宮沢賢治が好きで時々思い出したように本棚から引っ張り出して読んだりしている。ハンドルネームの"KENJI" も実は彼から借用しているのだ。(もったいなくも)
賢治自身はチェロを所有し熱心に練習したが、演奏技術はなかなか進歩しなかった。
当時教則本もほとんど無く、花巻では手ほどきをしてくれる先生などいなかったので、上京して交響楽団のメンバーに「三日間でセロの手ほどきをしてくれ」などと無理を言って実際にレッスンを受けたこともあるらしい。
彼のオーケストラでの演奏経験は無いはずで
チェロの腕前にしても花巻の音楽環境にしても極めて乏しかったはずだが、上京した折、オーケストラの練習を見学し貪欲に吸収したのだろう、「セロ引きのゴーシュ」のオーケストラの練習風景は的確である。
ゴーシュの住んでいた町には活動写真館付きとはいえ第六交響曲を演奏するプロの楽団があり、金沓鍛冶や砂糖屋の丁稚の寄り集まり(つまりアマチュアの楽団)まであるらしいのだ。
さて第六交響曲とは誰の作品だろう有力な候補は
ベートーヴェン 第六交響曲 「田園」
チャイコフスキー 第六交響曲 「悲愴」
マーラー 第六交響曲 ・・・・・・
交響曲を作曲した作曲家は数多くいるし、ほとんど6曲以上作曲しているから候補は無限にあるわけだが、当時賢治が所有していたSPレコードのリストの中にベートーベン「田園」があるのでこれが最有力だろう。
しかし「セロ弾きのゴーシュ」や彼の残した文献などからは特定はできないそうだ。
ゴーシュが楽長から痛めつけられている間、他の楽員は「気の毒さうにして、わざと自分の譜をのぞき込んだり、自分の楽器をはじいて見たりしてゐます」・・・このあたり妙にリアルだと思いませんか?
続く・・・