8/30/2015

リコーダーから見たEWI


まだ不慣れな部分も多く試行錯誤を重ねているが、今の時点で気がついたことを書いておきます。


写真はいつもの  MACKIE SRM150 アクティブスピーカーではなくミキサーを通してパワーアンプにつないである。アンプには簡単なプリアンプがついているから、直接EWIをつなぐことも可能だ。次はコネクタを工夫したケーブルを試してみよう。


EWIの基本の運指はリコーダーの運指に似せてある運指のほか、フルート、オーボエ、サックス、類似の運指モードがあり、さらに3本のピストンで演奏する金管楽器風の運指まである。
ただ標準のリコーダー風の運指にしても。ドイツ式運指の1オクターブ目に似せて、それを繰り返すわけだから実際のリコーダーとは異なる運指と言える。楽器の重量もあり、ストラップは必需品、リコーダーから気軽に持ち替えという訳には行かず、全く別な楽器と言える。運指の一部に似ている部分が有ったにしてもそれは全く些細なことでしか無い。


設計の詳細はわからないが、音と運指の関係はこんな感じではないだろうか。

ドから始まる1オクターブは半音を含めて12あり、最後にドを付け足せば13となる。
一方EWIのトーンホールはタッチセンサーで位置に関係なく自由にオンオフ出来る。
さらに上から順番に穴を塞ぐなどという制約も全く無い、理論上の組み合わせを数えてみると

左手の親指はオクターブキーに、右手親指はアースとピッチベンドに使用するから除外して残りは小指も含めて8本。
左手の小指はキーが2個あり、どのキーも押さない選択もあるから、3種の動作が可能、
右手の小指はキーが3個あるから4種の選択が可能
右手人差し指はトーンホールの横にキーが1個あるから3種の動作が可能。
その他の指は 押す/押さない の2動作l
この組み合わせパターンの数は順列組み合わせで

2X2X2X3X3X2X2X4=1152 
木管楽器の常識から外れるパターンはどんどん捨て去ってもまだ十分すぎる余裕がある。このパターンと上記13音を関係付ければ、運指表は完成する。しかし全く突飛な運指を作っても、意味のないことだから、木管楽器の原則を踏まえた類似の運指が並ぶことになる。
しかしクラリネットの運指表がないのにお気づきでしょうか?クラリネットは閉管でオーバーブローした場合オクターブ上ではなく12度上の音になるので、オクターブの運指を確定してオクターブキーで切り替えるEWI方式が馴染まなかったのだろう。

私はリコーダー運指に似せてあるEWI運指を使用しているが、全体のイメージとしてはテナーリコーダー(ドイツ運指)、ソプラノリコーダー、ガークライン、・・・・・・とC管が並んでいて、オクターブローラーで切り替えて次々と持ち替えていく感じ。低いほうも同様に、テナーリコーダー、グレートバス、コントラグレートバス、・・・・・となる。C管のリコーダーをズラリと並べた配列で8オクターブの音域をカバー出来る。写真はEWIの裏側、テナーリコーダーと全長はほぼ同じ、左手親指で操作するオクターブローラーが並んでいるのがわかる。

EWIとテナーリコーダーの裏側


トランスポーズ(移調)の機能があり、シャープやフラットが沢山付いた調でも、ハ長調の指使いで演奏できてしまう。これなんか便利といえばその通りなのかも知れないが、実感がわかない。
ただこの機能でリコーダー奏者にとって便利と思われる使用方法を見つけた。トランスポーズのプリセットでinFを指定しておく。これに切り替えると、

アルトリコーダー、ソプラニーノ、・・・・低い方はアルト、バス、コントラバス・・・をオクターブローラーで切り替えてゆくことになる。ズラリとF管のリコーダーを並べた感じ
アルト運指(アルト指)注※は大部分のリコーダー奏者がこれとソプラノ運指の2種類の運指を使い分けることができるので、曲によっては便利かも知れない。

