「リコーダーでコレッリ」 リコーダー:本村睦幸 チェンバロ:三和睦子 4月20日
フレンドシップコンサートの前日だったが、聴き逃すわけにはいかないので、時間を工面して出かけた。会場のSpace415 は初めての会場なので時間に余裕を持って出かけたが、中野駅北口を出て地図にしたがって歩き、住宅街に入るとすぐに「Space415」の看板が見えた。開演1時間前、ちょっと早すぎたかもしれない。階段を上がり会場に入ると「昼の部」の観客の方たちがまだ残っていて談笑されていた。そう今日は同一のプログラムが昼、夕、夜 と3回公演なのだ。
プログラム
アルカンジェロ・コレッリ
・ソナタ第2番ト長調(作品5の10ヘ長調による)
編曲者不詳 1702 ロンドン、J.ウォルシュ出版
・ソナタ作品5の5 ト短調
編曲者不詳 1754 パリ、ル・クレール出版
フェルディナンド・デ・メディチ
・プレリュード (チェンバロソロ)
ドメニコ・スカルラッティ
・ソナタニ長調 k492 (チェンバロソロ)
アルカンジェロ・コレッリ
・ソナタ作品5の4 ヘ長調
J.C.ペツ編曲 1707 ロンドン、J.ウォルシュ出版
「夕方の部」の予約者は10名程度らしく椅子もそれに合わせて並び替えられた。私はチェンバロの鍵盤が見え、かつリコーダーからの距離が最適と思われる位置を選んだ。トークコンサートとのことで楽曲の説明も楽しめたし、何よりもリコーダー演奏の細かいニュアンスが直接伝わってくる快感。実に贅沢な演奏会! この広さ、この残響が心地よい。例えば近江楽堂では残響が長すぎて、曲名のアナウンスですら聞きづらく、演奏の細かいニュアンスなどはピンボケで曖昧になってしまう。もっともその曖昧さに助けられることも身に沁みて承知していますが。
コレッリが作品5をイタリアで出版したのが1700年とのことで早くもその2年後にロンドンでリコーダー用の編曲譜が出版されたのは時代を考えると破格の速さとの説明があったが、ラジオもテレビもなかった時代ロンドンにコレッリの曲を演奏したいと願うアマチュア演奏家が多数いたことになる。そしてそれが一時のブームで終わることなく、約50年後今度はパリで編曲譜が出版されている。もっともこれはトラベルソ用の編曲らしいのだが、コレッリ人気の根強さも感じられる。
アンコール曲名が告げられた “Tenpo di Gavotta”
えー!これって作品5の9 の第4楽章 あすフレンドシップで演奏する曲だ。
トップパートがほとんど四分音符だけで構成されているので、装飾をたっぷり使わなければならないとこの後に及んでも悩んでいたのだが、本村氏は「気楽に流しましょう」とばかりに最小の装飾でどんどん進む。その流れが快感を呼ぶ。目から鱗、装飾の少なさだけでも真似しましょう。
私への個人的なプレゼントのようにも思えた。