昼下がりコンサートで演奏されたTさんのクラリネットはビユッフェ・クランポン社のベーム式クラリネットだ。私も中学生のころクラリネットに関わったことがあり当時はキーの少ない「アルバート式」クラリネットも存在していた。
最近、クラリネットはベーム式と呼ばれているが、ベーム式フルートの機構と全く異なることに気がついた。
「ベーム式とは違うのではないか」
私のベーム式フルートの認識は
(従来のフルートは先細りの円錐管に、伝統的な配置の小さな指孔を有していた)のを音響学的に再設計し直し、円筒管の内径に匹敵するほどの大きさの指孔を12個開けて、それを10本の指でコントロールできるようなメカニズムを取り付けた楽器。
この認識でベーム式クラリネットを眺めると、フルートのような大きな指孔は持たず、むしろ伝統的な指孔を有し、旧タイプのアルバート式などとそれほど差異は無いように思われる。
では何で「ベーム式」と呼ぶのだろう?
この疑問には下記の本が答えてくれた。
「木管楽器とその歴史」(アンソニー・ベインズ著、奥田恵二訳)
以下引用 P140 クラリネットの機構
ベーム式クラリネット・・・この型を生み出す契機となったのは1832年のリング機構をもったベームの円錐フルートで、1843年当時パリのコンセルヴァトワールの教授であったクローゼがビユッフェという製造家と共同で作り上げた。この型は現在・・・標準型になっている。・・・引用終わり
なるほど了解
最終的なベーム式フルートではなく、それに至る途中の「ベーム式」フルートを参考にしているわけだ。
(写真はTさん所有のクラリネット)
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