フォルクローレの演奏でプルルーナスをやることになった。ケーナ、チャランゴ、などの演奏は大丈夫なレベルと思うが、サンポーニャはちょっと弱いかな。プロたちの演奏はここでトヨと呼ばれる大型のサンポーニャを二人で交互に鳴らして超低音を轟かせるのだが、我々アマチュアには手の届かない世界だ。小型のサンポーニャで演奏し、EWIで低音を重ねたら迫力が追加されて面白いかも知れない。試してみる価値はありそうだ。次回の練習日に持ち込んでみましょう。何しろ8オクターブもカバーしているので、超低音など簡単なのだ。・・・・・・そのつもりで練習に持ち込んでみた。

荷物が多くなるのを嫌って、会場に置いてあるエレキギター用のアンプを使用させてもらった。・・結果はちょっと失敗。
私の演奏技術がまだ未熟なせいもあるが、EWIの音がケーナとかチャランゴに押されて沈んでしまう。音が小さいのではなく、スピーカーから出る音がおとなしいのだ。ケーナとかチャランゴは生楽器としてけばけばしいほど自己主張がある。VRを回してアンプの音量を上げればよいではないかとの声が聞こえて来そうだが、そうすると音の圧迫感だけが強調されるだけで音が前面に出てこないのだ。もし音量計のような測定器があったら十分に音量は出ていることが確認できるはずだ。

これはアンプとスピーカーの品質も多少影響があるかも知れない。
 口径を稼ぐだけのぼてぼてのコーン紙のスピーカー、パワー不足のアンプ、ギターのときはそれなりに個性的なのかも知れないが、EWIには向いていないと言えるだろう。やはり十分なパワーを持ったアンプでしっかりとスピカーを駆動したい。


注 ※ アルト指  (リコーダーを演奏しない方たちへの簡単な説明)
アルトなどのF管の楽器をソプラノと同じ運指で音階を吹けばヘ長調(F)の音階となる。これは移調楽器だから合奏する場合は、楽譜を書き換えなければいけない。しかしそれでは面倒なので運指で移調に対応する、例えば右手指を全部開き左手指を全部閉じれば、ヘ長調の音階で”ソ”の音が鳴る、実はこの音はC音であるからこれを”ド”と呼び運指を再構築するとあたかもC調の実音楽器のように扱える。これをアルト指(アルト運指)と呼ぶ、これにより同様なF調の楽器(ソプラニーノ、アルト、バス、)などを実音楽器のように扱うことが出来る。ちなみにソプラノ指とは一般的なソプラノを演奏するときの運指を指し、アルト指と区別するために用いられる。

7/08/2015

第34回昼下がりのコンサート


 6月28日、ポーポーの木
ちょっと時間が経ってしまったが、写真も届いたことだし、記録しておいたほうが良いだろう。

今回の特徴はお客さんが多かったこと。たぶん今まででいちばん多かったのではないか。椅子を多く配置したのに、それでも立見があったようだ。
Tさん編曲の童謡のメドレー、歌謡曲のメドレーはそこそこに仕上げることはできた。
クラリネットやリュートの演奏もあった。楽器の多彩さについてはどこにも引けを取らない。
しかしバッハのプレリュードとシャイトのベルガマスカは練習に時間をかけた割には良くなかった。プレリュードは後半各パートがバラバラになり、収拾がつかなくなったのでストップをかけるしかなかった。
これがお客さんにけっこう受けたようで、楽しそうな歓声が上がっていた。それはそれで良いのだが、時間を割いて練習したのにかなり残念。HRCにとって難しすぎたようだ。リベンジだなどと声が上がっていたが、次回やるにしてもこのままだと同じことになってしまう。
演奏レベルに余裕が持てる曲ならば、何回か合奏をくりかえせば、仕上げることは出来る。
しかし自分達の技術レベルギリギリのような曲は漫然と合奏を繰り返しても効果は望めない。

