り付けた。

結果はかなり良好、心配した雑音も拾わず、ハウリングに対する余裕も十分ある。スピーカーの近くで演奏してもハウリングは起きない。
低音でも音が細くならず力強く鳴ってくれるのが頼もしい。

バスリコーダーはソプラノリコーダーより表情が付けやすいが、残念ながら音量が少ない。しかしこの装置を使用すると音量が確保できるのでバスのソロ演奏など用途が広がりそうな気がする。Tさんにクラリネットで「二人でお茶を」など演奏してもらい私がバスパートで合わせたが、十分に対抗できる音量で楽しめた。

1/29/2011

陽だまりロビーコンサート


陽だまりロビーコンサートに浅井愛さんが出演するとの事で、聴きに行った。
出演は、リコーダー浅井愛さん、ギター畑内浩さん
プログラムは親しみやすい曲、アメージンググレイス、ふるさと、埴生の宿などが並んでいるが、楽器紹介も兼ねて次々と大小の楽器に取り替えるので、少しも退屈させない。このペアの組み合わせでもう14年も演奏しているそうで、さすがと納得してしまう。
こきりこ節変奏曲/野田暉行編曲(結構難曲と思う)なども演奏され途中の休息時にはコーヒーの無料サービス。

後半の「鳥の鳴き声の模倣によるソナタ」では職員であるNさんも加わってリコーダー二本とギターで演奏、これがピタリと決まって場内大いに盛り上がる。
最後に演奏された「コンドルは飛んでゆく」とアンコールの「花祭り」この2曲は最近私達HRCでもケーナ、チャランゴ、サンポーニャなどで演奏しているのだが
今回はリコーダーとギターだけで大迫力、キレのある見事な演奏でさすがリコーダーのプロ、呆気に取られて聴きました。

PA装置
リコーダーとギターに各一本ずつダイナミックマイクロホンが配置され、小型のミキサーを経由して後方に一個のパワードスピーカーが配置してある。
生の音が主体でスピーカーの音はそれを補う目的と見たが、今回のような編成のときは大いに有効なシステムと思った。例えばグレートバスのソロでも音が朗々と響いていた。もちろん演奏自体も充実した音なのだろうがスピーカーによる補いも十分効果を発揮していたと思う。ただ少し残念なのは前半PA装置によるノイズが何回か聞こえたことだ。多分過入力とか接触不良などが原因と思われる。またマイクロホンのON/OFFノイズやマイクをタップする音などが気になったが、演奏者自身で操作するわけで、ある程度仕方がないかも知れない。
演奏者の数や演奏会場にもよるが、リコーダー演奏においてきわめて有効なシステムと見た。今後私達も検討の価値があると思われる。

※喫茶「陽だまり」は心身に障害がある方々が喫茶業務を通して社会人として必要な知識、接客、マナーなどを身につけ、将来、就労を目指すことを目的としている。

12/06/2010

Roland R-05 とquanpについて


練習には必ずR-05 を持参しているが小型なので苦にならないし、電池で16時間が保障されているのでAC電源は必要ないのではないか。
先日もリザーブコンサートで録音に使用したが、延々5時間にも及ぶ演奏を録音し、その後一週間以上、通勤電車の中でその録音を聞いているがまだ電池には余裕がありそうだ。これだとiPod のように携帯プレーヤーとしても十分使用可能である。

HRCの練習時にはR-05 にアンプとスピーカーをつないでおき(写真)、演奏を録音してその場ですぐ再生して聴いているが、付属のマイクで十分満足が出来る音質だし何よりも気軽にこんなことが出来てしまうのがすごい。
またWAVEとMP3の同時録音が出来るしWAVE をMP3 に変換することも簡単にできる。
MP3と言えどもmailに添付して送るには大きすぎるが、リコーに"quanp" クオンプと言うサービスがありこれにアップしておけば各自ダウンロードして聴くことが出来るのだ。100MB までなら無償なのが有難い。

練習終了後、録音したMP3のファイルを自宅で聴いてもらうことも簡単に出来てしまうのだ。
ただ全員がパソコンを所有しているわけではないし、ダウンロードや再生などある程度の知識も必要となる、また再生音の質もパソコンに付属しているプーアなスピカーで再生しているなどまだ問題も多いようだ。せめてUSBオーディオインターフェイスと少し良質のヘッドホンがあればかなり良い音で聴くことができるはずだ。

"quanp" クオンプについては下記URLで確認できる
http://www.quanp.com/special/pr/b008/

11/21/2010

R-05 の導入

ポータブルレコーダーの検討

近江楽堂の録音ではRoland R-09HR を使用してその便利さに驚いたし現有のFOSTEX VF80 は大型で重い上、最近はHDDを認識しなかったこともあり、データーの取り出しもUSBが使用できずCDRに焼いて取り出さなければならず、ポータブルレコーダーを至急検討することにした。

