2/04/2025



 


山澤昭彦氏 「祈りの残照」を聴いた

尺八の演奏家としての山澤氏は
キリスト教が日本に伝わりその後禁教となり多くの隠れキリシタンが発生した。彼らが生き残る為に仏教徒を偽装した者も多かったのではないか。
虚無僧の尺八は伝統的な日本音楽とは異質であり山澤氏はグレゴリオ聖歌の旋律と類似した音の動きや形式があると指摘、キリシタンの禁教と虚無宗教団の成立の時期的符合もある。

学問的に研究するとなれば文献などを研究するしかない。ほぼ同時期に行われた南米でのイエズス会などの布教活動はリコーダーやオルガンに関して多くの資料があるが、日本では非常に少ないと私は思っている。何らかの理由で資料が失われてしまったとしても。山澤氏のアプローチは貴重な方法と思った。

続いて行われた尺八の演奏ではゴレゴリオ聖歌との類似を指摘しながらの演奏であった、当時の「キリエ」の楽譜と尺八「虚鈴」の楽譜が資料として印刷されていた、私たちは珍しそうに眺めるしか出来ないが、山澤氏の尺八ではその類似を実現して聴かせることが出来る。

弱音でありながら無駄なく静かに揺れ動く高音は魅せられます。トラヴェルソを練習する私も届かないけれど欲しい音です。演奏に集中しすぎて写真を撮るのを忘れてしまった。ポスターで代用します。