最初に全体の見通しを持つため、ざっと合奏してみる。
これで自分にとって難しい場所、出来ない場所が明らかになる。
ここでもう一度個人練習に 戻り、むづかしい場所を納得できるまで練習する。
場所が特定されているから、回数を重ねるのは容易なはず。そのフレーズだけでも暗譜できるぐらいまでやる。
このようにして各パートが細部まで見ておけば、全体の合奏に戻ったとき他のパートを聴く余裕も生まれるのだ。
今回の反省すべき点はまさにこの点では無いだろうか。

シャイトのベルガマスカも難しそうな曲が無事演奏できたというだけで,曲の魅力を引き出すことが出来なかった。やはりどのレベルまでの演奏をするのかしっかり自分たちで見極められなければならない。

曲の解説。
童謡や歌謡曲は演奏すればお客さんはわかってくれる。
しかしバッハのプレリュードです。と言って演奏しても目の覚めるような素晴らしい演奏や感動的な音色でない限り、お客さんの心をこじ開ける事はできない。適切な説明がそのきっかけを作る事ができると思うが、長すぎてはいけない。何を話し何を省くか。
 以前聴いた積志リコーダーカルテットは実に上手かった。選曲、アレンジ、演奏、そして解説が連係していて絶妙。真似したいけれど道は遠すぎる。

EWIは簡単な曲でお披露目するはずだったが、ちょっと音を出してみる程度。やはり簡単ではない。
演奏中 棚の上にリュート

7/01/2015

EWIがやってきた

AKAI EWI4000s と MACKIE SRM150 ソプラノとアルトリコーダー


EWI (electric wind instrument)  
リコーダーのソナタなどを演奏するとき、通奏低音としてチェンバロとかビオラ・ダ・ガンバなど演奏者をお願いしなければならない。またバッハのカンタータなどをリコーダー合奏にアレンジする場合も、リコーダーだけだと同じ音色になってしまうので、オーボエやトランペットなど異なる音色が欲しくなる。その都度奏者をお願いできれば良いのだがそんなことは出来るわけもない。
じつは、ヴィオラ・ダ・ガンバならなんとか演奏出来るのではないかと思っていた。

ヴィオラ・ダ・ガンバはチェロをひと回り小さくしたぐらいの大きさでコントラバスのような”なで肩”だ。それにチェロと比べると外観がちょっと貧相のような気がする。
平尾雅子門下生ヴィオラ・ダ・ガンバ発表会 2015年6月7日 近江楽堂

Facebookで知り合った若いガンバ製作者の"I"さんの情報だ。

弦は7本で指板の途中までフィレットがある。
そんな形態から想像して、フィレットに頼りローポジションで開放弦も多用するおっとりした演奏ではないかなどと考えていた。


しかしそれはプログラムの最初の数曲だけで、あとは楽器がガンガン鳴り出す。フィレットの無いハイポジションにもどんどん指は移動する。それと弓を持つ右手の動きが華麗。"I"さんも若い達者な奏者と組んで見事な演奏を披露してくれた。通常 製作者はおとなしい演奏をするような思い込みがあったがそんなの全く関係ない。実に頼もしい演奏者でもあった。
演奏は素晴らしかったが、私にはいまさら無理な世界とあきらめるしかなかった。

鍵盤のキーボードが操作できれば、簡単なシンセサイザーでとりあえずの目的は果たせると思うが、ピアノの心得が無いので一本指操作から抜け出せない。
そんな折EWI(イーウイ)を見つけた。木管楽器タイプのシンセサイザーで運指もリコーダー風に出来るとのこと。

リコーダーの演奏を改めて振り返ってみると結構大変なのだ。音域は通常2オクターブと2音と言われているが、高音部は複雑な運指の上発音自体もかなりバランスを必要とする。低音部だって深い安定した息でしっかりささえないと、満足な音が出ない、では
中音部は野放図に吹けるかと言えば、そうではない。上下の音とバランスをとるため中音部もしっかりコントロールする必要がある。ところがEWI(イーウイ)はドイツ運指の1オクターブ目とよく似た運指を繰り返すことで8オクターブもカバーしてしまうのだ。便利を通り越して堕落かも。開けてはいけない玉手箱を開けるような気がする。