最近は各社から多くの種類が発表されている。価格は1万円~3.5万円程度
Rolandの R-09HR ,R-05  、YAMAHA のC24,W24、TASCAM DR-100,DR-1 ZOOM H2,H4n その他 KORG、SONY、SANYO、OLYMPUSなどにも魅力的な製品がある。

カタログ上のスペックでは各社それほど違いがあるわけではないと思うし、使い勝手にしても各自使用目的や環境が微妙に異なる為一律に論ずることはできない。
私の場合別途外部マイクで録音する場合もあるのでファンタム電源やXLR入力端子を持つTASCAM DR-100、ZOOM H4nなど気になる存在だけれども、機器が大型になるし、電池使用時の時間も短くなる傾向なのでフットワークに劣ると思われ諦めた。そうなると後は「どんぐりの背比べ」のようなもので結局使ってみなければわからない。
結局身近に使用している例が多いのでRoland社のR-09HR、R-05に的をしぼり比較してみた。
R-09HRの特徴としてはリモコン、チューナー/メトロノーム機能、スピーカー内蔵、編集ソフト付属、
一方R-05 は入力レベルを自動調整するリハーサル機能、日本語表示対応、電池による16時間以上の録音が可能、
AD変換などのデジタル処理部分はほぼ同様と想像できるしアナログ部分にしてもマイクユニットは同じ部品らしい。
価格はサウンドハウスでR-09HR \34800 , R-05 \24900 程度で差は9000円 リモコン、編集ソフト、ACアダプターが付属してこの値段ではむしろ「お買い得感」がある。
しかし結局電池による16時間以上の録音と価格が決め手となりR-05 を選んだ。充電可能なニッケル水素電池を準備すればACアダプターは必要なさそうだしフットワークも良いだろう。
我々の定期演奏会やリザーブコンサートでこのRoland R-05 を使用して録音したので実際の使用感などは別途報告するつもりです。

写真は定期演奏会での録音のようす、外部コンデンサーマイクを使用し小型ミキサーを経由してR-05 のLINE IN に入力している。

8/22/2010

EDIROL R-09HRによる録音

近江楽堂リコーダー発表会の当日、リハーサルの為午前中に会場に到着した。
チェンバロは所定の位置に運ばれて調律が始まっている。観客用の椅子も既に並べられていた。
最前列の椅子の中央にスタンドに取り付けたEDIROL R-09HR があった。
ACアダプターもちょっと不安定だが壁のコンセントから延長コードを使用してセットしてある。細岡師匠が自分で設置したらしい。

早速声がかかった「KENJIさん録音係やってもらえますか?」
2曲も演奏するしEDIROLは使用した経験が無い。しかし見渡したところ録音を請け負ってくれそうな人物も見当たらない。
仕方ない引き受けるしかないか、EDIROL R-09HRにも興味があるし。
「これが入力の調整ボタン、録音開始はここ、止める時はここ」 と師匠は簡単に言う、マニアルぐらい読みたいが持って来てない。
「ウエイブの16でOKでしょう」、「まあそうですけど・・・」  かなり不安
リミッターの設定など確認する余裕もないので、入力レベルは低めに設定。
演奏会は全部で3部に分かれているので、各部で連続で録音し、部の間の休息時間だけ録音を止めることにした。

演奏が始まると自分も出演するのでバタバタしてしまって、録音機の横で待機する余裕は無いし、そもそも録音席として決めた最前列中央の席も
お客さんに占拠されてしまったので、演奏中の録音レベルチェックも出来ない。途中打楽器を使用したグループもあり録音レベルの心配もあったが、そのまま録音を続けた。
最後に録音データーが記録された小さなSDメモリー・カードを持ち帰った。
USB接続でメモリーカードを開いてみると3つのファイルが番号順に並んでいた。Windows マシン、Macどちらでも読み込み可能。
早速Mac.で読み込み編集作業を行ったがこれは便利だった。
今まではFOSTEX VF80 で録音し、データーはCDRに焼いて取り出し(これが時間がかかる) データーはL/R 別々なファイルになっているので「デュアルモノの読み込み」でMac.に取り込みそれから編集作業をしていたのだが、EDIROL R-09HRではUSB接続で数分で取り込み編集できるのだ。

もっともマルチトラッカーVF80とポータブルレコーダーR-09HRでは目的が異なり、前者は多チャンネルの編集を目的としており後者は手軽なステレオの録音を目指しているのでファイルの扱いも異なっているのだろう、私の場合音楽のステレオ録音をする事が多いのでR-09HRの便利さには驚いてしまった。

