12/19/2009
BINGOさんの箱バス
リザーブコンサートや多摩の音楽家第2回コンサートでお目にかかった「箱バス」を話題にしたい。
「箱バス」とは、リコーダーは通常円筒形をしているが、これを板を張り合わせて断面を4角形で作成したバスリコーダーのことを言う。
旋盤等で大型のリコーダーを作成するのは材料も加工する機械も大型となり大変なことなのだが、板を張り合わせて組み立てる構造はそれらの問題を軽減できる。
有名なのはペッツォルト氏設計の「箱バス」だろう、これは時々見かける
http://www.lazarsearlymusic.com/Paetzold-Recorders/paetzold_recorders.htm
ドルメッチ社でもミレニアムシリーズとして「箱バス」を作っている
http://www.dolmetsch.com/millennium.htm
今回話題にするのはBINGOさん作成の「箱バス」である。上記2回の演奏会でも十分に役割を果たしていたように思える。
BINGOさんの製作サイト
http://blog.zaq.ne.jp/bw3476/category/11/
この楽器のすごいところは指孔の位置にある。
ペッツォルトもドルメッチも指孔は小型のリコーダーと同じ比率で管上に分布しているため、直接塞ぐ指孔は1個しかなく他の指孔はキーメカニズムを利用している。
ところがBINGOさんの楽器は右手も左手も3本の指で直接指孔を塞ぐことが出来ることなのだ。
音響学的に考えてもその様なことは不可能に思えるが、ルネサンスの古楽器にそれを実現している不思議な楽器が現存し、それを「箱バス」として再現したのがこの楽器なのだ。再現と言っても単なるコピーではなく、内部断面積の管理や構造を緻密に設計し、その実現のため各種の独創的なアイデアを盛り込んでいる。演奏会のとき身近に拝見させてもらったが、木工加工や金属加工の精度は高く、また楽器以外にも楽器ケースや運搬キャリアに固定するロープに至るまで慎重な配慮が行き届いているのを見て、舌を巻いてしまった。
「手づくり楽器アイデアコンテスト」に出場され残念ながら上位3位以内には選ばれなかったようだが
これはコンテストの趣旨とは必ずしも一致していなかった為で、楽器の内容、工作精度から見ればピカイチであったことは言うまでもない。
審査員達に十分楽器の内容が理解されなかったのではないだろうか。リコーダーにバスやコントラバスリコーダーが存在しそれが合奏でどれだけ威力を発揮するか、理解できる審査員は多分存在しなかったろうと思われる。ただ楽器は十分に迫力があったようで読売地方版に写真が掲載された。
「第5回全国手づくり楽器アイデアコンテスト」読売
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kanagawa/news/20091213-OYT8T00066.htm
ただ記事でも「コントラバス」となっており「リコーダー」の文字が無い、書いた記者もリコーダーであることを理解していなかったように思える。
製作者のBINGOさんは「画期的?なアイデアを思いついたので、2号機を作り、大賞目指してリベンジしたいと考えています」とのことなので大いに楽しみである。
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