機種はAKAI  EWI4000s  YAHOO オークションで入手した。
ソプラノサックスとサイズは似ているらしいが、リコーダーと並べてみた。
実際にリコーダー合奏の中で使用した感想は今後レポートするつもりだが、とりあえずの演奏出来る体制にするために必要なな機材。
1、本体  EWI4000s
2、アンプとスピーカー   MACKIE SRM150 アクティブスピーカーシステム
3、電池  単三4本  ニッケル水素電池 (エボルタ)
4、1/4 フォン ケーブル 
他に音色をedit するためにはmidiに対応したオーディオインターフェースやmidiのケーブルが必要になるが、こちらは別途考えることにする。
フォンケーブル、エレキギターでも使用しているので、いろいろ品数は豊富だが1000円以下の格安品はヘナヘナ部品で心もとないし、3000円程度の(一見高級品)にしてもケーブルに無酸素銅 (OFC)にピカピカメッキのプラグも値段は高いが、構造は格安品とあまり変わらない。半田付けができるなら自作をお勧めする。

このような場合、通常は一芯シールドを使用するが、信号は芯線を通って送り出される。帰りは?、シールドに使っている編線を通るしかない。なんたる不公平、シールドに使っている編線が入口から出口まで一本でつながっている保証は無いから接触抵抗だらけ、芯線だけ無酸素銅(OFC)だの純度99.999・・・%などと吹聴し、金メッキで飾り立てても、効果ありとはとても思えない。
使用により音が良くなるような記述まであるが、
一種のサギのようなものだと思える。原音より音が良くなるはずはない

私は・・・・・・1500円程度で自作した。
プラグは Neutrik社 NP2X  NP2RX 一方はストレート、楽器側はL型、ケーブルは一芯シールドではなく、バランス伝送に使用する2芯シールド、カナレのマイクケーブル L-2T2S、

プラグの図面はN社のサイトからダウンロードできるし、線材の加工寸法なども記載されている。
二本の芯線の片方(青)をプラグのチップに、半透明をリングに接続した。シールドの編線は信号送り出し側でもあるEWI側つまりL型プラグのみリングに半透明の芯線と一緒に半田付け、逆サイドはオープンのまま。

実は各機器のアースを接続することはちょっと怖いこともある。各機器のアースの電位が同じではないためループ電流が発生したり、極端な場合は金属部分を触るとビリビリ感電することもある。 これは電源の設計の違いや、各国のAC電源のアースのとりかたの違いによる訳だけれども、使用する我々にはブラックボックスなのだからどうしようもない。私のようにケーブルに小細工しても必ず効果があるとは限らない。 実際に使用してみればまた別の問題も出ると思うけれども、このブログで取り上げて行きたい。

バロックピッチへの対応
冒頭でも通奏低音に使用したいなどと書いた、まだ実際に使用した訳ではないが、スペックシート上で調べると、
A音=440Hzを416Hzまで変更可能、415Hzにはちょっと届かないが、これでもなんとかなる、またトランスポーズの機能を使えば半音低い調に移動することもできるので、これでも対応可能と思う。平均律に固定されている問題点は実際に使用してみなければわからない。

6/06/2015

フィアウティ・デコーその2

以前ブランデンブルグの4番でフィアウティ・デコー(エコーフルート)を再現した楽器での演奏をブログで紹介した。Voice of Music; original instruments 
その記事をフェイスブックでも紹介したところ、反論の書き込みがあった。それは楽器ではなく演奏形態でエコーを表現するべきではないかとの意見であった。そのままここに転載することも出来ないので、概略を記す。