これでは早速ポータブルレコーダーの導入を検討しなければならない。
R-09HRは最近はRolandブランドで発売されており、弟分のR-05 も発売された。R-09HRもそのまま販売されるとの事なので、想像するにAD変換を含めたデジタル処理技術は完成の期に達しており、デバイスも然るべきメーカーから供給されているのだろう。異なるのは周辺の機能、チューナーやメトロノーム、リモコンやスピーカーの有無そしてマイクユニットを含むアナログ部分へのコストの配分だろう。
同様のことが他社にも当てはまり
YAMAHAのPOCKETRAK C24/W24 やTASCAMのDR-1,DR-7など魅力的な製品もあり価格と相談しながら検討してみよう。

4/05/2010

フレンドシップコンサートの録音





録音は今回も私が担当した。
演奏、録音、編集、マスタリングを兼ねることは時間も神経も使うが得ることも多い

録音機材は
マイク RODE NT5 2本
録音機 FOSTEX デジタルマルチトラッカー VF80
昨年と同じだが前回は遠慮してマイクスタンドを2階にセットして結果が良くなかったので今回は2列目中央の座席の位置にマイクスタンドを立てORTF方式のマイクセッテイングとした。
確かに中央で目障りではあるのだが最初からビシリと立てておけば演奏者や観客にも納得してもらえるようだ。

リハーサルでのレベル合わせなどあるので朝一の9時には会場に入り、真っ先にマイクをセッテイングしたまでは良かったが録音機VF80 の表示が少しおかしい「ハードディスクが見つかりません」 なにい! 慌ててスイッチのON/OFF を繰り返したりACコードを抜いたり
ゆすったりしたけれど事態は好転せず。15分ほどジタバタした後 、責任者のKさんに録音はダメかも知れないことを報告した。(脂汗)
自分達のリハーサルが迫っているので一旦復旧作業を中止し、リハーサル終了後VF80を裏返してHDDが取り付けてあると思われる辺りの底板をバシバシ叩き,両手を合わせて神にお願いしてからスイッチをONしたら 立ち上がった! 以後怖くてOFFできないので夕方まで連続運転となった。

演奏は休息をはさんで3部に分かれているので、各部ごとにプログラムを作り、休息時にプログラムを切り替えることにより3分割したデータが得られる。
あまり巨大な連続データーを作ると扱いも大変だしトラブルの原因になってしまう。
録音レベルは高めにビシリと取れれば良いのだが、付きっ切りで録音出来ないしリハーサルでもレベルのチェックはほとんど出来なかった。
リコーダーの場合ダイナミックレンジはそれほど広くないしグループの違いによる差も比較的小さいのでちょっと抑え目程度で何とかなるのだが、
打楽器やピアノなどの異種楽器、手拍子などは注意しなければならない。今回はレベルメーターの目視とヘッドホンで決定し最後まで変更しなかった。

翌日 VF80は全く問題なく動作し1部2部3部とも各2枚ずつ計6枚のCDRでデーターを取り出すことが出来た。これを編集ソフトPEAKが入れてあるMac,で読み込み
編集作業を行う。編集作業の内容については別項で書くつもりだが昨夜4枚のマスターCDRに仕上げることが出来た。
今回の録音は編集中の音を部員に聴いてもらったがかなり好評で、各楽器の音がリアルでかつ場内の雰囲気も捉えているとのこと
やはりワンポイント録音の場合マイクスタンドを立てる位置が決定的に大切となる。

マイクに入ってくる音を演奏者から直接マイクに入る音を「直接音」、場内に反射しながら空間に満たされている音を「間接音」とすれば
直接音はリアルではあるが、マイク位置が離れると急速に音量が低下していく、一方 間接音は場内の残響分でマイク位置が変わってもそれほど音量は影響を受けない
従って適切な位置にマイクを設定すると「直接音」と「間接音」がちょうど良くブレンドされるわけだ。
今回の録音では太田さんの演奏中の息遣いも聞こえるが、楽器の音色も潤いがあると思う。
今週末には頒布用CD も完成するはずなので、ぜひ感想など聞かせてもらえるとありがたい。

VF80 が立ち上がらなかった件だが、記憶をたどると過去にも一回HDDを認識しなかったことがあったのを思い出した。
それはちょうど1年前、この同じ会場で起こったのだ。そのときは比較的短時間で復旧したし、その後は何の問題もなく動作していたのでそのことは忘れてしまっていた。
HDD自体が老朽化し動作が鈍くなってきていると考えるのが常識だが、同じ会場で2度も連続して問題が起きたことを考えるとあるいは会場のAC電源に問題がある可能性も浮上する。電圧が低いとかフイルターのようなものが挿入されているとか・・・ まだ結論は出ていない。

写真はマイクセッテイングの様子とマイクスタンド直下に置いたVF80