完成したマイクをアルトリコーダーに取り付けた |
リコーダーの音程を確認するため、チューナーを併用しているが、周りの音に影響を受けて混乱してしまうことがある。それを避けるため普通はピエゾ素子にコンタクトマイクを使用すれば避けられるが、リコーダーの場合は楽器自体の振動が少ないため音のピックアップに問題がある。(リコーダーとチューナー その2)
そのため今回は小型のマイクを使用してラビュームの至近距離から音を拾うことにする。
そこに使用するマイクだが、コンデンサータイプのラベリアマイクはファンタム電源が必要だったりXLRによるバランス伝送だったりして大げさすぎて使い切れない。安価なエレクトレットマイクが使えればよいのだが、チューナーが、エレクトレットタイプに対応していないのだ。
エレクトレットのマイクカプセルは簡単に手に入ることが判ったので、エレクトレット用アダプタも含めて作ってみることにした。
使用パーツはマイクカプセル WM-61A , 抵抗2.2kΩ, コンデンサー0.1uF, ボタン電池LR44, 3.5mmモノプラグ/ジャック、6.3mmモノプラグ、シールド線外径1.4mm 3.5mm 電池ホルダー、ヒシチューブ、プラケース。
購入した部品、右下がマイクカプセル |
この種の部品は秋葉原でかなり安く手に入る、マイクカプセル2個入りで200円、抵抗100個入りで100円、コンデンサーも10個入り100円、電池10個で100円・・・etc
回路はマイクカプセルに2.2kΩの抵抗を介して1.5Vの電圧をかけること、また出力側に直流が流れないようにカップリングコンデンサーでカットすること。抵抗やコンデンサーの値はとりあえず付属の参考資料の値を使用した。電池の電圧容量も含めて最適な値かはまだわからない。回路図で点線で四角に囲った部分がプラケースに入っている。
電源スイッチを使用すべきだが、スペースがないので、マイクカプセルからの3.5mmプラグの抜き差しで代用する。
電気屋として性能、強度、ルックスを追求すれば、マイクカプセルは金属ケースに入れるべきだが、楽器に傷をつけたくないし小型にしたいので、ここはあくまで演奏者の立場を貫くことにする。なるべく小さくかつ金属部分が表に出ないように。極細シールド線をハンダ付けしたマイクカプセルは、ヒシチューブで固定して、取り付け用マジックテープに糸で縫い付けた。電池など入れる箱は角の取れた小型プラスチック製とし、3.5mm,6.3mmのプラグは高級感には欠けるが、外装が軟質プラスチック製とした。
完成したマイク一式、下地の目盛りは1cm |
早速リコーダーオーケストラの練習に持ち込んでテストしてみたが快適に動作する。演奏していない時は周囲の音にも反応するが、自身の音と圧倒的な音量差があるので問題ない。取り付け用マジックテープはソプラノからバスまで使用出来る長さにしてあるが、回転したりして動いてしまうので、テープの裏側の一部にスポンジを貼るなど長さも含め、もう少し使いながら検討してみたい。
チューナー用のマイクとしては 、これでほぼ完成として良いと思う。
実は 安く作れるとのことで選んだマイクカプセルWM-61Aは知る人ぞ知る名器なのだそうだ。6.3mmの出力プラグをチューナーからアンプに差し替えてみると良い音でスピーカーから音が出てくる。このカプセルを利用して良質のマイクロホンを作る記事はいくつかweb上で見つけることができる。
期せずして「電子(電気?)リコーダー」が完成?したわけだ。
ドイツのリコーダーメーカー mollenhauer社から電気リコーダー(Elody)が発表されている。
近代的なデザインのリコーダーにマイクロホンが仕込まれ、ケーブルを外部のアンプにつなぎ、音を大きくしたり、エフェクターを経由してちょっと変わった音を出している。面白い試みではあるが、外部のエフェクターやアンプを取り去ってみれば、本質はただのマイク内蔵アルトリコーダーだ。音域も多少広がっているが、それ程決定的な差があるとも思えない。それにかなりの値段、これなら今回工夫したマイクを取り付けたリコーダーで十分に対抗出来る。と言うよりバスリコーダーやソプラノリコーダーにも自由に取り付けられるから、可能性はこちらの方がもっと広がっていると思う。
いろいろ使って見て結果があるていどまとまったら報告するつもりです。とりあえずコンプレッサーやリヴァーブのようなエフェクターを試してみたい。