----------------------Facebookへの書き込み----------------------------
『そのような楽器を作って演奏している人たちも存在するけれども、エコー楽器の指定は現代まで色々例があるが、離れたところで演奏しなければエコー効果はないのではないか。バッハの時代はすでにリコーダーは持ち替え楽器ですから誰でも演奏出来たはず』としていろいろな議論があることも紹介してくれた。

それに対する私の意見(反論)
『エコー効果だけ考えれば他の楽員が離れた位置で演奏するとか、演奏者自身がその楽章のときだけ移動すれば簡単だし音響的にも視覚的にも変化があり楽しめる。実際の演奏や録音でもそのように行われた例があることは十分承知していますし、実質的にはそれも良いと思います。
しかしバッハ自身が 二つのフィアウティ・デコー とわざわざ書いていること、それらしい楽器が現存していること、第二楽章のアンダンテでは"f"と"p"が交互に指定されているのでこの場所がエコー効果必要な場所と思えるのですが、二つのフィアウティ・デコーのパートが"f"も"p"も連続して演奏するように書いてあること(離れて演奏するなら"p"部分だけの演奏でよいはず)  など考慮すると楽器自体でエコー効果をねらったと思いますし、バッハもそれに期待を持っていたのではないでしょうか。』

-----------Facebookでのやり取りは以上です----------------

確かに今回オリジナル楽器を再現したとして演奏している録音は、私が聴いてもそれほど絶大な効果があるとは思えない。(演奏者としては異なる見解かも)
それならば離れた場所で別の奏者が演奏すればエコー効果は簡単に実現できるし、視覚的にも楽しめる。それこそバッハの望んだことなのだと言うのがその方の主旨であると思う。

結局バッハは楽譜に二つのフィアウティ ・ デコーと書き、それらしいい楽器が何点か残されているだけである。バッハ自身によるブランデンブルグ4番の楽譜を2枚示す。



















最初の楽譜は第一楽章アレグロの最初の部分で題名とパートの指定が書いてある。Fiauti d'Echo は2段目3段目である。
"Concerto 4to à Violino Principale, due Fiauti d'Echo, due Violini, una Viola è Violone in Ripieno, Violoncello è Continuo."
独奏ヴァイオリンと二つのフィアウティ・デコーの為の協奏曲第4番  二つのヴァイオリンと一つのヴィオラ・ヴィオローネ、チェロと低音を伴う



















二番目の楽譜は第二楽章アンダンテの始まる部分。パートの書き込みは無いがアレグロと同じ2段目3段目がFiauti d'Echo 
強弱の指定がp--f--p--f と4回も書き込まれている。

その結果として二つの立場が考えられる。
⑴あくまでそのような楽器を再現してみる。
⑵エコー効果を実現することだけに着目し離れた位置で演奏する。
しかし私はバッハが(1)の楽器そのものでエコー効果を出すことを考えたと思う。
現代に生きる私たちからすると結果がすでにわかってしまった。2本の楽器を一台の楽器として使用してエコー効果を出すやり方は、一時的にバッハの興味を引いたものの、他の曲に応用されるとか、楽器自体を改良するとかの発展はなく、そのまま忘れ去られてしまった。袋小路だったのだ。
その点チェンバロやトラベルソの改良はピアノが生まれたり、ベーム式フルートに発展したりして現代につながり大輪の花を咲かせた。
当時はニュートンが活躍したり、ワットが蒸気機関を発明したり、発明や工夫が巷にあふれていたのだ。もちろん後世に多大な影響を与える発明もあったが,そのまま消え去ってしまった発明も多かったに違いない。その一つとして残念ながらフィアウティ・ デコー(エコーリコーダー)も埋もれてしまった。そもそもリコーダー自体が一旦は歴史の表舞台から消えてしまったのだ。

だからブランデンブルグの4番を聴くときは、普通のリコーダーで当たり前の演奏とか、楽器を再現しての演奏、あるいは離れた場所で演奏 など色々な演奏がある。それをそのまま受け取るのではなく、バッハの思い、そして時代の流れを思い出しながら聴くのがより味わい深い味わいとなるだろう。


ちょっと気になったので、楽器屋へ寄ったときスコアのコーナーに行ってみた。Z社の「ブランデンブルグ・・・」があった。スコア自体は新しいが、版は古そう。第4番の始まりの部分でパートを確認すると、Flute 1・/Flute 2 となっており、フィアウティ ・ デコーなどの記載は全く無い。ただ注意して探すと前書きの中に曲の説明があり、バッハはブロックフレーテと記入したとあった。ここでもフィアウティ ・ デコーのことは一言も触れていない。多分このスコアを出版するにあたってドイツ版?のスコアを参考にしたと思われるが、当時の一般常識はこの程度だったと思われる。
今は手元にないので確かめようが無いのだが、当時購入したLPレコードは2本のモダンフルートが競走するように駆け出し、ヴァイオリンがさらに上回るようなスピードで追いかける・・・そんな演奏だったような気がする。

さきに紹介した再現楽器による演奏は、リコーダーだけではなく、弦楽器などもバロック楽器を再現している。手間ひまかけた贅沢な演奏なのだ。もう一度じっくり聴いてみよう。

5/24/2015

warpでの練習「草原のマルコ」

チャランゴ2台

先日はwarpでのフォルクローレの練習。私はケーナで参加している。
ケーナサークルとしてスタートしたこのグループも強力なギターや打楽器奏者を迎えることができ、とりあえずフォルクローレのグループとして活動をしているのだが、肝心のケーナやチャランゴの演奏テクニックがイマイチで伸び悩んでいるのが、悩みだ。
今回用意した曲の中に「母を訪ねて三千里」の主題歌「草原のマルコ」がある。フォルクローレではないのだが、南米が舞台のストーリーだし、歌にケーナが絡んだりするので、この種のグループでは時々演奏されるらしい。
このアニメがテレビ放映されたのは1976年だそうだが、39年前となるわけだ。私は長男といっしょに見た。子供の頃見た人や、まだ生まれてなかった人もいる。これだけ長期間歌い続けられるのは、名曲と言えるだろう。

歌がメインとなるので、シンガーソングライターの梢さんに参加してもらった。ここwarpは色々なジャンルの方達が関係しているので、そのようなことが比較的簡単に出来るのがすごい。
彼女はこの曲を聴いたことがないはずだが、ピシリと見事に決めてくる。さらに音程など疑問があるのかピアノで音を出してチェックしている。なんか音楽に対する姿勢の違いを見たような気がした。

あと今回は「コンドルは飛んでゆく」をやる。いままでは二部形式でやっていたが、今回は中間部も省略せず三部形式で演奏する。ヤラビ(Yaravi)-パサカージュ(Pasacalle)-ワイノ(Huayno) 南米のグループも二部形式で演奏するところと三部形式で演奏するところがある。原作者のロブレスはコンドルカンキというインカの英雄を讃えるオペラのために作曲したのだが、オペラはあまりにも政治的すぎるためか、演奏されなくなり、「コンドルは飛んでゆく」の部分だけが、サイモンとガーファンクルの歌に使われたりして、世界的なヒットになった。中間部も演奏することで、元のオペラの雰囲気に少しは近づけるような気がする。
(コンドル・・に関しては過去のブログにも書いているので興味のある方はどうぞ)

次回のwarpの演奏会は7月19日 あと一回は練習日が取れるからなんとかまとめられるでしょう。

今回手伝ってくれる梢さんがwarpで歌っている動画がYouTube にあったので紹介します

5/19/2015

贅沢な練習


土曜日は平尾リコーダークラブの練習日だったが他の部員の都合が悪く、せっかく確保した部屋をキャンセルするのはもったいない。私一人で使わせてもらうことになった。ウシシ大歓迎!
ここのところあちこちに顔を出しているので、おさらいしなければならない曲が増えてしまい、ちょっとあせり気味だったので、まさに天の恵み。パートもいろいろあるとは思っていたが、、結局ソプラノからバスまで全部必要だった。さらに翌日はフォルクローレの練習日だったので、ケーナも加えた。

ここは団地の集会室、時々練習に使っているが、響は良い。なんか一人で使うのは少し申し訳ないような気がしたので、部屋の半分の照明は消し、エアコンも使用しなかった。椅子と机を出し、あとはひたすら練習、4時間はたちまち過ぎてしまった。普段の練習は合奏だけ繰り返し、なんとなくそれで出来たような気がするが、これだと出来ない部分はいつになっても出来ないままになってしまう場合がある。

また合奏で確認したい場合は、iPodに練習が録音されているので、聴きながら合奏できる。カナル型の イヤホンだと自分の音が少しききづらいので、片側を少しルーズに装着することにより録音と自分の音とのバランスを取ることができる。


何箇所かの難しい部分が出来るようになったし、演奏テクニックも(ほんの僅かだけれど)前進出来たような気がするのも嬉しい。プロの演奏者達は毎日こんなことをやっているんだろうな。

5/05/2015

フィアウティ・デコー

私の試作したフィアウティ・デコー

J.S.バッハにはリコーダーのソナタがない。カンタータなどで効果的に使用されている場合もあり、リコーダーが嫌いだったわけではないと思うが、作曲する機会がなかったのかも知れない。そんな中でブランデンブルグ協奏曲の4番や2番はリコーダーを使用している。古い録音の場合フルートが使用されていることが多かったが、最近はリコーダーを使用し他の楽器に伍して堂々と演奏しているのは実に頼もしい風景なのだ。録音されているCDには他の楽器の演奏者と一緒にリコーダー xxxxと演奏者の名前が印刷されている。
しかしここで重大な疑問があることをご存知だろうか。

バッハはリコーダーのパートを通常イタリア語でフラウト(Flauto)、フィアウト(Fiauto),複数ではフラウティ(Flauti)、フィアウティ(Fiauti)のように書いているそうだ。
ところがブランデンブルグの4番の場合ちょっと変わったことが書いてある。
Fiauti d'Echo フィアウティまではわかる。リコーダーの複数だ。デコーは何? 
フィアウティ・デコー  これでエコー リコーダーの意味だそうだ。
バッハ手書きの楽譜を見てみる。
バッハ手書きの第一楽章

第一楽章の上の部分に記入されている題名

"Concerto 4to à Violino Principale, due Fiauti d'Echo, due Violini, una Viola è Violone in Ripieno, Violoncello è Continuo."
独奏ヴァイオリンと二つのフィアウティ・デコーの為の協奏曲第4番  二つのヴァイオリンと一つのヴィオラ・ヴィオローネ、チェロと低音を伴う

リコーダーは歴史の表舞台から一旦は消えてしまいドルメッチによって再興された楽器だ。だから演奏法や製造方法なども一旦途切れてしまいゼロから再構築されたのだと考えて良いと思う。フィアウティ・デコーもその一つだ。リコーダーが2本一組となってつながっている楽器が幾つか発見されているが、これがフィアウティ・デコーだと考えられている。
リコーダーを弱く吹くと音程が低くなってしまうのはリコーダーの性質で仕方がないと思われているわけだけれどもこれを解決する一つの方策がこれなのだ。

2本の楽器を用意し、一方を弱く吹いても音程が下がらないように少し高めに調律しておく。もう一方は通常の調律なので通常はこちらを使って演奏する。弱音が必要なときは高めに調律してあるほうに持ち替えることにより、弱音でも音程を保つことができる。

当時の楽器の写真を掲げておく。2本の楽器がH形に結合されている。

ブランデンブルグ協奏曲はケーテン時代に完成されて演奏されていたらしいが、バッハ自身がこのような2本のリコーダーを使用する奇策な方法を考案するはずもなく、バッハの目の前で器用に2本のリコーダーを演奏して見せた奏者がいたに違いない。バッハはこれにいたく感動し、早速採用したのだろう。第二楽章に強弱の符号が頻繁に現れるから、ここでこの楽器を使用したに違いない。謹厳実直で頑固そうなバッッハがOKしたのだから大変なことなのだ。しかしバッハはそれだけではなかった。何年か後にブランデンブルグ伯に協奏曲を清書して献呈した時にもこのことを忘れず、協奏曲第4番には2本のフィアウティ・デコーを指定したのだ。これはバッハの就職活動の一環と考えられているが、なぜかこの楽譜は棚にしまわれたまま使用されることがなかったらしい。後世発見されて綺麗な未使用の楽譜として見ることができるのもその為だけれど、バッハとしては悔しかったに違いない。

この楽器を再現した演奏がある。以前全曲の演奏を紹介したことがあるが、今回は該当の第二楽章のみの演奏を紹介する。
楽器はPeter van der Poelとフォンヒューネワークショップによって作られ、2本の楽器がV形に結合されている。
2本の楽器は発音の強弱だけではなく音色も差が出るように調整されているとのことである。

H形とV形 
バッハ時代は2本の楽器を平行に並べていたので(H形)持ち替えるのは右手と左手で2動作必要となる。
ところが今回再現された楽器はV形に結合されている。ビデオを観察すると左手については通常に持ち替えているが右手は持ち替えることなく指を伸ばしたり縮めたりして楽器を切り替えているのだ。つまり全体で1.5動作で楽器を持ち替えていることになる。
ビデオの二人の奏者はいとも簡単に楽器を持ち替えているので、それならばと私も試して見たくなって試作してみた。
2本の楽器のメーカーも違うし縛ってある紐が目障り、演奏して見ても楽器は重いしバランスは悪い、持ち替えも大変、正確な音程どころではない。残念ながら断念するしかなかった。

5/04/2015

ウインドベルへお邪魔する

BWV68 バスパートを担当

バッハのアレンジを演奏しているウインドベルというグループがある。ちょっと毛色の変わったグループだ。
今回フレンドシップコンサートに参加してもらったことがきっかけだと思うが、まとめ役のTさんから連絡があり、「ちょっと練習に参加して見ませんか」とのこと。面白そうだと思ったが、モタモタしていると録音や楽譜が次々と送られてきた。現在の部員が3名なのでいつも3声のアレンジだが、4声もやって見たいとのこと。
渡されている楽譜はバッハのアリアとかフーガの4声にアレンジしたもの3曲、パートもソプラノ、アルト、バスとばらばらで、少しはおさらいできると思っていたが、結局バタバタと当日を迎えてしまった。

練習会場の府中のグリーンプラザへ向かう、かなり緊張する。これは仕方ないでしょう。

狭い室内に4人が集まるとあいさつもそこそこに練習開始、
BWV63のアリアの部分と思うが、助奏のオーボエを前面に押し出したアレンジ、このパートをソプラノリコーダーで私が演奏する。
他のパートはびしっと押してくるのに、私だけあせりまくって楽譜を追うのが精一杯、

2曲目はBWV68 カンタータ の一部 私はバスパートの担当、ほとんど休みなし三連譜の連続で音が飛ぶのだ。だから楽器を十分に鳴らす余裕が無い、スカスカ音のまま進行してしまう。楽譜に慣れて手抜きも含めたメリハリのある演奏をしないとバスの役割は果たせないと思う。

3曲目は同じくBWV68 のフーガの部分 今度はアルトパート。それほど長くなく、複雑でもないが、音が難しい、やっぱりバッハだ。でもこの曲が一番まとめやすいかも知れない。

練習時間は3時間ほどだったが、緊張していたのかあっという間に終わったような気がする。やはり他のグループに混じって練習するのは緊張もするが得ることも多い。

最後はお茶で話をしたが、練習だけでは知りえない人柄などもちらりと見えたりして興味深かった。

太鼓の音が聞こえてきた。府中大國魂神社のくらやみ祭りが始まったのだ。